武奈ヶ岳(1214m)登山記
                                 加藤英彦

 43年前卒業した大分上野丘高校12期生の同窓会が、去る11月8,9日の日程で関西支部の主催により滋賀県大津の琵琶湖にて開催され、その翌日の行事として登山会を加えていただき参加者を募ったところ8名のメンバーとなった。そのうち佐藤君の奥さんと、そして私の知人で今年3月まで大分勤務時に私が山を鍛えた木下氏が芦屋より参加し、合計10名の方の参加で行われた。

 前日は147名の参加のもと大がかりな同窓会となり、総会に始まって記念セミナー、そして人生の「秋まつり」を祝う神楽や芸能大会、はたまた二次会でのカラオケと、たっぷり6時間の長丁場での大会となった。

           

 きっかり12時に就寝、6時起床。バイキングの朝食をとる頃より、ホテル外を見るとポッポッと落ちてきている。天候が心配だが、8時、ホテルの前出発。今回の山行の手配をした大阪在住の佐藤君のランクルに4人乗り、あとの3人はタクシーを湖西線浜大津へ。ここから大阪よりの列車に佐藤君の奥さんと木下氏が乗っているのに合流する。乗り込むとすぐに2人を見つけて挨拶もそこそこに久し振りの再会を喜ぶ。(佐藤君の奥さんは3年前の同窓会別府大会の翌日久住山にご一緒して以来であった。一方、木下君の方は大分勤務の時、大分百山を半分の50山私と一緒に登り、今年2月の星生倶楽部でのおゆぴにすと達による私の大分百山完登祝賀会にも参加された1人であった。)

           


 列車は比良駅到着(8:46)。駅をおりると先回りしていた佐藤君のランクル(ランドクルーザー)が待機。ここから比良リフト山麓駅まではバスで15分(340円)で到着。リフト駅に弁当が売っているとの佐藤君の情報だったが、あいにく店が閉まっている。仕方ない、弁当なしですぐにリフト−ロープウェイに乗り込む(往復2000円)。九州の人間はスキーリフトなど慣れていない。急坂をリフトにゆられる。途中、急にリフトがストップして宙ぶらりんになる。2,3分して動き出したが、待っている間はあまり気持ちの良いものではない。高度差414mを15分、リフトで登り、次は谷を横断するかたちでロープウェイに乗り込み7分で山上駅着。(9:50)

             
                     急坂をリフトにゆられる

 この頃天候は最悪と思えたので、すぐに全員雨具をつける。風まじりの小風の中を出発(10:05)。すぐに下りとなり八雲ヶ原湿原を過ぎ15分で八雲ヶ原キャンプ場の八雲ヒュッテ到着。前はスキー場となっており、リフトが東側と西側に見られる。ヒュッテの中は広い食堂となっている。小休止の後、いよいよ登りにかかる。急な登りではないが小雨模様の中イプルキのコバという分岐点まで約20分、ここで小休止。このあたりで天候もやや持ちなおしたのか雨が止み雨具もとるようになる。森林の中であるが、道もあまりぬかるんでなく、ゆっくりとしたペースでの登りとなり追い越したり追い越されたりで何組かのグループの登山者と遭遇する。皆、雨具を着込んでいる。

           
                  小雨降る原生林の中、登りにかかる

           
                    イブルキのコバにて

 それからルートは左へとりコヤノ岳よりのルートと合流する頃はガスの中、右上手より声がする。山頂らしきところと見受けられる。ここからやや頂上直下の直登をジグザグに熊笹の中ルートはとられており忠実に辿ってあっけなく山頂に到着(11:15)。

 武奈ヶ岳(1214.4m)と記入した丸型の大きな標柱があり、そこが山頂である。比良山系の中で何故この山を選んだかと言えば、かの有名な、JAC会長だった今西錦司先生が、その長男の名前をこの山からとって武奈太郎とつけたと聞き及んだからだ。ちなみに次男は大峰山系の日出ヶ岳よりとって日出次郎とつけていた。この次男の日出次郎氏は4年前大分にて今西祭を催した時わざわざ奥さんとみえられ、私がその父・錦司氏ゆかりの猿の高崎山を案内したのだが、日出次郎氏はその翌年急逝したと聞いている。

  
                   武奈ヶ岳山頂にて

 そんな訳で、この武奈ヶ岳を今回の目的地とした、その山頂でガスの中小雨は止んだ。参加したみんなで登頂したことを喜び乾杯をして弁当はないが佐藤君の用意したおつまみとビール、そしてお菓子、おにぎり、みかんと、充分な食料で山頂を楽しみ、その間には次々と数組の登山者が到着している。

 ガスの中記念撮影、そして恒例となった今西流「武奈ヶ岳山頂万歳」の音頭をとり、皆声高らかな万歳となる。そして佐藤君の発声での「フレー、フレーうえの」のエールで大声をあげる。好天であれば西南尾根を経由しての下山を考えていたが、眺望もきかないのでそのルートはやめて反対の細川越を経由した下山をとる(12:35)。

           
                下山のリフトより 日本一の琵琶湖を望む

 熊笹の中、急な下りがつづき細川越へ。ここから右へスゲ原を経由、広谷から右へ。登りにとったルートにイプルキのコバで合流し八雲ヒュッテへ。ここからスキー場のリフトの横を登り、比良ロッジを経由してロープウェイ山上駅へ(13:50)。やや風が強く心配されたが、ロープウェイに乗り込みリフト上の駅へ。この頂より丁度ガスが晴れてきて、眼下に琵琶湖の姿が見えてきて、右手そのほとりには昨夜のホテル・琵琶湖プリンスホテルがかすかにみえるほど回復してくる。

           
                    温泉施設‘比良トピア’

 リフト山麓駅よりは佐藤君のランクルに分乗して2往復で‘比良トピア’という温泉施設へ。わりと新しくオープンした、今はやりの温泉で汗を流し、さっぱりと着がえ、そこからすぐ近くの近江舞子駅のそばの近江舞子ホテルまでランクルにてピストンして全員集合。豪華に生ビールで乾杯して、今回、同窓会で余分に山を楽しんだことを喜び、参加者全員にサインをしてもらい又いつの日か山での再会を祈って佐藤夫妻と分かれ湖西線(16:58発)にて京都まで出て京都駅で岩崎氏や木下氏や、横浜まで帰る白井さん、そして船で大分まで帰る立川、甲原、倉吉さんらと分かれ、京都発(18:12)のぞみにてその日のうちに大分への帰着(22:18)となり楽しい山旅を終えた。

           

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