佐田の名所

且尾板碑


 且尾地区に残る、四角柱型の板碑。佐田氏の菩提寺にあったことから、菩提寺跡板碑とも。
 南北朝の時代、平和な世の到来を願ってつくられました。
 現在は、且尾地区の住宅地裏に移設されていますが、元は、赤井太尾城菩提寺跡にあったものです。

 高さ1.73m。暦応2年(1339)、願主として「重源」の名前が刻まれています。
 各面とも上方に梵字1字と、その下に4字からなる偈文(経典などにある詩文)が陰刻されています。
 北朝南朝にわかれ世の中が荒れていた南北朝の時代、願主である重源が、南北両朝が和睦をして1つに結ばれることを祈ったと思われる願旨も刻まれています。
 偈文には、法華経から引用された「観一切法 皆無所有 猶如虚空 無有堅固 (一切の法を観ずるに 皆所有無し 猶お虚空の如し 堅固なることあることなし)」とあります。

 且尾地区にはかつて、佐田氏が居住した「赤井太尾城」があり、現在も山の中腹には嘗ての景色を思わせる遺構が残されています。

 また、佐田地区内にはこのほか主な板碑として、佐田社の板碑(県指定有形文化財)大年社板碑(県指定有形文化財)があります。


  • [参考文献]安心院町身心すこやか事業推進委員会(1988)『ふるさと佐田』
  •  住宅裏山に移設された且尾の板碑 
  •  太尾赤井城址、尼寺の石畳跡