’92由布岳山開きと堀田温泉・夢幻の里
                  大分の山はやっぱりいいナァの巻


 5月9〜10日、別府で一泊して(お湯ざんまいの世界!を期待して)由布岳山開きに参加しょうと、家族に話をもちかけると即座に Go Sign が返ってきた。奥方と娘の純は前日、久し振りに大分の街歩きを楽しもうという魂胆か?そして寿彦は大分の親友・仲野君と再会して遊ぼう!との思惑があり、由布岳山開きの方はまるで付け足しの感は否めないが、とにかく9日(土)学校がひけるのを待って、我社の特急『にちりん』で南下した。4月の末、ひょんなことから高瀬兄が家族で由布岳山開きに行く、と伝え聞いたのも大分行きのきっかけにもなった。

 大分では寿彦と仲野君との再会はちょっぴり照れ臭い少年の日の思い出となった模様であったし、トキハでのウィンドゥショッピングは門司での田舎暮らしにのうっぷんを充分にはらすことができたのか?ネェ母さん。と予定のスケジュールをこなして別府は亀川温泉、JR共済の『こだま荘』に夕刻投宿完了。大分勤務時代、ここは仕事でよく使い、勝手知ったるところ。広い敷地にゆったりとした造りの保養所で、24時間浸れる湯量たっぷりの単純泉のオフロが楽しみではあるが、目新しさはない......しかし、こうして家族連れで、仕事を抜きにして泊まると趣が異なり、リゾート感&解放感で一杯となるのです。予約が遅れて、空き部屋は特室(一般のグレードの部屋と対比して言う、とはいってもあまり広くない部屋が2間つづき、オフロ・トイレ付きの設備が特室の証か?)のみ。結果的には、料金は他の部屋と変わりなく、家族4人で一泊二食、特別料理(思いきって城下カレイ)や飲み物、その他総て含めて\16000で済み、会社の福利厚生施設の威力をまざまざとみせつけたのだ。

 さて、ボクにとっての本番日の10日、五月晴れの朝、あらかじめ連絡をとっていた高瀬父子が、A.M8:00キッチリ正確に(大分時間の彼がなんということだ!)宿まで迎えにくる。麻里子姉、可南子妹も久しく見ないうちにずいぶん大きくなったぞ。5人乗りワゴンに高瀬家3人、うちが4人計7人が乗り込むのだから、当然小さい順に寿彦と可南ちゃんの2人は荷室に収まり、由布岳東登山口へ。途中、志高湖入り口までのヘアピンカーブでは、荷室のもの言わぬ筈の手荷物どもの歓声しきりで、騒々しい道中が思いおこされる。

 東登山口は既に車がかなりの数になっていて、峠からちょっと湯布院へ下った第二駐車場に留めいよいよ出発。「寿彦、どこに登るか知っているかい?」「わっから〜ん!」てな調子で東登山口からの本道と合流する。ピークへの興味は別にしても、舞台が草原とあって『秘密の本シリーズ』の中でも『昆虫の秘密』が好きな寿彦は、草むらをあっちこっちとさっそく、何やら得体の知れない虫を追い求めている様子。ギャラリー6人もただ呆れはてて、しかしあまり道草をくってはいけないので、せきたてて登る。純と麻里ちゃんの足取りが一番重たそう。仕方なく、親について来たという年代になりつつあるのかなぁとひとり思いながら苦笑い。  

             
                         由布山麓にて

 合野越にたどりついた時間が、ちょうど山開きの神事が始まる直前になり、登山者でいっぱい。座る場所を求めて、やれやれと腰を下ろした目の前に何と、加藤の御老公と太田夫妻がいるではないか。久し振りの再会を喜び、一緒に山頂を目指すことになった。この日が一年を通じて最も登山者が多いのが充分うなづける人々の列。ジグザグ道を見上げるとずっ〜と数珠つなぎとまではいかないが、つづいている。この中にはハデハデルックに身を包んだ、パラグライダーのおじさんたち(なぜか、このスポーツは中年のおっさんやおばさんが多い。つい先日も玖珠の伐株山で開かれたパラグライダーの九州選手権を観たが総じておじさん、おばさんの出場者が多かったのだ)もかなり含まれていて、大勢のなかでパフォーマンスを演じようという魂胆がみえみえ。はっきりいってトライアスロンよりも目立つ!おもしろそうだが、今日は目障り。他人が目立つのを見て喜ぶ程お人よしではないのである、ボクは。とブツブツいいながら“またえ”(東峰と西峰のコル)に到着。

 寿彦はちょっと前に着いていて、満面に汗と笑みをうかべながら、「みんな、遅いねぇ」とひとくさり。なるほど奥方と純、それに高瀬親子はなかなか登ってこない。ここで昼飯をと宣う寿彦をなだめながら待つことしばし。みんな揃ったところで、加藤の提案により西峰を目指すことにする。由布岳登山といえば、殆ど東峰を指すくらいだから西峰はうちも高瀬一族も家族には初めての峰であるし、人は少ないだろうと目論んでのことであるが、途中の岩場がちょっと心配。もちろんへっぴり腰の奥方のことをおもんばかってのことだが........。意外にも純と麻里ちゃんの“仕方なく親について来たという年代?”コンビが少々てこずった模様である。

             
                

 山頂はあくまでも晴れわたり、人もまばら。食もビールもすすみ、指呼の距離にある東峰の混雑を横目に、犬ケ岳、英彦山、万年山、九重連山、祖母・傾の大パノラマを欲しいままにする。大分の山はやっぱりいいなぁ、この時期の由布岳は気持ちいいなぁ、西峰は最高だなぁと至福の時を過ごす。

 下山は例の岩場を除けばいたってスピーディー。他の登山者の歩調に合わせながらも、休憩抜きで一気に駐車場まで下る。下山途中での四者(おじさん四人)巨頭会談で“おゆぴにずむ”の場所は堀田の夢幻の里と決めていたので迷わず直行し、森の中の露天風呂にこころゆくまでどっぷりと浸る。ここは管理人のおじいさんが宣う、半ば命令口調の決まり文句「おにいちゃん、ここでは普通の石鹸は使わず備え付けのを使うこと。地球にやさしい温泉場だぞ!」を除けば、環境、露天風呂の造り、硫化水素泉の白濁した湯と申し分なしで、ボクのお気に入りのいで湯なのだ。もちろん“おゆぴにすと”たるもの石鹸なんぞ、山のいで湯では使わないものだからして、このおじいさんの説教は馬の耳に念仏なのだ。門司に住んでみて、大分の山といで湯のありがたさを改めて痛感させられた一日であった。(平成4年5月9〜10日)

             
                  別府堀田の夢幻の里の湯にて

            

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