始末の悪い恐怖健康番組


診察中にこの薬は飲むなと週刊誌にあったとか、テレビで尿に泡が出ると病気があると言っていたと相談を受ける。また来たか、というのが正直な気持ちだ。

 多くの報道は嘘ではないが真実では無い。副作用はどの薬にもあるが、健康になる作用を優先して薬を飲むのですと説明する。尿に泡が出るから病気があるのではなく、病気の人は尿に泡が出るのです。あなたは、尿検査をしているから泡が出ても問題ありませんと説明する。私よりテレビのお医者さんが信用されるのではやるせない気持ちになる。

 恐怖は人を動かすにはとても良い方法である。災害や戦争や、人の失敗の報道は商業的に儲かるからで、受ける側は取捨選択しないと誤った判断をしてしまう。

 情報が氾濫する時代であるからこそ、その真贋を見抜く力を持たなければならない。医療情報の真贋を見抜く力は自らの健康と生命に直結する能力である。