佐田の名所

米神山


 キーワード: 自然, 寺社仏閣・信仰, 登山
 標高475m。「神の宿る山」として古代の信仰を伝える、由緒を秘めた山。

 県道658号線沿い、西麓のストーンサークル(環状列石群)「佐田京石」が有名ですが、そのほか山中には「月ノ神谷」や「日ノ神谷」など多数の巨石群があります。
 山頂にも環状列石群があり、弥生期(200年頃)の信仰の跡を見ることができます。

 かつて人間の信仰対象は、太陽や山など自然そのものでした。時を経て、自然そのものだった原始の神は「人格」を持つようになり、現在にその姿を残しています。
 けれど、これだけ大規模な祭祀場を持っていた「米神山の神様」は、どうしたことか「人格」を与えられることがありませんでした。どんな神様が、だれの手によって祭られていたのか知る人は誰もいなくなってしまいました。
 また、こんな伝説も伝えられています。
 東征のため当地を訪れた神武天皇に、米神山の神様が「ここを都にすれば、必ず天神地祇の助けがある」と約束しました。その証拠に、米神山にその晩1000本の石が降るはずでしたが、999本目が降った所で聖地が汚されてしまいました。そして1000本目が降らなかったため、この地は都となりませんでした。
 忘れられた、太古の神様。都となる悲願を達成できなかった神様。
 美しい稜線と不思議な巨石群を持つ米神山は、悲しい謎を秘めた山でもあります。

 米神山には3つの登山道がありますが、ロープを掴んで登り降りする箇所があるため、軍手が必需品です。


  • [参考文献]大隈米陽/編(1952)『豊前国佐田郷土史 上巻』佐田村:佐田村公民館
  • [参考文献]安心院町誌編集委員会/編(1970)『安心院町誌』安心院: 安心院町誌編集委員会
  • [参考文献]安心院町身心すこやか事業推進委員会(1988)『ふるさと佐田』
  •  登山道巨石群のひとつ、月ノ神谷 
  •  まちづくり協議会が架けた橋 
  •  頂上からの眺望