SA-81の改造で、垂直増幅管の6GL7を使った3段差動アンプを作りました。
レンジが狭い感じがしますが、ボーカルには魅力があります。
AESのセールがあり、6GL7の同系統の安い管を探してみたところ、10EG7という、電力増幅部が6EM7相当、電圧増幅部が12AU7相当、
という複合管が安かったので、10本注文してみました。10本買っても、送料と同じくらいの値段でしたので、とてもお安いです。
夏向きの小出力で涼し気なコンパクトなアンプを目指します。
シャーシは、また、ぺるけ標準シャーシの頒布を受けて、これを使います。
出力トランスは、ちょろQトランスが余ってましたので、これを使おうかと思っていたのですが、
ARITOさんが、またまたトランスを巻いてくださるそうですので、お言葉に甘えてしまいました。
負荷、8k(p-p)程度で、KNF巻き線付きの出力トランスをお願いしました。
電源トランスも作ってもらえるとのことで、ヒーター電圧9.7V,12.6Vのものをお願いしました。
初段管は、また手持ちのメタル管 12SC7です。
シャーシとトランスが揃いましたので、標準シャーシにトランスの取り付け穴を開けて、部品を取り付けていきます。
電源部の組み立てがおわったら、ここで、通電をして電圧確認をします。この段階では無負荷ですので、高い電圧が出てます。
アンプ部を片chずつ組み立てていきます。
1ch組み上がって、モノラルで音出しをしてみます。10EG7と12SC7は直結ですので、ペアと組み合わせを考えないといけないようです。
音は出ましたので、もう片chを組み立てます。
まず、終段のDCバランスをグリッド側を調整してあわせます。
各部の電圧と電流を確認します。初段の12SC7は二本で1mA,2段目の10EG7の第一ユニットは、2.8mA,終段は40mAと、
だいたいあってます。
オシロで出力波形をみて、発振が無いのを確認してから、スピーカにつないで試聴です。
音は、かっちりとした感じで、良いのですが、ハムが出てます。
シャーシとの導通、アースの取り回し、電源コンデンサの容量など確認しますが、どうにも変化がありません。
片側の出力管(10EG7)を2本とも抜いてみても、ハムが出ています。電源トランスから出力トランスへ、誘導ノイズが直接入っているようです。
電源トランスの取り付けネジを外して、90度回転させてみたら、ハムが低減しました。でもまだ出ています。
電源トランスを手で持って、シャーシから持ち上げていき、3cm以上持ち上げると、ハムがほとんど聴こえなくなりました。
トランスの方向をそろえてしまったことが、良く無かったようです。
電源トランスのみ、コアが正面を向くような方向に回転させた状態で取り付けられるように、シャーシに追加の穴を開けます。
シャーシとの距離をかせぐためと、電源トランスの振動がシャーシに伝わらないように、スペーサとゴムを取り付けました。
25CD6GB差動アンプとの比較試聴をしました。
もちろん出力は半分くらいですが、そんなに大きな音は出していませんので、あまり問題ありません。
10EG7差動アンプは、予想通り、6GL7に近い感じの音のようです。フォーカスが定まって、かっちりとした音です。
それに比べ、25CD6GB差動アンプは、低音は出てるのですが、もやもやして不明確な部分があることが感じられました。
同じような回路構成のアンプを作っても、いろいろと発見することがあるということが今回の収穫でしょうか。
・周波数特性
・最大出力: L 7.1W, R 7.1W (8Ω負荷ノンクリップ最大)
・出力ノイズ電圧(入力ショート): L 0.62mV, R 0.87mV
・ダンピングファクター: L 43, R 43 (ON/OFF法 1kHz)