石鎚山と四国八十八ヶ所、同行六人
                               挾間 渉

      
   

 日本七霊山の一つ、石鎚山詣では義父のかねてよりの念願。5月4日、四国上陸後先ずは八十八ヶ所第51番札所石手寺を訪ね、松山城から市内を一望し、市内に宿を取る。翌5日はスカイラインから土小屋に至り登山開始。

         

         

 天気は上々。さすが西日本の最高峰、とにかく人が多い。数日前降ったという雪を傍らに久しぶりの古巣石鎚山を噛みしめるように進む。12時過ぎ、二の鎖元小屋で、成就社からの表参道と合流。いよいよ、鎖場の登りとなる。見上げると首筋が痛くなるほどの高度感のある岩壁に、内心不安を覚えるが、「獅子が自分の子を崖から突き落とすのにも似た気持ち」で、息子二人を先にやる。
 
         

 義父も鎖に挑戦したいようであったが、義母に制されてしぶしぶ断念。僕はと言えば、6人分のラーメンを作るための水、コンロ等に加え、弁当、ジュース、それに4人分のビール等荷物運搬人兼カメラマンで、裏方も楽ではない。実は、鎖場で一番びびったのは僕かもしれないのだ。とにもかくにも難関の鎖場を無事突破し、弥山の頂に先着し心配そうに待つ妻と義父母と合流し、皆で登頂を祝っての記念撮影と乾杯。

         

 5月の快晴の山とはいえ、2000m近い山のことゆえ風は冷たく、山頂で食べるラーメンの味は格別であったことだろうと勝手に満足。この日は面河渓谷の国民宿舎に泊まり、四国八十八ヶ所をさらに2ヶ所参って無事帰分。義父母の念願をかなえ、「将を射んとせば馬を射よ」と、たとえ動機が不純であろうが親孝行には変わりなし。これで、少しは撒き餌になったかな?と、内心ほくそ笑んだ。(平成3年5月4〜6日、参加者:挾間ファミリー、義父母)

back