ときどき日記/バックナンバー 2003年 12月・11月・10月

2003.12.1 視察報告記「少しずつ、見えなかったものが見えてくる」
〜くらし・安全特別委員会の県外視察

11月18日(火)
 ホーバー乗り場に7時集合。ホーバーはこれまで4回しか乗ったことはありませんが今までで一番揺れました。ジェットコースターに乗れない私には辛いことです。
 羽田空港で庄内(山形県)行きに乗り継ぎました。
 ちょっと小さ目の飛行機でした。ですからジェット機より低空飛行で地上が良く見えました。きりたった山並は磐梯(ばんだい)山系でしょうか。後ろを振り向くと富士山が見えます。
 雲の上に悠然(ゆうぜん)とそびえたつ富士山。時間がたってもずっと見えつづけ神々しさすら感じました。しかし学生時代から富士山を見ると良くないことが起こるというジンクスがある私は辛いものがあります。(大学入試にことごとく失敗。腹痛で救急車に乗る。)
 庄内平野には、ほ場整備のされた田んぼが広がっています。

飛行機から見える山並



ウインドーム立川(山形県立川市)
 立川市では持続可能な環境調和型社会を支える再生可能なエネルギー源として地域特性の強風を利用して風力発電を全国に先駆けて推進してきました。
 立川市では、強風のため野菜も果樹も育ちません。立川町を一言で表現したい。その思いから「ふるさと創生事業」を使って始まりました。

・ 現在11基。3500キロワットをおこす。これは、町全体の年間消費電力の42.6%。
・ 風車は、17年ぐらい持つ。25メートル以上の風が吹くと自分で止まる。
・ 町民は、節電に心がけている。
・ 一番怖いのはかみなり。
・ 過疎地なので大型の風車を運ぶのに大変だった。
・ 合併を控えていてうまく続けられるか心配。

 田んぼの中に風車が立っています。そばまで行って見るとその大きさに驚きます。音はほとんど聞こえません。残念だったのは、起こした電力は、東北電力に売っているそうです。そして個人の家は、電力会社から買っています。電気代がただということにはならないようです。

田んぼの中の風力発電



 山形駅からつばさ110号で宇都宮へ。新幹線と普通列車がホームに並んでいるのにびっくり。聞けば新幹線乗り入れのため線路を車輪に合わせて敷き変えたということ。新幹線が踏み切りの前を通過するということに何だか不思議な気持ちになりました。
 昔に比べると雪が少なくなったそうですが。家々の屋根には、雪止めが見えました。

つばさ110号



11月19日(水)
土づくりセンター(栃木県高根沢町)

・ 環境を守る「循環型のまちづくり」を推し進め、循環型農業と地産地消による人づくりに取り組んでいる。
・ 農業振興地域は、総面積の84.1%。
・ ことの起こりは、畜産農家から排出される排泄物の悪臭問題。籾殻の野焼き。
・ 家畜排せつ物と籾殻(もみがら)と家庭から出される生ごみを混ぜ合わせ良質な堆肥をつくる。
・ センターで製造された堆肥は、「たんたんくん」の名称で町内外に供給され、土づくりに欠かせない資材として好評ということでした。

もみ殻の前で



11月20日(木)
東京都健康安全研究センター(東京都新宿区)

・ 食の安全が大変な問題になっている。東京都民1200万人の食の安全の為に仕事をしている。東京都の衛生行政の科学的裏付けとなる。
・ 食と薬に係る監視・検査体制を一元化し、先行的な調査研究から監視・試験検査・指導・処分・情報発信を一貫して行う。
・ 試験検査は年間60万件。
・ 外国からも多くの食品が入ってくる。それをチェックするが納得いくデータでないと外国は納得しない。
・ 世界には700種類の農薬がある。塩素系の農薬に基準がある。
・ 日本の基準は、342品目。許容量を超えない範囲で使用が認められている。
・ 諸外国からの規制の基準の違いにより食品添加物に不適品が多い。特に中華民国、アメリカ。
・ 予算は、51億7千万円。財政が苦しいので新しい新施設の建設はストップ。

 私は、日本の基準は甘すぎると思っています。ヨーロッパでは、安全性が確認されなければ使用を許されないものが日本では、危険とみなされないから許されているものが多いのではないかと常々感じていますがもっともっと勉強しなければなりません。


担当の方の話を伺う


検査室


商品を使っての添加物の説明



 県庁には、午後5時30分に帰ってきました。地公労の賃金確定知事交渉が行われています。控え室で待機していました。交渉結果は厳しく5年連続のマイナス。そんな時に県教委が来年度から小学校1年生に30人学級導入を知事に要望したと聞きました。
 これから議会の中で富士山を見たジンクスを打ち破らなければならないと考えています。




2003.11.17「議会を家庭で傍聴できたらいいな!」

 
秋風が身にしみるようになって来ました。衆議院の選挙を終えて息つく暇もなく毎日をあわただしく過ごしています。
 議員になって東京へ行く機会が増えました。教員時代には、2年に1回くらいしか上京しなかったのに先週ですでに4回目です。来週は、山形、栃木、東京へ出かけなければなりません。「議員は、体力勝負だ」と誰かがおっしゃっていたのを思い出します。

 先週は、「都道府県議会議員研究交流会」に出席させていただきました。分権時代の議会・地方議会の活性化・議会改革といった内容でしたが、私が、う〜ん、そのとおり!と思った発言を書きとめます。

・ 国の役人(総務省)は地方議会の活性化に熱心ではない。
・ 地方議会の危機は、敏感な議員にしか来ない。
・ 通告制度(質問する内容をあらかじめ執行部に原稿で渡す)をやめるべき。公開でやるべき。研(と)ぎ澄(す)まされた言葉で大激論をやるべき。議会で議員は鍛えられる。
・ 政策条例を議会が作り出すことが重要。そのことが議会の存在を明らかにする。政務調査費(1人につき月に30万円ずつ会派に出るお金)をもらっている根拠となる。
・ 地方が豊かなのは、いわゆる国語だけでなく地方言語を持っているから。地方言語で条例を作れ。
・ 大学生に地方行政についての知識がない。傍聴もしたことがない。アンケートによると議員は話しにくい。良く言えば堂々としている。悪く言えば威張っている。それで不信感につながる。傍聴しても何を言っているのかわからない。

 議員という仕事が初めての私は、大分県のやり方しか知りませんでしたが、改めていろいろ改革できるのではと感じました。本会議・常任委員会・特別委員会をCATVで各家庭で見られるようにできるといいなと思います。もちろん一問一答方式で。
 頭の中がパニックになりそうなほどカルチャーショックを受けました。勉強しなければならないことが山ほどあります。


 帰りの飛行機の時間まで少しあったので散歩に出かけました。泊まった場所は赤坂です。ホテルの窓のすぐ下には見事な庭園をもったお屋敷が見えました。こんなビルの中でいったい誰の家かしらと歩いてみると参議院議長公邸でした。その隣りが衆議院議長公邸。坂を降りていくとメキシコ大使館がありました。頑丈に門が閉じられていましたが、ここも立派でした。お国事情でしょうか、レバノン大使館はビルの2階にありました。マンションの広告が目につきました。「新築49.2平方メートル。 325,000円」(家賃に325,000円ですって!)
 永田町がすぐ近くなので、あちこちに警備の警察官の姿が見えます。日本の政治の中心地に(ああ、これが日比谷高校!)マフラーをぐるぐる巻きにした男の子が登校してきました。

 羽田空港はブリーフケースを持った企業戦士、修学旅行生、子どもの手を引いた親子づれ、フットボールの試合に行くアメリカンスクールの高校生、秋の旅行に出かける授産所の人たち、団体旅行の人たちでいっぱいでした。(東京って動いている!)私たちが乗った11時40分発大分行きが平日なのに満席だったのにも驚きました。旅の目的はなんですか、とアンケートをとってみたい衝動にかられました。

 搭乗1時間30分後、飛行機から見える2日ぶりの大分には、高層ビルも首都高速もゴルフ場も見えません。ただ見渡すかぎりの緑が広がっています。これが私のふるさと、これが私の住むまち、なんだかしみじみそう感じました。




2003.10.26 「教育」はだれのもの?

 10月22日の前夜、心穏やかではいられませんでした。
 明日は、大分県で初めて中学2年生全員に学力テストが実施される日です。
 その日の夜、私は決算特別委員会の仕事で竹田にいました。他の議員さんも一緒でした。みんなは、のんびりと食事をしていました。(あんなに議論したのに。)

 10月22日夕方、教育委員会に連絡しました。「各事務所に連絡をしましたが、トラブルもなくほっとしています」のことばに正直安堵(あんど)しました。

 夕刊に大分市内の中学校のテスト風景が載っていました。
 夜、妹と電話で話していて「学力テストの問題はお母さんたちにはあんまり伝わってないね」と言われました。(それでもいい。結果が一人歩きしなければ。)

 私は、全県一斉の学力テストのことを考えるとき、一緒に勉強した5年生の子どもたちの顔が浮かびます。ストップウォッチを持った教師が「はい、始めてください」「はい、やめてください」と言っています。その後から「先生、もうちょっと待って!あとちょっとで解けるから」と何人かの子どもたちが言いはじめます。「できたところまででいいの。はい、次にいくよ」と言わざるを得ない教師。そしてほっぺをふくらませたままやる気を失っていく子どもたち。

 10月24日の朝刊には和歌山県が学力テストの実施結果を学校別に発表すると載っていました。「こうすることにより保護者の教育に対する関心が高まることが期待できる」と教育委員会の弁。(冗談じゃない!教育に関心を持たせるために子どもにテストをするのか!もっと他の方法を考えろ!)(学校ごとの成績を公表することによって荒川や広島で今、何が起こっているか現実を見てみろ!)

 11月10日に小学校5年生が県下一斉学力テストを実施します。テストは業者が持ち帰り、年明けにデータが出るようです。
 大分の子どもたちが学力テストに振り回されることなく生活できるように注視し意見を言っていきます。

 2003年3月20日。社会や学校教育の抱えるさまざまな問題を克服するために、そして新しい時代にふさわしい教育のあり方のために教育基本法を変えるとの答申(中間報告)が出されました。それと連動するかのように全国的な学力テストの実施。ますます管理的になる東京都の日の丸・君が代の強制。

 国家のために教育があるのではありません。
 子どもたち一人ひとりのために教育はあるのです。




2003.10.4 びっくり視察報告記「ごみもいのちもリサイクル」
 〜福祉・保健・生活・環境委員会の県外視察(研修)

1日目 大分空港から羽田空港へ、そして初めて東北新幹線で福島へ

『湯ったりデイサービス事業』(福島市)

 65才以上で介護保険に該当していない人が、昼間お客さんのいない温泉旅館を利用して、楽しみや生きがいが見つけられるように本年度より実施されています。温泉とデイサービスを組み合わせて介護予防へ活かし、医療費削減・温泉地の活性化、も図っています。
 どういう流かというと、温泉旅館のマイクロバスで旅館に到着。看護師さんのチェックを受けて、お風呂へ。その後、大広間で昼食・レクレーションを楽しみ、マイクロバスで帰路。1回の料金は1200円です。
 ビデオを見せてもらいましたが、画面には元気一杯のおばさんたちが喜々として映っていました。反響が絶大で申し込みが殺到しているそうです。
 「温泉に行こうね」と言いながら一度も連れて行ってあげられない母の顔が脳裏をよぎりました。
 市が本当に利用してもらいたい虚弱な人や家の中に閉じこもりがちな人が参加できなくなると本末転倒ですが、別府をはじめ多くの温泉地に恵まれた大分県でも旅館組合や委託事業者がうまく決まればやれる事業だと思いました。


2日目 北に位置するだけであって朝から肌寒さを感じます。空はどんより曇っています。バスで4時間かけて新潟県へ。

NPO法人『地域循環ネットワーク』(長岡市)

 市内の保育所・小・中学校の給食(すべて自校給食)で出る残さを回収し、循環型農業をめざす牧場と協力して微生物を介在させて発酵し、家畜の飼料にしています。「ごみから資源へ」を柱に市民ボランティアの力を借り、年間1170トンが資源化されています。

 残さを処理するボランティアの人




いただいた昼食 ・・・ピーマンのあまさが忘れられません。

メニュー
・発芽玄米と白米のごはん
・ 無農薬で育てた豚肉のオレンジ風味野菜添え
・ きのこのスープ
・ 野菜サラダ
 (レタス・たまねぎ・にんじん・きゅうり)
・ なすのつけもの


 環境の問題はいのちに関わる問題です。高木喜久さんの講演や赤峰勝人さんの本・ビデオで学習した一つ一つのことが、私の中で線としてつながっていきました。
 「まずはゴミを出さない工夫。そして、地球温暖化・ダイオキシン・環境ホルモン、分別することで再利用できるものから資源化していくことが大切です。
 しかしゴミを出している市民が自分から動き始めない限り、ゴミ問題は解決しないでしょう」「ボランティアって、金があって、時間があっての人がやっているんじゃなくて、金もなく、時間もない人が一生懸命やっているよ」と代表の金子博さんの言葉が胸にしみました。


3日目 人口19万の長岡市なのにどうしてこんなに大きくて立派な駅舎なのかしら、やはり田中角栄さんのおひざ元だからかしら、とあれこれ考えながら新幹線で埼玉県へ。夜3ヵ月ぶりにおいっ子と会って、旅の疲れもふっとびました。

『リサイクルふれあい館・エコロ』(所沢市)
 エコロジー(環境)と所沢を文字って、エコロが誕生したのは、2003年3月だそうです。写真で説明します。


 再生家具頒布展示コーナー
 新品のようなWベット2500円でした



 月2回抽選 倍率は20倍〜50倍でした



 1人が出す1週間分のごみの量



 25mlの油を下水に流すと魚の住める水質にするにはこれだけの水が必要です



 古着・古布もったいない市(1着100円)



 裂き織りコーナー
 不要になった衣類を裂いて布を織ります



 見学に来た所沢に住むおばあちゃんに話を聞く




 海も山も川も空気も美しくなければ生きてゆけない。その努力を私たちはしなければならないし、子どもたちに伝えていかなければならないと痛感しています。身近なところからできる「地球を守る」ことを考えていきましょう

●戻る(ときどき日記最新号)