2.見渡せばビッグサイト

 2001年12月30日の早朝、肩掛け鞄一つで家を出た。
大分-東京間の交通手段は行きも帰りも飛行機だが、空港がおそろしく遠い。
海路だと30分もせず着くのだが陸路だと1時間はかかる。
ん???海路?
海の上通って空港に?

その差歴然!

 そうなのである。現在大分空港へ行く最も速い交通手段はホーバークラフトなのである。
海の上を55ノットという車より速いスピードで走るホーバーに昔から憧れていた。
そもそも大分ではホーバーに乗ることと飛行機に乗ることは同義である。
それにホーバーは乗降時にタラップを使うのでその時点で雰囲気が盛りあがる。

 それに反して陸路のバスは…なんかもうダメ。
今でこそ60分だが昔は道が悪くて2時間近くかかったという。
渋滞道路を走るのもいただけないし、何より私はバスに弱いのだ。
(バスよりはるかに揺れるホーバーは大丈夫なのだが)揺れも値段もすごい
 まあとにかくホーバーは揺れるの一言に尽きる。
比較的波が穏やかな時でもアレだが少しでも荒れているとジェットコースター状態だ。
人によっては「アレは乗物じゃない」とまで言われるが失礼な!
絶叫マシンと考えればいいじゃんか。
 とは言え、ホーバー好きな私だがあまり胸張ってお勧めできる代物でないのも確かだ。
なにしろバスの二倍近い値段である。半分の時間で着くのだから当然かもしれないが、
実際に飛行機に接続しているホーバーはバスとほぼ同じ時間に出るのだ。
つまり…飛行機の出発時間的にどっちがトクかということはほとんどないわけで。
思うに、ホーバークラフトというやつは「乗る」よりも「観る」方が楽しい乗物だと思う。
そう考えればスペースシャトルといい勝負なのではないだろうか。

 それがなぜかこの時はホーバーではなくバスを利用した。
やはり初めての一人旅ということで海路を行くホーバーより安全牌を取ったということか。
ホーバーは速い。確かに速いが海が荒れると欠航してしまうこともあるのだ。
(もっとも、私はまだ欠航に遭ったことはないが)
この時は泣く泣くバスにしたのだが、よっぽど嫌だったのかこれ以降バスは利用していない。

 数年前に「客室乗務員」などと呼称を改悪されてしまったスチュワーデスさんを愛でながら
コドモみたいに「飛行中の注意」なるビデオを観る。
デッキを離れて滑走路にタキシングするだけでなんだかもうワクワク。
ついでに離陸する時はあまりの嬉しさに顔がにやける。
飛行機バカの私はここでフラップの収納シーンを見逃すまいと構えていたりするのだった。

マニア的着眼点

 飛行機が羽田に着いたのは10時少し前。
既に開場している時間だがどうせ待つ事はわかっていたので特に慌てない。
しかし羽田空港は以前来た時に比べ激変していたしやたらめったらデカかった。
前日に蝉のゆうさんからバスがいいとのアドバイスがあったので迷わずそれを利用する。
確かに今考えても初心者はこれが一番的確な手段だったろう。
この頃私はモノレールも京急も知らなかったらしい。
しかしお約束のようにバス停を間違え、ビッグバードの端から端へ全力疾走するハメに。

 東京国際展示場、いわゆるビッグサイトに着いた時私は途方にくれた。
自分がどこにいるのか、どこに並べばよいのかがわからない。
とりあえず最寄の入口はスタッフ専用らしい事がわかり、仕方ないので道なりに歩く。
しばらくして「行列はこっち」との指示看板を発見。しかし会場らしき建物からずんずん離れていく。
そして人が一杯の空き地まで連行され、ここで待つ事数十分。なんだか遠足を思い出す。
やがて列が動き始めるが私の予想に反してどんどん反対の方に進んでいく。
いかにもそれっぽい集団の中にいるから間違いはないと思うが…遠ざかりすぎ。
もうどこをどう歩いているのかもわからなくなった頃正面に会場が見えてきた。
そして気付いたらいつの間にか中に入っていた。
多分3Fのエントランスから入ったのだろうとは思うが人ごみの中流されていたのでわからない。

 さて、会場に入ったはいいがコレからが問題だ。
既にお昼を過ぎるような時間で、腹は減っていたがひたすら歩く。
右も左もわからない私はなぜか西館の企業スペースに迷い込んでいたような気がする。
まあコレも定かではない。やがて長い渡り廊下を通って東館に着く。
ここがまたやたら広いテラスというか何と言うか、
エスカレーターで下りて左に行けばどーんと広大な空間。
片側だけで体育館を三つつなげたようなドデカ建物。
この中で自分の位置を把握するのも中々難儀だったが、
はるか向こうに見える文字が縦座標を表している事に気付く。
ついでに「東4た-25b」とかの「4」の所は大した意味が無い事に後々気付く。
だって中に入っていたら自分が何番の館にいるのかなんてわからない。
さらに…そこからがまた大変だった。
縦の座標はなんとかわかったが横の座標がさっぱりである。
たまにここはどこそこと表示しているサークルもあるが、ほとんどが無表示である。
仕方ないので表示サークルから机を数えて横座標を特定する。
この頃になると一つの番号でaとbに別れている事がわかってきた。
ところで、中を歩いているとみかけるのがコスプレさんだが(別紙)

 ようやくめざす場所が近くなってきた。
この間意味も無くアチコチをさまよいすでに13:00を過ぎている。
「はぁと饅頭まにあっくす」なるブース表示を発見した時には泣きそうになった。
…のだが顔は相反して満面に笑み…というかニヤけていた。
逸樹さん、茉森さん共にこれが初対面。
「ネットで知り合った人と実際に会う」これが初体験だった。
周りを行き交う人たちがみな忙しそうだったので長居をする気はなかった。
とりあえず自己紹介、そして空港で買ったみやげ(かぼすラングドシャ)を渡す。
人によっては差し入れを全面拒否することもあるらしい。感謝
販売物は事前にわかっていた「しあわせになろう1・2」。
長年葛城のエロ参謀として尽くしてくれた某氏にもみやげとして一冊買う。
それから事前にメールでも言っていたが「りるしす」と「たいせつなうた」の感想を述べる。
 この後、残り三件をまわってから再び逸樹さんとこに行ってお別れの辞を述べる。
それから会場を後にしたのだが出るのはえらく簡単だ。
入るのに苦労して出るのが簡単って日本の大学に似てないか?
確か11:00前に着いた筈だが既に14:00をまわっていた。
どこで何してこんなに時間が経ったのだろう?

 とりあえず国際展示場駅を出た時点で既に満員の「ゆりかもめ」に乗る。
そして台場で降りて「アクアシティ」内のアンナミラーズを目指す。
よくよく考えたらこれは大失敗だったのだが。(コミケ初心者特有の失敗と言ってよい)

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