詩15
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  飯田高原
           2005.2.6
白い帽子の貴女(あなた)
そよ風にのって
駆けていく

帽子の鍔を
翼のように
羽ばたかせ

高原の
馬柵(ませ)の道 
スカートに風を孕ませ
軽やかに
まるで天使のように

遠くで手を振る貴女

遥か彼方に
白い帽子の
豊後富士
 湾を見下ろす喫茶店にて
              2005.2.12
湾を見下ろす
丘の上の瀟洒な喫茶店
いつもの席に座り
一杯の珈琲を前に
ひとり思い出に浸る
銀の匙で過ぎた時間を
かきまでながら
        くち
珈琲カップを唇に運ぶ
貴女の華奢な手
しなやかなしぐさ
屈託のない笑顔
貴女は今日も
向かいの椅子に居て
何時までも歳を取らない

たった一度きりの邂逅
(め)に焼きついた面ざし
貴女が何時までも若いので
私の時間も止まっている
ああ!
白い船が汽笛を鳴らして入ってくる
あの時と同じように


   
         2005.4.3
雨上がりの
草の葉っぱに残る
いくつもの露の玉

はかない命だが
どの一粒も
輝く太陽を宿している

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