アメリカ合衆国大統領 ジョージ・W・ブッシュ様
日本国 内閣総理大臣 小泉純一郎 様
            


     
< 声 明 >

 ・アメリカで起きた多数の一般市民を巻き込んだ無差別テロは
  絶対に許すことがで きない 

 ・このテロ事件に巻き込まれた犠牲者と家族に心からの哀悼を表明する

 ・テロの根絶と、問題の根本的解決のために、米国に対して軍事的手段では
  なく、国連を中心とした法に基づく解決を目指すよう求める

 ・日本政府には、今こそ世界に誇る「平和憲法」の理念に立ち返り、
  "暴力の連鎖"を  招かないよう、アメリカ政府に冷静さを求め、
  平和的手段による日本のイニシアティブを発揮するよう求める。


 9月11日、ニューヨーク、ワシントンなどで起きた、数千人もの人々を巻き添えにした無法なテロ行為に、私たちは大きな衝撃を受けています。いかなる理由があろうと、このようなテロ行為は許されません。犠牲になられた方々に対し哀悼の意を表するとともに、ご冥福を祈ります。このような暴挙が誰によって、なぜ行われたのか、真実は一日も早く究明され、このようなテロ行為の根絶が目指されなければなりません。

 しかし、今、アメリカ政府が「報復」という名の下に行おうとしている、アフガニスタンへの軍事攻撃は、この問題の根本的解決の方法とならないばかりか、むしろ事態を"暴力の連鎖"へと泥沼化させ、場合によっては世界中を巻き込んだ戦争を誘発しかねない危険性をはらんでいます。もしアメリカが武力行使を行えば、今回の事件とは関係のない多数のアフガニスタンの一般市民までもが巻き添えになるであろうことが指摘されています。ニューヨークの多数の犠牲者がそうであったように、アフガニスタンの一般市民にもそのような被害を受けるなんの罪も理由もありません。それをしかたないというのであれば、まさしく今回のアメリカでの非道を実行したテロリストたちと変わりない立場に米国が立つことにならないでしょうか。今回のように、まったく関係のない民間人を平気で巻き込む手法をとったテロリストたちは、泥沼の報復合戦になれば、最終的には、人類全体をも巻き込んでの破壊、破滅をもいとわない暴挙に出る危険性を持っています。また、彼らは死を覚悟しているわけですから、報復、制裁による威嚇効果、抑止力は期待できません。今回のテロリストグループを潰しても、テロが起きる元になっている環境と関係が改善されない限り、また第2のテロリストが必ず登場すると言われてます。

 ローマ法王は、9月13日、憎しみと暴力の連鎖を断つために、アメリカは報復しないという勇気を持つべきである、と述べました。また、15日に発表されたNBCテレビとウォールストリート・ジャーナル紙の共同世論調査によれば、米国民の81%は「テロに本当の責任者は誰なのか」が完全に明確になるまでは軍事力による「報復」を実行すべきではない、と答えています。暴力によって、暴力を克服できない以上、その解決は、軍事攻撃ではなく、あくまで国際的な機関によって、国際法に従い、理性的、平和的な方法で、今回の犯罪の責任者を逮捕、処罰すべきです。

 今、アメリカを含めて、私たちがまず考えなければならないのは、なぜそのような非人道的なテロ行為がおこされるのかということではないでしょうか。そのような暴力と憎しみを生み出す構造自体を変えていくこと、中東などの第三世界との外交政策、「先進国」と第三世界との富のはなはだしい不均衡、不平等、貧困問題についても、自らの問題として取り組まねばならない時期に来ているのではないでしょうか。
 
 また、今回、日本政府はアメリカの武力行使に対して、性急に支持を表明、自衛隊を出動させようとしています。戦闘状態にある米軍を支援するために自衛隊を出動させることは、完全に日本国憲法を空文化させるとともに、なし崩し的に自衛隊が戦争に巻き込まれていく危険をはらみ、また同時に、日本に暮らす一般市民もテロの対象、巻き添えとする危険にさらすものです。このような日本の民衆を危険にさらす事態は、国民の生命と財産を守る義務を負う日本政府のとるべき対応とは言えません。

 日本国憲法は、「全世界の国民が平和のうちに生存する権利」を高らかに認めています。この日本国憲法の理念こそが、出口の見えない今の事態に対する解決への道を指し示すものと私たちは考えます。日本にしかできない、日本だからこそできる国際平和への貢献というものがあるはずです。幸いにも日本は、パキスタンやアフガニスタンとも悪い関係ではないと言われています。今こそ日本が、平和憲法を活かす時だと言えます。軍拡競争への道を遮断し、和解と平和への道を模索する他に、私たち人類が生き延びる道はありません。日本が米国と真に協力していく方法は、平和憲法前文の理念の上に立って対話を模索することです。滅びに到る軍事力による「報復」の「誘惑」におちいってはなりません。

 数千人にも及ぶといわれる今回のテロ事件の直接の犠牲者とその家族の方々に、限りない哀悼を捧げます。瓦礫の下の人々の一刻も早い救出と手当てを。また、精神的にも深い傷を受けた人々への十分なケアがなされるように願います。日本にいて、現場にかけつけることもできず、悲嘆と心労に打ちひしがれている犠牲者や行方不明の方の家族に、政府はもっとも必要な情報とサポートを提供してください。同時に、このような残虐で悲惨な行為が二度と引き起こされることのないよう、いかなる暴力も許さない世界に向けた平和構築の努力を、平和憲法をもつ日本が、イニシァティブをとって行動するよう強く求めます。

                                                        2001年9月20日
 
米軍基地と日本をどうするローカルNET大分・日出生台

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