基礎温泉学講座・4  応用編  「入湯税」を考える
 今回は我が会の活動にとって大変迷惑千万と常々思っている、入湯税について考えてみよう。入湯税とは如何なるものであるのか?そもそもこれは税金である。おかみからのものである。地方税の中の市町村民税に入湯税なるものがある。もっと別の見方からすると、直接税、間接税とに分けると間接税にあたりこのうちの目的税ということがいえる。もっと詳しくみると、この税は鉱泉浴場(いわゆる温泉)における入湯客の入湯行為に対して課する消費税であるとともに、環境衛生施設や観光施設の整備に要する費用に充てるための目的税である。入湯者1人一日につき150円(標準税率)と規定されている。ここで少し話がそれるが税金のことについて若干の考察をしてみよう。

 もとより税金はどうして必要なのかということは、我々の日常生活と密接なかかわりをもってくる。我々の周りには様々な税金があり、好むと好まざるとにかかわらず、日本国中どこヘ行っても税金と離れることはできない。いや日本の国だけでなく世界中どこへ行っても税金と無縁ではありえない。税金を定義づけるとすれば「税金とは、国または地方公共団体がその課税権に基づき、特別の給付に対する反対給付としてでなく一般的経費に充てる目的で、一般的標準により賦課する金銭給付である」といえる。

 さてそこで我々は何故税金を納めなければならないかとか、税金は何を目的としているか、理想的な課税方法はどのような方法で誰にどれだけ課税するのが理想的か、といった税金に対する本来的な問題は他の機会に譲るとして、今回のメインテーマである入湯税という点に問題を絞ってみることにしよう。

 入湯税本来の目的は前述したとおりであるが、現状に於ける入湯税の実態といった具体的な数字を把握するすべもないので予測のもとでの判断であるが、果たしてこの税収がどれだけその市町村の税収面でのウェイトを占めているかは、各地方自治体によっては多少は異なるにせよ、おそらくそれはほんめ微々たるものでしかないと思う。僅か1回150円の入湯税が如何に徴収され納税されているか実態はわからないが、我々が山の小さな温泉宿に入浴を乞うても大抵100円とか150円、200円、高いところでは300円とか600円ととられたところもあったが、これらの入浴こ関してかかるものが果たして本当に入湯税として市町村に報告されているのだろうか?全く疑問である。

 もともと入湯する行為自体があいまいでありその実体もつかみにくい。温泉宿に宿泊すれば必ず一人150円の入湯税が取られていることは分かる。しかし我々みたいにそんなに高い宿に泊まるわけでもない、ただひたすら温泉を求めて全国行脚を生き甲斐としている連中にとってはどうしてもこの入湯税という存在が気になるのである。(加藤英彦記)

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