プレミアム山行記・心旅編

  

       三俣山(W峰)  H27.2.14(土) ガス嵐のち晴     R6.2.1再アップ

 
  本日の黎明・・ここは三俣W峰山頂・・
  長者原方面から物凄いガスがゴーゴーと飛んでくる・・
  私の頭上を渦を巻きながら大船方面に吹き飛んで行く・・
  果たして、あの一気に天空の青空が開ける歓喜の時がくるのか・・期待と不安が交差する・・
  シルエットの右は大船山・・左は三俣南峰山頂・・。


  山行記


 今、日本列島は寒波と大雪が吹き荒れている・・

 私の故郷、岩手県のニュースで、目の前が見えないくらいの大雪と吹雪の中を、

 子供たちが通学している報道をしていた・・

 北海道はもっと凄い・・

 こんなシーンを見ると、ここは日本ではなくて、シベリアかどこか・・と思ってしまう・・

 素人には分からないが、今の時期、○○低気圧が日本の南岸を通過すると、

 北から寒気が吹き込むらしい・・

 九重もそのせいかどうか分からないが、山に降った雪が融けない・・

 冬山のピンクの龍宮城は美しい・・

 九重は変化に富む山なので、美しいポイントが沢山ある・・

 あれこれと考えて訪ねるのが、また楽しい・・

 しかし、年寄りには冬山は危険がいっぱいだ・・

 私はピンポイント山行が多いが、冬山は特にそれに徹している・・

 体力もないし、長い距離を歩くのは止めて、散歩気分で歩く事にしている・・

 今回は1月11日のリベンジ・・・星生北斜面のトロトロのモルゲンロートだ・・

 しかし、三俣の天気を読むのは難しい・・

 冬は天気予報が外れる事が多い・・

 今まで、三俣山を数多く登ったが、ガス嵐の中の彷徨が何度もあった・・

 三俣は九重で一番北側にあるので、北風を一番最初に受ける・・

 そのために湿った空気は三俣で雲になり、雨を降らせ、水分を全部落として行く・・

 奥にある久住、中岳などはそれで助かっている・・

 これは私が長い間三俣を歩いて研究した論文である・・(苦笑)


 深夜3時、大曲Pから取りつく・・

 硫黄鉱山道に出ると、星空が全然見えない・・

 ヘッドランプに照らされ、雪ミストがヒューヒューと飛んで行く・・

 二人が追いついてきて、先に行って貰う・・

 砂防ダム渡渉点を過ぎると、風も強まり吹雪になってきた・・

 吹雪と言っても、強風で飛ばされた雪ミストだ・・

 なので周囲は何も見えない・・半分ホワイトアウトだ・・嫌な予感が走る・・

 ガレ場の雪はしっかりと残っていた・・

 一頑張りでスガモリ越着・・

 やはり吹雪は止まない・・大船方面も何も見えない・・寒い!・・

 天気予報は完全晴マークなので、それを信じて西峰登りに取りつく・・

 ここも結構雪が残っていた・・

 風が強く、ふぶくので、先行者のトレースは消えていた・・

 後ろを振り向いても何も見えない・・いつもは暗闇の中に九重連山が見えるのに・・。

 一頑張りで稜線に出る・・

 風は益々強まり、煽られてふらつく・・

 たまらず、ここでダウンジャケットを着込む・・

 大きなケルンも今日は完全に全身真っ白・・これも珍しい・・

 しかし、頭上に時々三日月と星空がチラッと見えた・・これで少し安心・・

 ここから本峰・W峰交差点までが辛かった・・

 吹雪の中を強風に押される様に登る・・まだホワイトアウトだ・

 でも時々九重連山方面がチラッと見える・・

 W峰着・・6時半・・

 先行者の二人がいた・・三脚を立てスタンバイ中・・

 完全なガス嵐だ・・

 お目当ての星生北斜面も、九重連山方面もガス嵐に襲われ、暗雲にドップリと沈んでいる・・

 西の長者原方面は強烈な壁雲・・

 それが強風と共に九重連山に襲いかかってくる・・

 山の天気は来てみないと分からない・・時の運・・。

 まさにその通りになった・・

 ピンクの龍宮城は今日もお預けになった・・

 しかし、これはこれで九重の一つの表情・・

 ガス嵐でもそれはそれでドラマチックな景色が広がる・・

 それは下の写真を見ながらレポートする・・

 本峰・W峰交差点に戻ると 「ようこそ九重連山へ」の永松さんが現れた・・

 しばし、近況のお喋り・・

 永松さんに「内示は出たのですか?」と脅しをかけた・・(苦笑)

 勿論、転勤の事だ・・

 飯田高原に住み3年が過ぎ、九重専門の男としては、まさに九重三昧を謳歌してきた・・(冗・笑)

 もう、今回は転勤は間違いなし・・(冗・笑)

 3年間、毎日、九重を眺め、好きな時に山に入り、温泉に浸かり、散々良い思いをしてきた・・

 「今度は思い切り九重から遠い所に転勤する様に教育長に言っておくからね・・」と言ったら

 笑っていた(冗・笑)


 
   北側の雲海が暗雲となり、坊ガツルに流れ込み、大船山に乗り掛かってきた・・

 
   ガスが唸りを上げて東空の上空に広がる・・
   山頂は氷点下10℃・・
   体感温度は氷点下15℃を超えている・・

 
   中岳・天狗方面も同じガス嵐の様だ・・
   東空のガスの隙間から時々覗くスペクトル光線は弱い・・
   台風並みのスピードでガスは千切れながら吹き飛んで行く・・
   凄い景色だ・・
   こんな所に立っている私も凄い・・家内には絶対に内緒だ(苦笑)

 
   私のお目当ての星生北斜面もガス嵐に飲み込まれ完全な嵐状態・・
   西峰も真っ白だ・・

 
    後ろを見れば本峰・・
    ここも物凄い烈風だ・・ガスの切れ間にピンクに輝く・・

 
    7時半頃からガスが切れ出した・・
    これでピンクの星生は今回もお預けになりました・・(苦笑)

 
   苦労すれば報われる・・
   ガスが消えた後は、今冬始めて見る見事な白銀の世界・・身も心も洗われる瞬間だ・・
   白銀の世界・・人にいろいろな感情を与えてくれる・・
   何といっても心が洗われる清浄感・・
   身体が引き締まる凜とした緊迫感・・
   何もかも凍てつき、人を寄せつけない厳しい恐怖感
   厳しいけど暖かい春を前にしたワクワク感・・
   ガス嵐の中を頑張って登ってきたご褒美だ・・。

 
   帰路、西峰山頂に寄って、今冬一番のトロトロをジックリと眺める・・
   ピンクのモルゲンロートはお預けになったが、こんなに美しい景色を見れるなんて幸せと言うほかない・・
   この写真は安物のサブカメラ(コンデジ)で撮ったもの・・結構綺麗です・・

    今回も厳しい山行になった・・
    でも、これはこれで九重の一つの表情・・いろいろの事を九重は教えてくれる・・
    こうやって、九重の厳しく美しい表情を、心地良い疲労感を感じながら
    自分の記録としてレポートに残す事が出来る喜び・・。
    九重の女神よ、ありがとうございます・・

       ご訪問いただきありがとうございました・・