緒方・浜嶋酒造の五代目

〜17年ぶりに自家醸造を復活させた蔵のこだわり〜


 ここは大分県南部の静かな山里、緒方町。水が豊かで緑あふれる農村地帯です。

 写真は、去年改築新装したばかりの浜嶋酒造の外観です。
 この道路のむこう、家の向こう側あたり、「大分ナイアガラ」といわれる、「原尻の滝」の近くで、JR豊肥線緒方駅から徒歩15分ぐらいのところにあります。

 画面の道路が緒方駅からの旧道で、右手に見える水路には、昔はいくつも水車があったのですが、今はこの先にかぞえるほど
残っているばかりです。
 さて、浜嶋酒造は、もともと「金鷹」ブランドのお酒を出していたんですが、実は長く実際の造りはしていませんでした。
 それを、この浜嶋酒造の5代目になる弘文専務が、「酒造りをしよう!」と思い立ち、あちこち修業に行き勉強を重ねて、ついに
自ら杜氏となって17年ぶりに酒造りを再開したわけです。

 「再開」と簡単に言うけど、これってすごい大変なことなんです。しかも、徹底的に手造りにこだわって(もちろん、それしかなかったという面もあるが・・)コストを度外視するような酒造りを始めたんです。

ごぞんじのように、酒の醸造という作業は麹菌・酵母という微生物を扱う非常に微妙なもの。
それだけに1度でも造りを休むと、次の造りには大変な手間がかかります。ほとんど不可能に近い。
ここのように長期間造りをしていなかった蔵が、本格的に再開するケースは非常に珍しいものです。

 あたらしいブランド名は「鷹来屋」、本来の屋号です。

 酒造り再開とともに小売りのほうの店構えも改装し、冷蔵ショーケースも設置。かんたんな試飲もできます。

 また喫茶コーナーも設けて観光客にも好評のようです。この喫茶コーナーでは有料での試飲もできます。

 昔の母屋を改装しただけあり、梁の木などに旧家の年輪を感じます。ーなかなかいい雰囲気ですね。
 さて、造りを再開したのは、去年1997年から。今年は2回目の仕込みでした。

 浜嶋さん自身が杜氏を兼ねての仕込み。最初はビギナーズラックがあるとしても、2回目となると当然周囲の目も厳しくなる。

 さて今年のお酒はいかがかな?

私自身の試飲した印象としては・・・去年よりも、むしろいいかもしれない。これは、立派なものだと思います。

 母屋の2階を改造して、小さなギャラリーにしてあります。この日は町内の陶芸作品の展示をしていました。

 周りの壁には再開した酒造りの資料写真が一面に展示されていて、まさに「手造り」の酒蔵のようすがよくわかります。
こういう、地域社会の中にオープンな姿勢も大事ですね。

 緒方町の新しい観光スポットにもなっているようです。

 今年は米作りから手がけたいという浜嶋さん。ごらんの通りのスマートな青年です。

 安定したサラリーマン生活から転じ、ふたたび家業の酒造りに打ち込む浜嶋さん。がんばって欲しいです。

 来年1月の仕込み風景は見学したいですね。
リポートの続篇として紹介したいと思います。

 続篇に乞うご期待。
 「大分ナイアガラ」といわれる原尻の滝もすぐ近くだし、ちょっとした観光コースにもなります。JR緒方駅から歩いても10分、試飲して帰ってもいいですよ。特急だと大分駅まで45分ぐらいです。ぜひどうぞ。

 さて、こうしてみると「大分ナイアガラ」という
名前も、まあなんとなくわかりますね。

 どうぞ緒方へ。そして浜嶋酒造へ。



98年夏〜99年春にかけて、TOSの「ハロー大分」で、浜嶋酒造の田植えから絞りまでを追跡取材しました。

居酒屋メニューに戻る      最初のページに戻る