おゆぴにすと その由来と解説

 「おゆぴにすと」、この耳慣れない言葉について若干の説明をしたいと思います。
 「おゆぴにすと」の由来は、岳人ならご承知のごとく「アルピニスト」をもじったものです。「アルピニスト」とは、山と渓谷社の「世界山岳辞典」によると、「登山家」という索引になっていますが、「一般にハイキング的な軽登山ではなくて、困難な登山を行う人を指し、アルピニズムを理解し、それを実践するために高峻な山岳や困難なルートでスポーツ的、闘争的な登山をする人をいう」また、「登山の高度化、多角化に伴い、科学性、芸術性の素養も必要とされつつある。短時間で第一級の登山家になることは難しいが、人格形成の一つの目標ともなり、たゆまぬ努力を要求される。」とあります。また、大修館書店の「山岳の世界」によりますと「アルピニズムは、山と人間との間に介在する本質であり、それは山々に対する愛や山に登ろうとする意志に仕え、山の諸現象にたずさわるものだ。」とあります。
 故に「おゆぴにすと」とは、「一般的に湯治的な軽湯行ではなく、困難な湯行を行う人を指し、『おゆぴにずむ』を理解し、それを実践するために難易度の高い湯行や、困難なアプローチでスポーツ的、闘争的な入湯をする人をいう。」また、「湯行の高度化、多角化に伴い、科学性、芸術性の素養も必要とされる。短時間で第一級のおゆぴにすとになりことは難しいが、人格形成の一つの目標ともなり、たゆまぬ努力を要求される。」そして「おゆぴにずむ」とは、「山といで湯と人間の間に介在する本質であり、それは山々に対する愛や山に登ろうとする意志に仕え、山の諸現象の一つである『山のいで湯』にたずさわるものだ。」といえます。
 「実存は本質に先立つ」というサルトルの言葉を待つまでもなく、山、そしていで湯の存在そのものは、我々人間が存在する以前より一つの歴史的事実、実存なのです。我々人間、この身勝手で様々な矛盾に満ちた動物として、母なる地球、母なる大地そして自然の恩恵に感謝し、精一杯この恵みを享受したいと思うのです。
 「おゆぴにすと」とは、単純に「山のいで湯をこよなく愛する人」、「イズム」とは「愛」なのです。いろんな「イズム」があります。私共は、この「おゆぴにずむ」を通じ、広く山と人間とのかかわりあいを求め続けたいのです。                                                              

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