リストを落とすとは何事じゃ。
[地名の書かれたリスト]
カクは紙を拾い上げると、笑顔になった。
・トロトーナ
・コニャッカ
・カボルジャー
かぼちゃの美味しいところと、お酒の美味しいところ。
料理長は時間が掛かると言っていた。
去年していた予約、OKが降りた。
教えてもらったところ、[ワインの王様 xx-1101-7248]に連絡を取る。
「良いワイン、なにしよ」(よみかた)
試しに数本送ってもらうことになった。オーナー・ドフ。ゼフじゃないのか。
ガンダムみたい。
かぼちゃ、小さい15。色違い。あと3+。
やわいのほしい。
走り書きは最後のほうはもう読めない字になっていて、辛うじて読める部分まででもなんだかぐだぐだになっている。誰に読ませるわけでもないという意識だと思うが、カクは思わず吹き出してしまった。
毎年楽しげに用意している様子を思い出し、そしてその影で右往左往と良いものを求めていたかと思うと、発注の部分から手伝っていればよかったと思った。が、やはり吹き出してしまう。
「ガンダムてなんじゃ、やわいのほしいとな」
多分かぼちゃのことなんだろうなと思うが、ガンダムは分からない。
ゼフとは誰じゃろうかとも思うし、大方分かるだけに残りの数箇所が気になってしまう。聞けば多分教えてくれるだろうから、カクは笑い終えてリストをポケットにたたみ入れた。
[自分達の名前と、地名の書かれたリスト]
「やれやれ、危ないのう」
カクがそう言って、先ほどと同じように折りたたむと、なにやら裏に文字が見えた。
「ん? なんじゃ」
そのままくるりと紙を裏返して読んでみると、そこに書かれてあるのはカクたちが心配だという走り書きの山。
どうやらリストに載っている地名へと任務に行っている間、この紙の裏に手紙の下書きをメモしておいたらしい。読み覚えのある話題や、知らない話題が乱雑に書き込みされ、時には二重線で消されていたりする。
読むことがプライバシーの侵害となりそうな話題まであり、カクはそっと胸元にしまいこんだ。心の中で謝罪をして、今見たことを忘れるかどうか検討する。
正直、覚えておいて損のないようなことも書かれていたのだ。
「このネタでルッチをからかいたい……」
だが、使えば巡り巡っての耳に入るだろうし、そうなれば怒られるか泣かれるかの二択になってしまう。正直、それは遠慮したい。
「残念じゃが、お預けだの」
あーあー。
未練たらしく嘆きながら、カクは姉の探索を再開した。
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