詩29
宣言(試作)
2005.8.20
私は別世界の住民である
その世界は
私たちの世界とよく似ている
実によく似ている
ほとんど全く同じといってもいいほどに
ああ
だが何と異なることか
この世界では
花は笑い
鳥は歌い
岩さえも語りかけてくる
木の実にも草にも道端の石ころにも
全てにこころがあり
世界は意味に溢れている
この世界は
本当は誰もが知っている世界
誰もが一度は住んだことのある世界
それは私たちの内なる世界
私はこの内なる世界の住民である
私は訴えたい
くじけずに粘り強く訴えたい
紛れもなく私がこの世界の住民であることを
詩を通して訴えたい
もう一つの世界があることを
私の存在と同じように顕然としてあることを
私は詩を書き続け
詩で訴え続ける
私の詩がウソでないならば
多くの人が私の世界にやってくるだろう
私の世界の人口は増えるであろう
ますます増えて
やがて全世界の人の知るところともなれば
さすれば
この世界は
公然と語られるようになり
書かれるようにもなり
誰もが住む権利を申し出るだろう
そして世の中に
不正邪悪矛盾抑圧強制差別弾圧
が生ずるとき
誰もが逃げ込こんでくるだろう
だが
権力では決して
この世界の住民を捕らえることはできない
この世界はやがて全世界に風をもたらすであろう
それで
世界はかすかに揺れるであろう
ほんの微かな揺れであっても
それは
二つの世界が一体になるための
兆候
新しい世界を目指す
革命の旗のはためき
この途方もないことを
私は私の世界から訴える
詩でもって
そんなことを夢想しながら
私は詩を書き続ける
くじけずに粘り強く真摯に
私は私の詩を書き続ける