| 早春の坊がツルに憩う (4月1〜2日) 狭間 渉 4月最初の週末、九重の春を見つけに、また、最近購入した山道具の点検、それに治りかけの腰痛の具合の確認も兼ねて坊がツル山行を計画した。4月2,3日の予定だったが天気の具合から絶好の1〜2日に急遽変更。 九重に春を見つけた 4月1日 4月に入ったというのに九重の山の北面には残雪がチラホラ・・・つい数日前に降り積もった雪とは明らかに異なり、長者原に近づくと見上げる星生山北面に小雪渓を観る。 ![]() 星生山北面の残雪 雨が池コースは昨夏訪れたときは気がつかなかったが、見違えるほど登山道の整備が進んでいる。九州自然歩道の再整備ということらしく、かなり大がかりな整備で小気味よい歩道、木道、階段等が整備された。雨が池付近の木々はマンサクだけが芽吹いており、三俣山北面の小さな雪渓とマッチする。雨が池から見下ろす坊がツルは春の風物詩・野焼きの直後で一面黒々としている。九重山記の「春は即ち山は黒色となる」という光景、まさにそのものだ。その中にテントが1,2張りほど遠望できる。 ![]() 早春最初に眼につくマンサク 木道が整備された雨が池 歩き始めて2時間で午後4時、坊がツルのテント場着。 まずはテント張り。4〜5人用(210×210×145)は一人では大きすぎることは分かっているが、様々な検討の結果この大きさに落ち着いた。1月の初おろしの坊がツルでの設営の際、強風に少し難儀し、相棒は閉口したようだが、どんなテントでも設営時の難儀は天候次第ではつきもの。この日も坊がツルへの道中ほとんど無風に近かったが、設営の頃には風が出てきた。テントが飛ばぬよう風上側の両隅にペグを打ち込み、無難に短時間に設営完了。 ![]() 荷物一式を放り込んで早速、法華院まで酒・ビールを仕入れに、もちろん山のいで湯満喫も。法華院温泉は、昔は冬場はぬるめであったが、今は場所を五輪塔側に作り替えている。硫化水素泉を沸かし、坊がツルを見下ろせる展望所も設けた。湯は熱めの43〜44℃くらいであまり長く入ってはおれないが、疲れた筋肉をほぐすには適温か・・・展望バルコニーと湯船を行ったり来たり。この展望所から平治岳、北大船をバックに先ほど設営した明るい緑色の我がテントだけがひときわ目立つ。 ![]() 背景に大船山、立中山が迫るのだが・・・写っていない 千羽鶴のワンカップとエビスビールを仕入れてテントに帰還。早速晩飯の準備。今宵のメニューは最近レパートリィに加わったポトフ。大根、人参、白菜、ねぎ、ウインナーソーセージ、豚肉にコンソメで味を付ける。この日の坊がツルのテント場は神戸在住のオーストラリア人カップルなど計4張り。それぞれが一定の距離を置きつつ野焼きで黒々とした地肌を避けわずかに焼け残ったスペースを探して張っているから、お互い遠慮は不要。 今回の目的の一つは装備の点検 ・・・例えば、天井から吊すつもりのLEDランタンはカラビナを掛けるつもりのメッシュの目合いが小さすぎ、細引きが必要なことが分かった。細引きの代用にビニールを切って使おうとしたが、ウルトラ軽量化志向で採用したわずか22グラムの小型アーミーナイフではものの役に立ちにくい・・・炊事はフォーク一本でやろうとするとやはり箸があった方がよい、ポトフをつくってはみたが食器に移すシェラカップがやはり必要だ、などなどをであったが・・・机上で考えることの問題点がいろいろ分かって良かった。また、イワタニプリムスの1リットルの水を2分20秒で沸かす省エネバーナーの威力も確認できた。夕食朝食(雑煮)それに暖房用として今回の山行で250グラム入りガスカートリッジのわずか5分の1の52グラムの消費であった。夏山縦走ならば単独で1週間のテント泊にガスカートリッジ1個でよいことも確認できた。さらに、テント内での読書にこのところロウソクの灯では風情はあっても目が疲れすぎるが、この点LEDランタンはヘッドランプの4,5倍の明るさであり、軽量、長時間寿命、上から吊せて目に優しいなどなどテント泊には必需品になりそうだ。 九重の持つ優しさ 昨年来、坊がツルに単独で来る機会が増えてきた。これで昨夏以来4回目だ。祖母傾のブナの森にテントを張って静かな時を過ごしたいと思うが、実際に一人で彼の地のテント泊は淋しくて怖くてとても一人じゃ無理。その点、坊がツルは、相棒が居ればそれはそれでよりいっそう楽しくなることは確かだけど、居なくても、まわりにテントが全くなくても淋しくとも怖いとも全然思わないから不思議だ。九重の持つ、坊がツルの持つ山の雰囲気故だろう。恥ずかしながらこの歳になって九重の持つ優しい時間の魅力に気がついた。今後ともいっそう大切にしたいものだ。・・・と言いつつ夕食の後は山の本を読むことにしていたがほろ酔い気分の寝袋の中でいつの間にか眠ってしまった。 翌日も快晴。朝陽に天狗城直下のルンゼの残雪がはっきり遠望できる。小さそうだが厚みがあり、まとまった雨でもない限り‘雪渓’は当分消えそうにない。雑煮の朝食を簡単に済ませ往路を下山。 ![]() 野焼き直後の坊がツル 天狗城直下のルンゼに残雪が 「筋湯のうたせ湯は筋に効くホントの話」は本当の話 このところ腰痛に悩まされ続け、昨年来、MRIの精密検査、内臓疾患由来も視野に腎臓、大腸などの検査もした。投薬、湿布、マイクロ波の電気治療もした。結果、骨の異常はほとんどない(少しはあるが年齢相応)とのこと、それにもかかわらず特に朝の寝起きの「この腰痛はいったい何なんだ?」・・・この歳になれば甘受しうまく付き合うしかないのか、と諦めムードであった。この山行の少し前、仕事で九重界隈を通ったとき、栗さんの山のいで湯行脚の話を思い出し、うたせ湯にちょっと立ち寄ってみる。結構高い位置から落下する熱湯に身体の患部を委ねる。患部には効きそうな感触ながら全身に熱湯の飛沫を浴びるので、ものの5〜10分くらいで我慢できなくなる。それを2,3度繰り返してみる。翌朝の寝起きがわりと楽であったので2日後にもう一度訪れた。投薬や電気治療、湿布もやっていた時期なのでどれが本当に効いたのかは分からないが、少なくとも2度のうたせの後に朝の寝起きが随分と楽になったことは確かだ。そして、そのことにより再び荷物を担ぐ気になり今回の坊がツル行に結びついた。 下山後はもちろん筋湯のうたせ湯に直行。軽いボッカの後だけに念入りにと、熱いのを必死で我慢してこれまでより頑張った。のぼせたのだろろうか、途中から気分が悪くなり外に出たとたん倒れそうになり、その場にへたり込むと全身から脂汗が流れ落ち始めた。もうちょっと長湯してたら、もしかしたらやばかったかもしれない。何事もほどほどにしないとね。まっ、それはともかく、うたせの効果は・・・多分、筋湯の、豊富な熱湯の落下(熱×量×落下圧)がもたらすものだろう、と思う。筋湯の筋湯たる所以であろう。うん、松田さんには効かないかもしれないが、高瀬の腰痛なら効果あると思うよ、きっと。 さて、今回の山行は九重の春を見つけること、装備の点検、湯治が主な目的であり、妻の入院でしばらく途絶えていたこともあり、久しぶりにリフレッシュできた。帰途、雨が池から見上げた三俣山の残雪・・・三俣〜雨が池コースもその昔4月の雪の中を加藤さんらと下った記憶が甦ってきたが、「このコースはご遠慮下さい」とある。遠慮しろと言われると行きたくなる。岩井川岳から扇が鼻コースも、高瀬との約束はあるがそのままになっている。高校1年の時に初めて九重に登って以来、それなりに九重に関わってきたが、昨年の遭難碑復旧などがあらためて九重の山を深く知る良いきっかけになった。その一方、昔からの山仲間はそれぞれの思いの中で生きており、具体的山行の一致をみることはますます少なくなっている。しからば、単独行しかない・・・テントやその他の装備は一人静かな山行を考えたとき、少しでも心豊かにしてくれる、欠かせないものだ。九重の山に溶け込むような山登りを続けたいと思う、まだテントを担ぐだけの体力はある間は。法華院温泉に一夜の宿を憩うのはそれから先の話で充分だ。(おしまい) (コースタイム)4/1 14:00長者原−16:05坊がツル 4/2 8:15坊がツル−10:15長者原 |
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