座禅草 加米彦
初山河 育枝
老後のたのしみを見つけておきたいと思っていた矢先、ご近所の故亜老子さんのお勧めで西の台句会に入会しました。以来諸先輩に懇切丁寧なご指導をいただき今日に到っています。俳句を始めた頃は何を見ても五・七・五に詠んでみたくてひらめいたことをメモにしていました。個性豊かな句に出会って唸ったり非力を嘆くなど刺激のある生活ができ毎日が早く過ぎてゆきます。マンネリにならないよう佳句ができることを願っております。
新年
三ヶ日テープの源氏物語
空といふ美しきもの初山河
石垣の反り美しき城の春
やはらかに生きたし余生雑煮椀
よき日和続く朝や松納め
春の日をのせて一湾静かなり
一斉に光となりてゆりかもめ
旅人をもてなす寒の湯のけむり
春
ヴィオロンの余寒の胸に流れくる
水音の流れて春の動きけり
白梅の咲き満ちて空青きかな
春浅き音を聴きをり真夜の雨
ハミングを俎にのせ春たのし
空想の一人歩きや春の昼
風連れてのぼる小径や花辛夷
啓蟄や宅地となりし雑木山
鳥雲に水平線の動かざる
二羽が舞ひ三羽が浮きて春鴎
花冷えや地獄極楽涅槃絵図
振り返るショートカットや風光る
夏
シスターの白き素顔や聖五月
葉桜やふらここ揺れて声ゆれて
眼を閉じて今も日傘の母と居る
かくれんぼ風がみつけし花道草
水甘き山国川の蛍見む
かたつむり夕刻までのフリータイム
雨音の中の水音花菖蒲
六月の森千万のいのち燃ゆ
どの蔓もさまやうてゐる炎暑かな
一幹のふくらみ蝉の大しぐれ
秋
新涼の海のレトロのレストラン
白南風の吹き朝市の始まれり
朝顔の空の青さに溺れをり
秋の潮夕星ひとつずつふゆる
帰燕して風の団地となりにけり
秋冷や寺に裏門表門
祖母山に紅葉前線到りたる
千枚の棚田重ねて鰯雲
秋の夜のガラス細工のハイヒール
台風の余波がきてゐる独歩の碑
冬
またひとつ山を崩せし神の留守
ほめらるる紅葉となりし唐楓
身ぎれいに生きて二人や万年青の実
長き夜の思ひくるくる振り出しに
一面の明るさ銀杏落葉かな
高千穂の神が造りし谷の秋
冬晴の阿蘇に安らふ寝釈迦かな
紅葉且つ散る千年の磨崖仏
真っ青な空突き抜けて冬木立
空っ風案内板を左折する
平成16年7月1日
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