◆鎮南山新春登山(2012.1.1) 復活宣言した高瀬と、新春にあたり決意のほどを確認、互いに誓い合うべく、新春登山を持ちかけ、行先は鎮南山に決まった。早朝6時過ぎ登山口駐車場は数10台の車ですでに満杯状態。午前6時20分登山開始。「いやー、珍しく寝過ごしましてね。でも、これ(寝過ごしたということ)は自分にとっては復調の証なんですけどね」と、高瀬。

この時間まだほとんど真っ暗闇の中ヘッドランプを点けての登高は互いに言葉少なく、先をどんどん急ぐ。急がないと初日の出に間に合わないのだ。

 8合目の水飲み地蔵辺りで、御来光に間に合わせようとしている本隊の一団にやっと追いつく。今日の目的の山は鎮南山の北方・塔尾山(475m)、ここが臼杵市民にとっての初日の出の格好のスポットで、7時8分どうにか日の出に間に合って山頂に着いた時、すでに50人ほどの老若男女が初日の方向の一点を凝視していた。

                   
 願い事は北尾根に向けた決意か、孫たちの幸せか
      前穂北尾根に決意?の二人
   
 天気は高曇りだが豊後水道の展望は利く。ここからだと保戸島辺りから上がってくるらしいのだが、待つこと20数分、‘薄雲の中に茜色を期待した’初日はいっこうに姿を現さない。地元のカメラ愛好者も「もう今日は無理」と諦め顔で、気がつけばいつの間にか辺りは少人数に。孫たちとのおせち料理を囲んだ団欒を描き山頂に着いてまだ何ぼも経ってないのに、そわそわしてきたであろう高瀬の気持ちを考え、下山とする。

                
                        塔尾山で初日の出を待つ風景

 下りは互いの近況など話題にしながら足早だ。笠ヶ岳以来ここ1年以上絶不調であったが昨秋あたりから復活宣言の高瀬は、もちろん絶口調。登山道傍らにひっそり咲く水仙を口火に、七つの水仙、ブザーズフォー、坂の上の雲、スタンドアローン、サラブライトマン、久石譲、日露戦争、乃木希典、西南戦争と尻取りゲームのようにポンポンと話題が移っていく。

 スタンドアローンで一昨年はたどたどしい日本語を披露したヒーリングボイスのサラブライトマンもそれなりに良かったが、昨年末にサラブライトマンに続いて綺麗なソプラノを披露した声の主が森麻季ということ、それよりも何よりも、迂闊というか、テレビでスタンドアローンが流れる背景の山、前々からあれはどこの山だろう、坂の上の雲だからもしかしたら石鎚山系のどこかかな、笹ヶ峰から赤石に続く稜線かな、しかしそれにしてもどこか違う、いったいどこだろうと気がかりであったが、「あれは小蓮華山だ」と彼は言う。迂闊にもと言ったのは、つい一昨年鈴木君と栂池から白馬〜雪倉〜朝日岳まで通した時、その頂を登っているのに、映像を観てそこだと気がつかなかったいうこと。下山・帰宅後、一昨年秋の写真をひも解き、白馬大池方面から小蓮華山を撮った写真を観てあらためて納得した次第。

 まあこうやって彼との山歩きでは様々な新しい知識を得る。そういえばもう一人、難解な熟語を駆使し、マメに紀行文を寄こしてくる北九州方面の住人からは国語の知識を習得せられる機会が多い。こういう御仁たちとお付き合いしているので、いくらかでも流行遅れにならなくて済む。有難いことだ。

 さて、本年の決意のほど云々は暗黙のうちに確認し合ったということで、世間話に興じながら小一時間ほどで登山口の駐車場に着く(8:16)。

山頂の登山者の多くは先に下山したはずなのに車は相変わらず満車状態だ。「あっ、そうか・・・、今日は元旦、塔尾山から少し離れた鎮南山山頂直下の山庵寺に立ち寄ると、ぜんざいを振る舞ってもらえたのだ。早々と塔尾山山頂を立ち去った御来光登山の多くは、今頃ぜんざいにありついているのだ。「悪いねえ、狭間さん、ぜんざい(千載)一遇のチャンスをふいにさせてしまって」とすかさず‘軽口’が飛び出す新年早々ハイテンションの高瀬であった。

 実は、こちらから元旦登山を誘った手前、筆者のザックには、テルモス2本、おせち料理、御神酒にビールほかいろいろ忍ばせていたのだが、ぜんざいも含めすべて受け付けず9時帰宅にこだわった高瀬は、首を長くしてお年玉を待つ孫たちの顔、それに一家団欒のおせち料理を囲む姿が頭を支配していたに違いない。

まあそれはともかく、初日の出を拝むことはできなかったが、また、結局口にこそ出さなかったが、今年の最大目標となる前穂北尾根に向けてあうんの呼吸で決意のほどを確認し合った、幸先の良い滑り出しとなった新春登山であったことを報告しておきましょう。(狭間記)

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