晩秋の倉喜山、城ヶ岳、雨乞岳は山頭火の心で
             
 挾間 渉

 マイカーで乗りつける山行ばかりでなく、たまには汽車・バスを乗り継いでの柴田夫妻的オールドスタイルの山登りをと、かねてよりの計画を実行すべく、閑散とした久大線に乗り込む。由布院駅からはバスに乗り換え由布山登山口下車。眼下の由布院盆地を背に、まずは倉喜山の頂を踏み、次ぎなるピークへ向けて急下降後、ホコントウをトラバース気味に捲きながら、程よい薮漕ぎ。

               分け入っても分け入っても青い山

         

 登る程に倉喜山の頂の向こうから由布岳の双頭がしだいに高く聳え印象的だ。二等三角点のある城ヶ岳の山頂からは県北部の山々、九重など360度のパノラマを楽しんだあと、急ぎ雨乞岳へ。途中の小枝に、わずかに実った秋の味覚ヤマブドウを見逃さなかった。紅葉し始めた落葉松と、対照的な杉、桧の植林との境界を進む。深まりゆく秋を肌に感じながらの静かな山歩き。

              落葉するこれから水がうまくなる

         

 黒岩山(1106m)を過ぎ、雨乞岳山頂は午後3時。九重の連山が逆光に映えるが、秋の陽はつるべおとし。庄内町柚の木目指してそそくさと下山。途中の道端に散乱したほだ木にオバケ椎茸数葉を発見、さらにタイミング良く自生?の柚子を行き掛けの駄賃にし、秋の山の恵みは締めくくりの松ヶ丘の酒宴のお供えとなったのは言う迄もない。

                ほろほろ酔うて木の葉降る

         


 かくして、この秋少しばかり興味を覚えた放浪の俳人種田山頭火の一句一句がぴったりとマッチする晩秋の倉喜〜雨乞の山々を終えた。


(コースタイム 由布岳東登山口9:30→倉喜山登山口10:13→倉喜山山頂11:06→城ヶ岳山頂12:18〜12:50→黒岩山14:40→雨乞岳15:00) (昭和63年11月13日、参加者:挾間、高瀬)

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