詩91
     未来
                  2012.8.1. 
「人類に未来はあるか?」
この哲学的な問いには
多くの答えが返ってくる、が
主流は明るい答え
これまで人類は多くの過ちを犯してきた
そして いまもあいも変わらずに
          過ちは犯し続けている
それでも
学者たちは
政治家たちは
口々に言う
人類の未来は明るい と
人類は他の動物たちとは異なっている
人類は知恵を授かっている
われわれは未来を切り開らいていく
すぐれた能力をもっている と
教師たちも
地球のいたるところで子どもたちに
熱心に語る
科学や技術のもたらす
希望の未来を
未来への希望は光速で地球を巡る
────わたしは遅れる時計


  追いついていけない科学技術の進歩に
  だが人類は確実にこの道をすすむ

   八月六日 原爆の日の朝   
                 2012.8.6
八月六日の朝
ふと見上げると
鳩が一羽
電線に止まって
熱心に羽繕いをしているのが
目にとまった
この何でもない光景が
なぜか わたしの心をとらえ
わたしは歩を止め
しばし その動作にみとれた
いま 鳩は
力強く羽ばたくための
準備をしている
大空を 自由に
そして 平和に
そう 自由に平和に───
一瞬 わたしの目にはそれが
天翔ける
天使の羽ばたき
に見えた
軈て 鳩は飛立ち
わたしの心に
詩を残して雲間に消えた

          9月29日微修正

   
            2012.9.14
蟻が
蝶の羽を
運んでいる

つぎつぎに
仲間が加わり
蝶の羽は
さっさと
生の舞台より
運び去られていく

舞終えた
扇のように
 
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