詩84
メンタル スケッチ(2011.12.6.)
2012.2.21
わたしは炬燵で
ミカンを剥きながら
テレビを見ている
テレビはニュースを伝えている
財政問題
復興問題
国防問題
エネルギー問題
だが 短く
数百光年彼方
水の惑星が見つかったことも
わたしは
剥いたミカンをゆっくり
食べ始める
地球は冬で寒い
────宇宙に広がる夢!
2011年12月6日
600光年の彼方にケプラー宇宙望遠鏡で
水の惑星を発見したとNASA発表
電信柱 その2
2012.3.1
子どものころ
「電信柱が歩いている」絵をみた
───宮沢賢治の描いた絵だったと思うが?
電信柱が歩くなんて
何と突飛な絵だろう と思った
そして また思った
何と幼稚な絵だろう と
わたしはもう十分分別のある年頃だったので
ますます そう思った
だが 一つの疑問が残った
「大の大人が何故こんな絵を描いたのか?」と
この疑問は不思議に幼い心をとらえ
ながく心に居続けた
わたしは この疑問を抱きながら
大きくなっていった
だが それも
さすがに関心は薄れ
ついに 全く忘れ去ってしまった
ある日
わたしは ぼんやり窓の外を眺めていた
団地の窓の外は
家々が甍を連ね
遠く青い山々も見渡せた
勿論 電信柱もいくつも目にはいった
そのとき わたしは
ふと あの絵を思い出し
また あの疑問がよみがえってきた
何故詩人はあのような絵を描いたのか
疑問はまだ生きていた
だが このときわたしは
また あることばを思い出した
「青山常運歩」
(山は常に歩いている)
そう
道元禅師のいわれたことばである
そして また考えた
すると 思えてきた
青山が常運歩なら
「電信柱常運歩」
もあるのではないかと───?
そう今では思うのである
因みにわたしの齢は六十五である