小学校2年の時。俺はとんでもないことをやらかす。
くつとばし事件だ。
おそらく全国でやられているだろうが、一応説明をすると、
ブランコに乗って片方の靴を飛ばして、遠く飛んだ方が勝ち、
という至極簡単なルールの遊びである。
誰かが、「逆靴飛ばしをしよう」と言って、ブランコの後ろに向けて靴を飛ばした。
俺の番。気合いを入れて飛ばした…が、フェンスを越えた。
俺の行ってた田尻小は山を切り開いて出来た小学校だ。
フェンスを越えたら草が生い茂る山。
靴がどこに行ったかわからない。
結局いくら探しても見つからなかった。
俺は「で…でもな、勝負は俺の勝ちやろ?」
この頃から負けず嫌いだったようだ。
それよりも靴を探す方が大事だというのに。
翌日。2時間目だったか3時間目だったか。
黒板の時間割のコーナーに「吉田君の靴探し」と書かれた。
クラス総勢で靴探しだ。
時間内には見つからなかったが…
結局、数週間後、靴は見つかった。
生まれて初めてニックネームをつけられる。
「ヨーダ星人」それが俺がはじめてつけられたニックネームだった。
「ヨーダ菌がつくぞ〜」そう言っては皆俺を避けていた。
当時、それをいじめだと気付いていない俺は
「ほぉ〜らほらぁ〜」と、皆を追いかけていた。
そしてはじめてこの年、一番だけだけど何も見ないで歌える歌ができた。
大川栄作さんの「さざんかの宿」である。
両親とも演歌を聴くのでそういう歌しか耳に入ってこなかった。
「ザ・ベストテン」に出るミュージシャンしか知らなかったし…