2002年11月20日
陸上自衛隊西部方面隊総監
陸将 松川正昭 殿
日出生台対策会議
議長 内田 淳一
社民党県連合
代表 重野 安正
大分県平和運動センター
議長 岩崎 正文
部落解放同盟大分県連合会
委員長 山崎 千利
言論・結社・集会の自由を否定した
貴職の発言撤回、謝罪及び早期会談を求める求める申し入れ書
前略
11月18日、日出生台演習場前で私たち日出生台対策会議や
地元住民有志が、11月11日から実施されている日米共同訓練に
抗議する集会を開こうとしていたところ、突然、戦闘迷彩服姿の
貴職が現れ、「なぜ訓練に反対するのか、集会の趣旨を明確に
せよ」と詰問されると共に「わたしはここの責任者だ」と立場を
明らかにして集会に割り込んで参りました。
私たちは現職幹部自衛官の貴職の強い言動に驚きましたが、貴職が
総監を務める陸上自衛隊西部方面隊への要請(9月30日、別紙)
及び防衛庁・防衛施設庁への要請(10月3日、別紙)、更には
当日持参していた「アメリカのイラク攻撃に反対・有事関連法案
廃案・日出生台演習場での沖縄駐留米海兵隊との共同訓練に反対」
する大分県民、約9万名の署名で明らかにしているように、この
アメリカのイラクへの先制攻撃ではその最前線に投入されることが
確実な沖縄駐留米海兵隊が、この日出生台で共同訓練を行うことは
許されないとの私たちの「反対の意志」を説明すると共に、陸上
自衛隊の最高幹部の一人である貴職が、国民の基本的な権利である
集会開催の自由に介入した違法行為を、厳しく追求しました。
しかし、貴職は、貴職に同行されていた他の幹部自衛官の制止にも
かかわらず、「北朝鮮問題がある、この共同訓練は北朝鮮に対する
抑止力になる」と強調され、更には「反対集会を開くと報道陣が
集まり、訓練内容が敵国に知られる」などと、およそ時代錯誤としか
言いようのない暴言をはかれ、集会の中止を求められました。
これら一連の貴職の言動は、貴職の目前で取材されていた報道各社
によって広く県内外に、報道され、大きな反響を起こしています。
したがって私たちは、陸上自衛隊の最高幹部の立場を明らかにされた
上で行われた貴職の言動に対して以下のとおり申し入れを致しますので、
文書で回答いただくよう要請致します。
記
1)共同訓練に関して賛否両論があることは私たちも承知していますし、
賛否両論があるからこそ日本の民主主義は健全だと思います。しかし、
今回の貴職の言動は、自衛隊の最高幹部としての立場から、憲法が保障
している思想信条の自由、言論・結社・集会の自由に昂然と介入し、
日本の民主主義の根幹を否定した違法極まりない言動です。
速やかに反省し、発言を撤回され、国民、県民に明確に陳謝されたい。
2)今回の共同訓練では、これまで日出生台演習場で行われてきた日米
共同訓練や沖縄駐留米海兵隊の演習と同様、訓練内容が報道陣や民間人
にも一部公開され、その内容が広く報道されています。にもかかわらず
私たちの集会によって「訓練内容が敵に知られる」から中止せよとの
自衛隊最高幹部としての貴職の発言は、かつて日本を暗黒時代に陥れた
帝国陸軍の姿さえ彷彿させられる思いです。
私たち県民の反対行動が何ゆえ「訓練内容を敵に知らせる」行為なのか、
規則の発言の意味を明らかにされたい。
3)今回の共同訓練について、防衛庁、及び防衛施設庁は、私たちに
「通常の基本的な訓練であり、イラク攻撃など特定な想定はない」と
説明され、報道機関や国民にも同様な事前説明をしていますが、貴職は
私たちや現地で取材していた報道陣にあえて「北朝鮮への抑止」と
自ら明言されました。
防衛庁の事前説明と大きく食い違った発言ですが、いずれが正しいのか
明らかにされたい。仮に、貴職の発言が貴職個人の発言であるとすれば、
日朝国交正常化交渉が難行している現在、文民統制上由々しき問題で
あると考えますがこの点についても貴職の見解を伺いたい。
4)マスコミの報道によれば、陸上自衛隊幕僚幹部広報室と西部方面
総監部広報室は、18日当日の状況把握を進めた内容を発表されたよう
です。しかしながらこの状況把握なるものは、当事者の一方である
私たちや現地で取材していた報道関係者から事情を聞くどころか、
問い合わせすらも行わず身内だけで辻褄あわせをした欺瞞行為であり、
無責任かつ権力的押しつけ以外の何物でもありません。18日当日、
貴職は私たちに「今後とも話し合いたい」との表明をなされたにも
かかわらずこのような不誠実な対応に怒りを禁じ得ません。
したがって、私たちには、上記事項に対する貴職の見解を直接
伺いたいと思いますので、貴職が日出生台演習場に滞在されている
間に速やかに公開した会談の場を設定されるよう要請致します。
なお回答は文書によりいただくよう要請致します。
以上
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