詩21
外輪山にて
2005.5.7
天高く舞い上がり
ふりまく歓喜の声
阿蘇外輪山の一角に立ちて
聞く雲雀の声
妙なる天上の楽
大阿蘇は目の前に
薄く霞の衣をまとい
眠れる巨人のように横たわり
今日も
白い噴煙を空高く上げる
ああ 雄大な風景
永劫の時間の中で息づく
大いなる「存在」は
いま 私の目の中で
時の歩みをゆるめている
この世界は
純粋に詩人だけのもの
愚かさや争いにとらわれ
うかうかと日を送っている人には
決して見えない
五月の朝
2005.5.8
パンと牛乳ですます
軽い食事
たわいもない
夫婦の会話
ゆっくりと珈琲を飲みながら
開く新聞に
窓の若葉が映じる
明るい五月の朝
窓を開ければ
吹き込む爽やかな風
挨拶を交わす
豊後富士
今日は
粋な帽子を被っている
.
白い鳩
2005.5.14
疲れた読書の目を休め
窓の外に目をやると
一羽の白い鳩が飛んでいた
五月の晴れた
雲一つない青空を
まるで吸い込まれるかのように
鳩は何処までも何処までも
飛んでいく
一瞬 それは
果てしない青い海原をさまよう
一羽の白い海鳥に想われた
軈て 鳩は
青い空に溶け込むように
いづくともなく消え去った
私は我に返り
再び目を書物に戻したが
目はもう活字を追わなかった
目は
私から遠く飛び去っていったものの
行方を追っていた
丘
2005.5.22
郊外の住宅地から
少し離れて
小高い丘がある
丘に登ると
街の喧騒は遠くなり
遥かに豊後の山々が見渡せる
丘の上には
一脚の粗末なベンチがある
そのベンチに座るだけのため
時々 ぼくは
この丘にやってくる
ベンチに座ると
由布と鶴見の二つの峰が
語りかけてくる