自作の勧め
| デジタルカメラとスコープを組み合わせて、遠くの野鳥をアップで撮る超望遠撮影が注目を集めています。望遠鏡の接眼レンズをカメラで覗いて撮るコリメート法という手法で、天文の世界では小型の望遠鏡でも、小さな惑星を手軽に拡大して撮る事が出来る事から古くから使われていた方法で、私も昔々苦戦しながら取り組んだ経験があります。 近年画質の良いデジカメを比較的安価に手に入れることが出来るようになり、高価なバズーカ砲のような超望遠レンズを使う銀塩カメラに手を出しかねていた野鳥ファンが、手軽に「私の野鳥写真」を手にすることが出来ることから、マイ写真を楽しむデジスカーは、今後も増えるものと思われます。 しかし、デジタルカメラ+スコープ=デジスコはここ数年の歴史しかないことから、デジタルカメラ、スコープ、架台等を組み合わせて使うシステム機材としてはまだまだ発展途上の技術と思われます、各メーカーから専用品が発表されるようになりましたが、使い勝手としては今一の物が多いようで、皆さん随分苦労されているようです。 ここでは、私が3台目のデジタルカメラに合わせて、安価・軽量・小型・操作性を重視して自作した、デジスコシステムを紹介します。なんらかの参考にして頂ければ幸いです。 |
|
1.三脚、マウント |
|
![]() |
三脚:GITZO MOUNTAINEER G1228 4段ラピッド2型カーボン三脚。 剛性が非常に高く、且つ軽量、雲台を外した長さが52cmで航空機内へ持ち込める長さになる。 雲台:MANFROTTO 128RC Mini Video Head。 小型ビデオカメラ用雲台でXYともスムーズに動く、耐荷重が4kgとのカタログ値だが、クィックシューの座面が小さい(52mm×42mm)為大型のスコープにはきついと思われる。 ガイド鏡:MIZAR 8×21mm正立ファインダー。 対象を素早くスコープの写野に入れる為に導入、対象の距離によりパララックス量が変化するので若干の慣れが必要。上記雲台の肩面に4mmのネジ穴を2箇所に明け、2mm厚のアルミ板で作ったブラケットを固定して取り付けてある。30m程先の目標に合わせてスコープとの光軸を合わせて使用している。 製作時間:2時間。 |
| 1-1.ガイド鏡マウントの変更 | |
![]() 上記構造では、スコープの雲台への取り付け部の剛性が低いことや、スコープの再セット時の再現性が低いため、ガイド鏡の光軸修正が頻繁に必要になることから、天体望遠鏡方式に変更(スコープとガイド鏡の一体化)することにした。スコープ本体のプリズムボックス後方の接眼レンズ取り付け部の円形部分に合わせて、2mm厚アルミ板をメガネ型に加工し、メガネの真ん中を3mm×35mmビスで締め上げることでスコープ本体への取り付けとガイド鏡を抱き込む構造とした。ガイド鏡抱き込み部はメガネのままでは固定力不足なので1mm厚のアルミ板を加工してホールド面積を広げ、メガネの片方にゼリー状の瞬間接着剤で固定した。 |
|
![]() 左図はスコープ本体に仮セットしたところ、スコープの側面に見える白いものは、本体の照準ラインと一体になってガイド鏡の鏡筒を固定する為のもので、ドアの衝撃吸収用の建材を流用した。右図はガイド鏡を差込み真ん中のネジを締め上げ固定したところ。スコープ本体の照準ラインと平行に取り付けることで、光軸はそこそこに合ってくれる。 |
|
![]() |
光軸はスコープ本体の照準ラインにガイド鏡の筒を正確にあわせることで概略合うが、このままでは満足できる程の精度は出ない。幸か不幸かこのガイド鏡は光学メーカーの製品とは思えない程機械的なガタが大きい(他にプリズムカバーが脆弱で使用初期に破損してプリズムが脱落してしまったなど製品として???の問題もあり)。鏡筒とレンズ・プリズム部の接続部(差込式)が誤差が大きくガタガタなので、このガタを利用して細かい光軸修正をする。差込凸部にセロテープを貼ったり、取ったりしながら満足いくまでの作業になるが、この方式では一度合うと狂わない。この光軸あわせは距離によってパララックスが発生するが、日頃よく使う距離に合わせておき、他の距離のときはパララックスの傾向を経験的に覚えておけば問題無く使える。 製作・調整時間:7時間 |
2.カメラ取付けアダプター |
|
![]() |
使用スコープ:Kowa TS614 60mmED PROMINAR。 今は生産されていない初期の頃の60mmプロミナー、小型だが明るくしっかりした像を結び、且つハンドリングに優れた名器。 接眼レンズ:Kowa 20−40×ズーム。 改造@:見口ゴムを素早く外せるようにゴム取り付け部の凸部を低くしてある(手前の白い部分)。削り過ぎると見口ゴムが止まらなくなるので、直径をノギスで測りながら慎重に作業する必要がある。 改造A:アダプターリングを固定する部分の外径を、ズームリングのゴム径より1mm程大きくなるように0.5mm厚アルミ板とビニールテープで被覆(緑色の部分)、このビニールテープはアルミ板の固定だけでなく、後述アダプターとの摩擦抵抗でカメラを保持する効果を持たせてある。 製作時間:2時間。 |
![]() |
アダプターリング:ネジ径変換アダプターで市販品 28mm×37mm。 アダプター:1mm厚アルミ板を上記接眼レンズのビニールテープ部の外径とアダプターリングの外径に合わせ円筒形に加工する。接眼レンズ(改造A)との外径差は0.5mm程度になるように丁寧に加工する(手で軽く差し込める程度に調整)。形状が決まったら、外周をビニールテープで締めるように巻きつけアダプターリングを瞬間接着剤(木材用の高粘性タイプ)で固定する。この接着に当たっては製作誤差、嵌合の誤差、カメラの重みによる接眼部のたわみ等で光軸が曲がるのを考慮し、この曲がりをキャンセルしてスコープの光軸、とカメラの光軸が平行になるように(同一線上にはならない)、微調整をする(この調整がキチット出来ていないと画質が劣化する)。 TS614は接眼レンズの取り付けバヨネットが弱く、カメラの重みで撓む為、写真で見るように(アルミ筒に対して修正分の角度を付けてアダプターリングを取り付けてある)、かなりの修正を必要とした。 |
![]() |
アダプター改造 1.先端部(スコープ接眼レンズへの挿入部)がカメラ重量によるモーメントで開かないようにタコ糸で鉢巻をした(桶のタガの要領)。タコ糸で巻いた後瞬間接着剤で固めてある。 2.水平方向の両側に20×15mmの穴を開けた。これでカメラを外さずに接眼レンズのズーム操作が出来るようになったが、この接眼レンズはズーミングすると焦点がずれるので(カメラのモニターでは確認出来ないレベル)、万能ではないが少しは使いやすくなったようだ。 改造時間:3時間 |
![]() |
アダプターの内側に光軸合わせ用のスペーサーを上と両側に3個取り付ける。 スコープの光軸とカメラの光軸が平行になるようにアダプターリング側に、接眼レンズの見口ゴム部との隙間を調整するスペーサーを、木材を加工して瞬間接着剤で取り付ける。最初は少し大きめのものを付けて、接眼レンズに合わせながら削って調整すると失敗しない。 上部のスペーサーは接眼レンズゴム見口部の形状に合わせて加工してある、両側部のスペーサーは内面を斜めにしてあり、奥まで差し込むことにより視野中心にセットされるようにしてある。 製作時間:6時間。 |
3.レリーズアダプター |
|
![]() |
機械式レリーズ:市販品 300mm。 アダプター:1mm厚アルミ板をカメラのグリップの形状に合わせて折り曲げ加工し、上部コマンドダイアルの側面と下部電池室カバーとを挟み込んで固定する縦材と、グリップをホールドする横材を瞬間接着剤で固定する。上部シャッターボタンの位置に予めドリルで開けた下穴に、レリーズのネジ部をねじ込み瞬間接着剤で固定する。 |
![]() |
上記レリーズアダプターをニコンクールピクス995に取り付けた状態。 丸い切り込みはコマンドダイアルの再生位置を操作するためのもので、レリーズを付けた状態でカメラが本来持っている機能を全て使用出来るように考慮してある。 原価1000円程度の単機能機械式レリーズだが。ニコン純正の12000円もする電気式のレリーズよりは早く確実に作動する。 製作時間:3時間。 |
4.モニターフード |
|
![]() |
左はモニターフード本体、右は差込式の拡大用接眼レンズ。 モニターフード本体:0.5mm厚アルミ板を使用して1枚の板で成型出来る様に展開切断したものを、折り曲げ加工して製作してある。接眼レンズが入るところは4辺にレンズ保持用の舌片を設け、挿入口はレンズ枠の大きさに合わせて木材を使用して形状を整えてある。外面はアルミの冷たさをカバーするためにビニールテープを巻いてある。 接眼レンズ:100円均一で購入した玩具の双眼鏡の接眼レンズを転用したもの(倍率約2倍)で、上下に位置決めと操作用に木片を取り付け、裸眼とメガネ使用時に対応するように前後にスライド出来る構造にしてある。 モニターフードの長さはこの接眼レンズの焦点距離に合わせて決めた。 |
![]() |
フードを裏側(カメラ側)から見た図。 内面は光の反射を抑える為に艶消し塗装をしてある。 カメラへの取り付けは粘着剤付のベルクロを使用、カメラ側の機能を損ねない範囲でベルクロの寸法を決めて裁断したものをカメラ側とフード側に接着してある、カメラへの取り付けはワンタッチで行える。 製作時間:8時間。 |
5.セット状態 |
|
![]() |
全てをセットして撮影スタンバイの状態。 改造@:アダプター改造 改造A:ガイド鏡マウントの改造後 カメラはアダプターを接眼レンズに差し込んだだけで固定される。クールピクス995は重心がカメラレンズから大きくグリップ側にずれているが、接眼レンズのビニールテープとアダプターとの摩擦抵抗でカメラが回転しない、又ネジ等で固定していないため縦位置へのフレーミングの変更など簡単に出来る。 ビデオ雲台の操作ハンドルとレリーズを右手で、スコープの焦点ノブを左手で操作することで、軽快にデジスコ写真を楽しめる。 総重量4kg。 合成焦点距離≒1500mm〜4500mmの超望遠撮影を手軽に楽しめるデジスコシステムである。 |