詩20
やまなみハイウエー
             2005.4.29
風光る高原の道
去り行く春を追いかけて
走る
一台の白いセダン
菜の花の咲く村を過ぎ
森を過ぎ
林を過ぎ
目指すは火の国
大阿蘇の外輪山
途中
逸れる湖への道
スピードを落とせば
近寄ってくる蝶々
サイドミラーに
飛び去っていく羽ばたき
追いついてくる
バイクの一団
追い越していく「青春」


  丘の上
           2005.4.30
ベットタウンを見下ろす
郊外の丘の上に
建ち並ぶ無数の家々
所狭しと競い合う
百千の家並み
厚い雲が覆う
冬の空の下で
家々は犇きあい
押しくらまんじゅうをしている
その端っこで
いまにも落っこちそうになりながら
懸命に踏ん張っている
一軒の二階家がある
ああ
我が家
  道
          2005.5.3
いつも通る道
ただ 通るだけの道
どこにでもあるような
平凡な道

だが 真っ直ぐな道
朝は
太陽に向かってのび
暮れは
夕日に向かって続く

この道を
ぼくはもう かよ
千回以上も通っている


  人生の午後
           2005.5.5
人生の午後を過ごす
昼下がりの喫茶店
他に客もなく
一杯の珈琲を
かき混ぜて過ごす
一人の時間
ゆっくり
煙草を燻らせれば
灰になっていく時間
飲み干した珈琲茶碗に
溜まる「虚無」