俳句教室  加米彦 育枝句集

目 次  新聞や俳誌「蕗」に掲載された拙句は「詩集」をご覧ください 詩集へ

俳句はことば遊びの絵画

奥が深い「五・七・五」

俳句は知的なエンターテインメント

俳句の作り方

駄目な俳句

作句の要点

発句に当たって心がけること

俳句なんでもQ&A

句会のマナー

お役立ちサイトリンク

俳人協会

Bin's Haiku World 秋尾敏さんの俳句世界(子規)

蕪村論と石華舎目録

芭蕉(bashoDB)

不易流行

案山子さんの草庵(俳句参考サイト)

北緯40度から(俳句参考サイト)

俳句歳時記

大型俳句-俳句関連文書検索エンジン

鉄輪俳句筒湯けむり散歩

俳句はことば遊びの絵画

 家内は平成7年春から俳句をたしなんでいたが、私は若い頃より俳句など文学ではないと否定的で、あまり興味関心を示さなかった。しかしある時、私の作った俳句【侘助や身の丈ほどの幸せを】を家内の名前で投句してみた。ところがなんとこれが特選に入ったではないか。これなら俺もいけると思い始めた。次に作ったのが忘れもしない【座禅草世の移ろいを生きてみる】ラッキーなことにこれも特選に入ったのであった。
 
 ご承知のように、俳句は五・七・五の季語を含む十七文字で感動などを表す世界最小の定型詩である。「果たして、これで自分の気持ちを十分表現できるのか」といつも疑問に思っていた。しかし、俳句をやってみて驚いた。こんな面白いものはない。特に句会などで高点句を得たり、特選に入ったりしたら、愉快なことこの上ない。まさに大きな魚を釣り上げたような気持ちである。最近では風流この上ない優雅なものだと思うようになった。
 
 俳句を始めたお蔭で、以前は見過ごしていた自然の風景や四季折々の表情が、より新鮮、かつ身近に感じられるようになった。私は生鮮食料品市場を訪れるのが好きだ。そこには活気があり、季節感にあふれた山海の幸がたくさんある。安くて旬の素材を求めるのが楽しみだ。妻が作った料理をさかなに、二人して一献傾ける。まさに至福の時である。料理人がうまいものを提供するには、実に素材の良さとその腕にかかっているといえる。
 
 俳句もこれと同じで、自分が詠んでみたいと思った素材、題材をいかに料理するかにかかっていると思う。いくら素材が良くても、料理の仕方が下手だと駄作になる。自分が感動したことを句を通じていかに人に伝えるかがポイントであろう。
 
 「この坂を越えたなら しあわせが待っている そんなことばを信じて 越えた七坂六十路坂」(都はるみの歌の替え歌)の私であるが、また老いの不安や苦しみが待っていた。そんな私を救ってくれたのが、ほかならぬ俳句である。NHK俳句選者でもある倉田紘文先生主宰の俳誌「蕗」と、大分合同新聞や朝日新聞(大分地方版)の選者倉田紘文先生の俳句欄に投句するのが、私の唯一の研修の場である。俳句を始めてよかった点は、少しずつではあるが自然をめでる心ができたこと、次に頭の体操になり、特にぼけ防止に役立つことである。俳句は、実に奥が深い。抑制と省略の美学だと思う。さだまさしの「秋桜」の一節にある「こんな小春日和の穏やかな日」に、団地を散策していると、思わず感動して、俳句を詠みたい衝動に駆られることがある。できるだけ第三者に共感してもらえるように、思いは深く、言葉は平明にするように心がけている。感情を極力単純化することが、余情余韻を生むように感じるこのごろである。今の気持ちを俳句で表現すれば【余生とて何か起きさふ桜草】といったところである。まさに俳句はことば遊びの絵画である。
 
奥が深い「五・七・五」
 
 余暇の善用と老後の楽しみのために、大分合同新聞「読者文芸」の俳句(選者倉田紘文先生)に投句を始めてやがて5年になる。この間、殆ど欠かすことなく続けてきた。毎週火曜日の夕刊が待ち遠しく感じられるこのごろである。
 掲載された時には、友人や知人から「おめでとう」と電話がかかることもある。街で出会った時に「見たよ!」と声をかけられるのもうれしいものだ。しかし、何カ月も続けて載らないと、「あんた、このごろ投句しよんのかえ?」といわれることもある。載ればうれしく励みになるが、載らない時は、「まだまだ修業が足りない」と受け取るようにしている。
 五・七・五のわずか十七音で作る俳句はよく「ものが言えない文芸」ともいわれる。それだけに第三者に共感していただけるのはなかなか難しい。季節感があり、景が見えて人の心に響き、つい「あっ」と叫んでいただけるような句を目指したい。
 自然をめで、発句することは頭の体操になる。風流の世界が老後の人生を豊かに楽しくさせてくれたことは確かである。(平成15年11月4日)

俳句は知的なエンターテインメント
 
 日本語の美しさ、こまやかな季節感を堪能できるのはまさに俳句の力である。俳句は知的なエンターテインメントであると言っても過言ではない。 日ごろ、新聞や雑誌などを読んで、印象に残った言葉をメモしてあるので列挙してみたい。佳句を作る上でお役に立てれば幸いである。
・四季折々の自然の変化を意識して周囲の風物に目を注ぎ風物を言葉と結びつける。見過ごしていた草花、聞き過ごしていた鳥や虫の声、自分を包み込んでいる豊かな自然を身体で感じとる。
・自分の詠みたい内容が十分に言い現せているか。感動を第三者に共感してもらえるか。言葉は平明に思いは深くが佳句の条件である。
・俳句は抑制と省略の美学である。感情は抑え句姿を極力単純化することが余情余韻を生む。
・具体的な物に即した表現が良い。形容詞や動詞を少なくし名詞を多くする。
・中七で切る。意外性を詠む。言葉にインパクトが必要。
・「自然を大切にする」「写生を重んずる」「一人ひとりが皆平等」。俳句は平明でなければならない。ことばはやさしい上にもやさしくなければならない。純粋なる写生俳句は、純粋なる眼と純粋なる心を通した素朴かつ自然なことばで綴られるべきである。人の心の奥に響く真実の詩とはそういうものではなかろうか。
・省略が行き届き、余情もあり、また新鮮さの中にも格調も備えた俳句を目指すことは作家として否定できないであろう。
・芭蕉が俳諧の芸術性を確立し、子規が発句を俳句として独立させて以来、俳句は生活の詩として隆盛を極めてきた。今日では、俳句人口は1000万人とも1500万人ともいわれ、また、海外俳句も盛んになる一方、未曾有の底辺の広がりを見せている。
・大正・昭和とたくさんの俳人を育て上げたのは虚子のまことに偉大な力というほかはない。
 
選句の基準
 
・季節感があるか、出ているか。
・景が見えるか、すっと伝わるか。
・口ずさみ、韻律が整ってリズムにのっているか。
・マンネリ化していないか。
・奇を衒ってないか。
・誤字、かなづかいの間違いはないか。
 
私の好きな俳句
 
【木がらしや目刺にのこる海のいろ】(芥川龍之介)
 
屋外では終日、木枯らしが吹きすさんでいる。その音を聴きながら、作者は目刺を焼いている。目刺は、長崎の友人から送られたもの。暖流で育った新鮮な目刺には、まだ、海の色が残っている。作者はこのことに感動しながら、目刺を焼くーーー。わびしい孤独感の中のよろこび。
【秋の灯にひらがなばかり母の文】(倉田紘文)
 
母の文。ひらがなの多い手紙。また、取り出しては、読み直す。−−都会に出ることもなく、土を耕してきた母のことばに、今日も涙する。こんな作者の姿を、秋の灯がやわらかく包む。−−母に対する男の感謝と恋情は、いつまでもつづく。(金子兜太著「日本の名俳句100選」中経出版の解説より)
 
俳句の作り方

1、俳句は五・七・五の十七音を定型とする短い詩。
2、有名な俳人と句
  古池や蛙とびこむ水の音(松尾芭蕉)       季語:蛙(春)
  閑(しず)かさや岩にしみ入る蝉の声(松尾芭蕉)    蝉 (夏)
  柿くえば鐘(かね)がなるなり法隆寺(正岡子規)    柿(秋)
  降る雪や明治は遠くなりにけり(中村草田男)      雪(冬)

3、基本

@ 楽しく読む (季語集や俳句歳時記を用意する)

俳句を好きになること。食事をするのも忘れてしまうぐらい好きになること。沢山の俳句を読んで、俳句のよさを心の中で、体で感じとること。

A 多く作る
なるべく景色そのものを表すような俳句をどんどん作ること。こんな俳句を作って人に笑われないか、ただ十七文字ならべただけだ、などと心配せずに作ること。食事しながら思わずつぶやく。道を歩きながら気がついたこと感じたことをとらえて、五・七・五と指を折ってみるようでなければならない。寝言ごとにも、五・七・五の調子でつぶやき、メモをとるくらいの熱中のしかたこそ、上達の道である。

B 素直に詠う
俳句は、自然の美しさやあこがれが中心になっているからといって、美しく作ろうとか上手に作ろうと思っていては、よい作品はできない。心に強く感じたことがあったら、そのことを中心にすらすらとくちずさんでみること。

C 省略を考える

自分の表したいものはなにか、その中心になるものをとらえたなら、その季語を大切にして、周りの余分なもの省いていくことを考える。例 川と橋(橋だけ残す)、青嵐と樹木(青嵐)、夜の堤と月見草と瀬音(月見草と瀬音)

D 読み返して直す
一つ一つの作品を読み返して直していく。
  @ 自分の感じたことにむらがなく中心がはっきりしているかどうか。
  A 季語がよくとらえられているかどうか。
  B コトバが適当かどうか。
  C 省略がうまくできているかどうか。

E 詠み合う
自分だけで推敲することはひとりよがりになりがちである。そこで何人かの人たちが集まり、俳句を持ちより、またはそこで題をきめて俳句を作り、皆で批評し合う。それが句会である。

  平井昌夫著「文章の書き方百科」(三省堂)参考

作句の注意

1.詩因を大切にすべきである。詠んでみたいと思った題材、材料を大切にする。わきあがった心情を詠みこんだもの。
季節感があり景が見えてくる(無季の句を詠まぬこと)。マンネリ化しないこと。
2.一句に詠み得べき分量を決める。最も肝要なものを選ぶ。
3.配合に注意、一作一中心。句の感じを統一させる。
4.省略を巧みにする。必要なものだけ残す。無意味な季語重複をせぬこと。
5.丁寧に詠むこと。誤字、かなづかいの間違いのないように気をつける。なお、かなづかいには、「旧かな」と「新かな」とがあるが、いずれかに統一すること。

6.感動を露骨に現さぬこと、誇張しないこと。奇を衒ってないこと。
7.空想句を詠まぬこと。
8.模倣せぬこと。
9.字余りにせぬこと。

その他 俳句を作る際に気をつけたいこと。

10.切れ字について
句の中で意味上切れるところに用いる。句中の感動の中心点を示す。や、けり、ぞ、かな、つ、ぬ、ず、よ、らんなど。要するに、そこで一度調子がつよく切れる字と思えばよい。
なお、一句の中に切れ字が二つ含まれていると、たいていの場合は調子が硬く なりすぎていけない。一句の中に、切れ字は一つだけを使うものと考えてお れば、それでよい。
 
自分自身の知識をひろめ、精神を高めることが大切である。生き方まで見える ような句がよい。

  水原秋櫻子著「俳句のつくり方」(実業之日本社)参考

駄目な俳句
 

 駄目な俳句は、よい俳句を選び出すことに比べれば、比較的チェックし易いものです。例えば、次のような句が「駄目な俳句」なのです。

只ごと俳句 ・・・ 把握の浅い、切りこみの足りない、表面をかいなでして深みのない俳句です。報告俳句といったりもします。俳句には、一つだけでよい、ほんの少しでよいから、一句の中に訴えてくる何かが必要なのです。

物語り俳句 ・・・ いわゆる「何が何して何とやらの句」です。出来事を時間の経過を追って、順番に、何の省略も飛躍もなしに書き並べてゆく俳句です。その結果、十七字が十七字だけの働きに止まり、十七字以上にふくらまないのです。

意味不明の句 ・・・ 作者の独り合点に終っていて、読者の立場に立つと、一句の意味を十分に理解することができない俳句です。俳句はまずよく判ることが大切です。何よりもまず、意味の伝達性について十分な心くばりが大切です。

余韻余情のない句 ・・・ 「判りやすく」があまりに念入りに過ぎると、今度は逆にいわゆる念入り病の弊に陥り、余韻余情の乏しい、ふくらみのない結果となってしまいます。

腸詰の句 ・・・ 逆にあまり欲張り過ぎて、十七音の中にあれもこれもと詰め込み過ぎた句です。十七音の入れ物の中に、必要不可欠なものだけを入れ、余分なものを入れないことが肝要です。

観念句 ・・・ 主観のあらわに出過ぎた句です。俳句の指導者が、口を酸っぱくして客観写生を説く理由もそこにあります。大切なのは、即物具象です。コトではなく、モノについて詠い、はっきりと形をもって書きとめることです。

類句・類想の句 ・・・ 他人の俳句との類句・類想を避けることは勿論ですが、自分自身の句の繰返しもまた避けなければなりません。常に少しでも新しい角度から対象を見ることに努めなければなりません。(山崎 ひさを著「ベストライフ俳句入門」より引用)


作句の要点
 
1.俳句は五、七、五である。このルールを崩さないことが大切である。
2.俳句の良さは一にリズムにあるので、リズムを大切にする。
3.読み下しがよく素直な句が良い。
4.「切れ字は俳句のいのち」 「切れ字」をうまく使い「あぁ、いい句だなぁ!」という感じを出す。
5.俳句は省略を旨とし「重複」や「言い過ぎ」には気をつける。
6.「一句一動詞」といわれるくらい、動詞は少なくするのが良い俳句を作るコツ。
7.「歳時記」の例句をよく読んで研究しておくことが大切。
8.俳句は「今」が大切。今のこの瞬間をシャッターで切り取ったような句が良い。
9.文語文と口語文を一つの句に混ぜないこと。
10.「あっ!」とつい叫びたくなるような句。冴えた句を目指しましょう。
 
 上記は藤田 湘子著「俳句の入門」(NHK出版)を読んでの感想であり、私も発句の際常に心がけていることです。

発句に当たって心がけること
 
1.私の師、倉田紘文先生は常に「自然を大切にする」、「写生を重んずる」、「一人ひとりが皆平等」をあげ、「俳句は平明でなければならない。ことばはやさしい上にもやさしくなければならない。純粋なる写生俳句は、純粋なる眼と純粋なる心を通した素朴かつ自然なことばで綴られるべきである。人の心の奥に響く真実の詩とはそういうものではなかろうか」と述べておられる。
 
2.句の中で訴えたいこと、感動したことは何かなどモチーフ(動機)を大切にする。
3.散文的にならないよう気をつけ、また、あまり難しい漢字を好んで使うのは良くない。
4.歳時記、国語辞典、古語辞典など用意する。
5季語は時候、天文、地理、生活、行事、動物、植物等々多岐にわたり、例句等よく研究しておくのが望ましい。.
6.作った俳句をお互いに見せ合って批判し合い、更には先輩に添削をしてもらうのが上達の秘訣である。
7.日頃から新聞や雑誌、句集等で他人の作品を読み勉強する。
8.新聞や雑誌等に投句して自分の作品が載った時は実に嬉しいものである。これも上達のコツである。
9.日頃から美しいものに触れるよう心がける。例えば自然、美術、音楽、文学、映画、旅行、スポーツ等々。
10.読書や新聞、テレビは言葉の宝庫。いい言葉に出会ったら直ぐメモしておく。
11.継続は力なり。

 俳句なんでもQ&A

Q、地方には、歳時記に載っていない年中行事があるが、それを句に詠む場合、どうしたらよいか。

A 、地方の行事についての季語も、近年は、テレビなどマスメディアの発達や、旅行ブームの影響で全国的に知られるようになってきた。そのよい例が、富山県八尾町で、9月1日から3日にかけて行なわれる、「風の盆」と呼ばれる行事である。全国的に認められた、地方行事の季語としては、このほかに、札幌市の「雪まつり」、福岡市の「博多どんたく」、青森市・弘前市の「ねぶた」、秋田市の「竿灯」などがあげられる。

 このように、観光客を集め、一般に知られてくるようになった地方行事ではない、小規模の地方行事を詠もうとする場合は、やはりなにか、他の季語と取り合わせることが必要である。

Q、「俳句の典型」のようなものがあるか

 A、俳句を、名詞・形容詞・動詞などの組み合わせによる文体で分類すると、およそ二百数十通りにしかならない。ここでは、そのなかでも、もっとも初心者の方々が作りやすいとされるパターンについて、見てゆきたい。

 まず、俳人で「鷹」主宰の藤田湘子氏が、その著書やテレビでよく言っておられることだが、

上五     中七    下五

「季語+や」○○○○○○○「名詞止め」

例句

【蜩や暗しと思ふ厨ごと】(中村汀女)

【しぐるゝや駅に西口東口】(安住敦)
これらの句は、上五の季語ないしは、その季節がかもしだす世界と、中七・下五のモノあるいは事柄とが、内容に全く関連性のない、別の世界となっている。


「名詞+や」○○○○○○○「季語
(名詞)

【閑さや岩にしみ入る蝉の声】(松尾芭蕉)

【荒海や佐渡によこたふ天河】(松尾芭蕉)

(大屋達治著「俳句なんでもQ&A」(NHK出版)より)

句会のマナー

遅刻をせず、締め切り時間を守り、投句は楷書で見やすく書く。

清記は人の作品であることを念頭におき、丁寧に誤字は絶対にないよう特に念入りにチェックする。

選句に私語は慎み、句稿は停滞しないよう送る。また、自分が選んだ句は、どこが良いかをはっきりさせておく。

 楽しく、有意義に

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