詩14
居間の絵
2005.1.22
居間に飾った
一枚の美しい風景画
名も知らぬ画家の描いた
絵の世界に
浸って
幼い魂はつぶやいた
「何と美しい世界なのだろう」と
だが 何処にも
そのような風景は見当たらなかった
軈て 、私は旅を始めた
その絵の風景を探し求めて
人生の長い旅を続けた
幾山河を越え
さまよい歩いたが−−−
求める世界は
ついに
見つからなかった
そして
或る日 思い出した
子どもの頃教わったことを
自分達はアダムとイブの子孫だと
楽園を追放されたヒトの子孫だと
その時
先祖の目に残った風景
先祖の目に焼きついた風景 を
私は熱い思いで
空想してみた
すると
居間の絵の風景が
そこにあった
墨絵の人
2005.1.29
朝 心地よい眠りから
目覚めると
常にベットの脇で
私を待っている
人物
僧形菅笠の人
夜の間は
眠りを見守り
夢から覚めると
今度は また
新たなる夢
現の夢へと誘(いざな)う
大夢の案内者
墨絵の人
芭蕉
元気よくベットからはね起き
窓の外を眺めれば
ああ!
名もなき山の
朝霞
菜の花畑
2005.2.5
菜の花畑の道を
白い帽子の少女が
自転車を漕いでくる
スカートに風を孕ませ
歌を口ずさみながら
すてきな速さで過ぎていく
岬の方角をめざし
菜の花の上を
白い帽子が流れていく