詩19
菜の花畑の道
             2005.4.10
菜の花畑の中を通る
一筋の
細い道

少年の日
その道は
何と 輝いて見えたことか
 
その道を通りたいと
幾度
思ったことか

今 通る
菜の花畑の中の
一筋の細い道

その道の先にある
一軒の
田舎家

嘗て その家には
君ちゃんという少女が
住んでいた


  偶成
       2005.4.10
閑ありて
書を開く
満開の桜の下

興尽きて
書を閉ずれば
早や落花を挿む
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  丘の上
         2005.4.17
  春
丘の上の家
赤い屋根の上の
白い雲

  夏
丘の上の家
赤い屋根に座る
入道雲

  秋
丘の上の家
赤い屋根の上は
青い空

  冬
丘の上の家
今日は白い屋根
積もる雪

  4月24日の朝
              2005.4.24
うららかな朝の一時
ゆっくりと珈琲を飲みながら
見るテレビの画面に
ふと 蝶の翅が
大写しになった。
思わず見入ると
蝶は私の眸<め>の中に
突如 舞込んだ。
画面はすぐに
「今日のお天気」に変わったが
蝶はそのまま
私の心の風景の中で舞っていた。
軈て
私は珈琲を飲み終え
書斎にもどり
いつものように本を手にしたが
直ちに閉じて
帽子を手に持った。