足立山森林公園ランのつもりが小文字山〜足立山トレッキングの巻 栗秋和彦

 まだまだ日差しは強いが、10月ともなれば爽やかな風が秋本番を思い起こさせるに十分だ。しかも快晴の休日ときては、じっとしているのはもったいないわね。ならば緑陰のランエクササイズが脳裏に浮かんだが、門司界隈にそんな公園はないし、街路樹もない狭隘歩道付の舗装路ばかりではそれも適わずか、ブツブツ(と環境を悔やんでみても始まらないか)。

      
       トレッキングコース全容       小文字山山頂から小倉市街の眺め@        メモリアルクロスの案内板

 でふと思いついたのが、小倉北区の足立山森林公園。車なら手向(たむけ)山の峠を越し、都市高速・富野 I.C交差点を左折すればほどなくの距離。多少のアップダウンを我慢すれば緑陰は保障付なのだ。そこで昼下がり、ランスタート地点と定めた公園の北端、メモリアルクロス(※1)まで乗り付け、準備に勤しんだ。先ずは南端の安部山公園目指して、ゆるゆるとウォームアップランのつもりだったが、木々の間から垣間見る青空を認めると、山のてっぺんからの眺望が気になった。ちょうどここは小文字山(標高366m)の登山口でもあり、ものの20分もあれば小倉市街と関門海峡方面の眺望随一の頂に立てる筈。ならば緑陰ランはひとまずお預けとして小文字山登山も悪くはなかろう、と思い立ったのだ。

       
        小文字山山頂から小倉市街の眺めA             小文字山〜妙見山の尾根筋から見る小文字山

 思えばこの山、ここ10年ほどは疎遠だが、門司へ転居したての頃は幾度となく登った、勝手知ったるおらが山である。加えていで立ちはランシャツ、ランパンにジョグシューズ、タオル1本。おにぎりと飲料を携えてはいたが、超軽装ヒルクライム仕様に相違はなく、所要10分台で登ってみせるぜ!と意気込んだまではヨシとしておこう。しかし思ったより急傾斜の登路は長々とつづき、斜度が落ちる気配のないまま(一度小ピークを越えて鞍部へ下る場面もあったが...)樹海が取れると、いきなり頂へ踊り出たのだった。それにしてもタブノキ、シイ、ヤブツバキなど照葉樹林のトンネルそのものは好むところだが、こんなにアグレッシブなコースだったのか、勝手知ったる割にはフーフーの体。25分もかかったうえにあやふやな記憶には苦笑するのみであった。

 おっとしかし頂からの眺望は期待に違わず一級品。背後に控える企救山塊の盟主・足立山(標高598m)に比べると、標高こそ低いが主稜線から小倉市街へ突き出た尾根上のピークゆえ、360度遮るもののない視界と相俟って、まっこと秀逸至極だったのは言うまでもない。特に一気に高度を下げた至近に市街地が展開するさまは、市井の生活までもがつぶさに分かるほど(ものの例えだけどね)の距離感とあって、俯瞰あざやかな景にしばし時を忘れたのだった。

 さて昼食を済ませてそれでは下山か、となって今度は妙見山へと連なる背後の稜線が気になった。アップダウンを繰り返しながら高度を上げ、最後の妙見山へは急角度で繋がる隆々たる尾根は、ここまでの樹林帯を突上げる登路とは大きく違い、明るくのびやかで躍動感に溢れ我に迫る。まるで「ここまで登って来いよ!」と誘うかのようにだ。ならば麓をちょこまか走るより頂点(足立山)を極めた方が刺激的なのは自明だぜ、とあっさり方針転換。低山だからこその思いつくまま、気の向くままの行動もまた愉し!だ。

               
        妙見山への尾根筋から見る足立山の主稜線           木漏れ日が爽やかな緑陰ランコース

 で後はすっかりハイキング気分のノリで妙見山上宮を経て急登の末、足立山の頂まで45分。北側半分の眺望が開け、小倉市街から皿倉山へかけての展望が広がるが、やや奥まった感は否めず市街地の眺めは小文字山からの迫力に遠く及ぶまい。とそんなこんなの突然変心トレッキングは、赤土とごろた石が交錯した急降下コースを辿って、無事妙見神社に降り立ち、トレッキングの完結を見たが、残るメモリアルクロスまでの緑陰コース(遊歩道)1.8kはもちろん走って、ランエクササイズもしっかりこなしたこともアピールしておかなくてはなるまい。
(※1)朝鮮戦争時の連合国軍の戦没者(米兵)を追悼した記念碑
(コースタイム)
足立山森林公園メモリアルクロス(小文字山登山口)13:15→小文字山13:40 53→足立山14:38 52 →妙見上宮分岐14:58 15:00→妙見神社(足立山登山口)15:42→メモリアルクロス15:55
(平成20年10月4日)

                  おゆぴにすとトップページへ   ランニング登山目次へ