13日の居座り寒気が去ったあと、次の寒波がなかなかやって来ない。

雪もほとんど融けてしまい一旦リセットの感じだ・・。

私の今冬の狙い第4弾、第5弾はかなり降らないとピンクモルゲンにならないポイントだ。

なので、今回は「狙い」はお休みにして、普通の朝駆けとした。

となると、やはり大船が気になって仕方がない・・。

キリキリと引き締まった寒さと、抜群の透明度の中で、

坊ガツル上空をピンクに染まった大雲海がゴーゴーと流れていく・・。

そんな光景が夢に出てくる・・(苦笑)。

天気予報は完全晴マークで風も穏やか・・。

ガラン台Pは満点の星空・・しかし、結構な風が吹いている・・。

暗闇の中に大船山頂が微かに見えるが、雲を被っているみたいだ・・。

大船は駐車場から山頂が見えるので、最初から緊張してしまう・・。

「今日もよろしくお願いします」とお願いをする・・。

登路に雪は全くない・・。でも、風が強く寒い・・。

夏になればヤブコギになる登路も、今は葉っぱも一枚もなく、歩き易い・・。

順調に入山公墓分岐着・・。

強い風が吹き、山鳴りゴーゴーだ・・。

ここは大きな木が沢山あり、上の方か大きく揺れているのが分かる・・。

いつもの様に殿様にご挨拶をする・・。

鳥居窪は風が強く休憩出来ない・・。大船おろしの吹きっさらしが凄い・・。

急いで通り過ぎ、風のない先へと急ぐ・・。

沢登り手前の広場で休憩・・。でも、ここもかなり寒い・・。

ダウンインナーと足用ホッカイロを装着・・。

沢の登路も雪は全くなく、歩き易い・・。

以前は一度ここで迷った事があったが、今は登路全体が頭に入っているので大丈夫だ・・。

一頑張りでススキの台地着・・。

ここも結構風が強い・・。周りの木にウッスラと霧氷が付いている・・。

地面はカチカチ・・、凍てついている・・。

でも、頭上は満点の星空だ・・。いつもより星が綺麗だ・・。

澄み切ってキラキラ輝いている・・。

昼間は感じないが、大小様々な星が散らばった夜空を見るといつも思ってしまう・・。

「広いな〜、この空の一番奥の端っこはどうなっているのだろう」・・と。

先日のニュースで、14億光年の星を発見した・・と報道していた。

14億光年というのはどの位の距離なのだろう・・。

太陽までの距離が1億5000万q・・。光が約8分かかるそうである。

光が14億年もかけて走っていく距離はどんな距離なのだろうか・・。

太陽までジャンボジェット機で22年かかるそうである。

人間が普通に歩いて行くと4300年かかるそうである。

14億光年の星に行くのに何年かかるのかな〜・・。

計算してみようかな〜(笑)。

すみません、かなり脱線しました(笑)。

いつもの様に山頂手前のお地蔵さんにご挨拶をする・・。

ここに来て天候が急変した・・。

真っ暗になり、ガス混じりの強風がゴーゴーと吹いてきた。

山頂の方から凄いガスが飛んできて、久住町方面に吹き飛んでいく・・。

急いで完全冬装備だ・・。

今日は新しい暖かグッズを持ってきた。

目だけが開いているデストロイヤー帽子だ・・。

口と鼻は小さな穴の開いたマスクになっている・・。

これさえあれば、どんな寒風に曝されてもヘッチャラのはずだったが・・。

山頂下台地に飛び出した・・。

寒風吹きすさぶガス嵐だ・・。

ほとんどホワイトアウト状態だ・・。

御池も坊ガツルも全然見えない・・。

ゴーゴーと凄い勢いでガスが吹き飛んで行く・・。

でも、周りは霧氷でビッシリだ・・。

無事山頂着・・。

烈風だ・・。凄い!・・。立っていられない・・。

坊ガツルも段原も雲に埋まっている・・。見えない・・。

その雲が烈風に飛ばされて山頂に駆け上がってくる・・。

その勢いは物凄い・・。台風並だ・・。

すぐに岩陰に退散・・。

東空が明るくなってきた。

ガスは私の頭上を凄い勢いで吹き飛んでいく・・。

段原方面の雲が強風に飛ばされ引きちぎられ、山頂に駆け上がり

山頂に霧氷を残し、久住町方面に駆け下って行く・・。

ガスが少しずつ薄くなってきた・・。頭上が時々パーッと明るくなる・・。

これはガスが切れる前兆だ・・。

私は今までにこのガス嵐を何度も経験している・・。

明るくなってはまた暗くなり、また明るくなっては暗くなり・・。

これを何度も何度も繰り返す・・。

そして、ついに天井に真っ青な空がパーッと広がる・・。

この時の喜びは言葉では言い表せない・・。

飛び去るガスの中に太陽が昇ってきた・・。

山頂付近の霧氷も色づき出した・・。

しかし、ガスが切れそうで切れない・・。

次から次へと段原から吹き上がってくる・・。

御池周辺の霧氷林も輝き出した・・。

逆光の眩いオレンジ色だ・・。

「綺麗だ・・」息が止まるほどの幻想の御池が広がる・・。

しかし、ガスが切れない・・。

一瞬、切れる時があるが、ほんの一瞬なのでシャッターを押す事が出来ない・・。

逆光の眩いオレンジ色は、日の出から10分か15分で終ってしまう・・。

寒風の中だし、鼻水も出るし、涙も出るし、手は凍えて震えるし・・で大変だ(苦笑)。

それと暖かグッズのデストロイヤー帽子は呼吸をすると眼鏡がすぐに曇ってしまい

役に立たなかった。

そんな事でカメラの液晶がよく見えない・・。

風が強く、立っているのもやっとだし、シャッターは山勘の乱れ押しだ(苦笑)。

ライオン岩は逆光一文字焼きとなった・・。

キラキラと輝きながら、その中で淡いオレンジ色の濃淡は例えようもない美しさだ・。

「眩しい!・・。幻想だ!」 思わず口から出てしまう・・。

すぐ横の灌木の霧氷がピンク色に燃え出した・・。

これは順光の淡いピンクだ・・。

遠く見えるバックの由布岳を入れて撮りたいがこれが難しい・・。

ガスが邪魔をするからだ・・。

ピンク霧氷が見えたと思うと由布岳がガスで見えない・・。

逆に由布岳が見えたと思うと霧氷に陽がささない・・。

で、粘りに粘ったが、シャッターチャンスはたったの一度きりだった。

でも、そのピンクは例えようがないくらい美しい・・。

山頂付近はまるでピンク色とオレンジ色の龍宮城の世界だ・・。

まるでロシア民話「石の花」に出てくる様な夢の世界だ・・。

陽が高くなり幻想の世界は終った・・。

ガスも段々と薄くなり、九重連山も見える様になってきた・・。

段原が凄かった・・。

ガスまくりでどこがどうなっているのか分からないくらいだった。

平治岳方面からのガスがのしかかり、米窪に雪崩れ落ちるのと

坊ガツルに駆け下るのと、北大船付近で渦を巻いたり、ガスが暴れまくっていた・・。

ガスが消えたあとの空気は澄み渡っている・・。

九重連山もこれ以上ない位の透明度で姿を現した・・。


今日は今冬始めての厳しい寒風に曝された山行となった。

ガスが治まり穏やかな山頂で朝食を摂りながら、思ってしまった。

さっきまでの猛烈なガス嵐と、この穏やかな日差しとの落差が大きく過ぎて

地獄から天国にやって来た・・。そんな心境だった・・。

冬山は厳しい・・。

でも、その厳しさの中に本当の優しさがある・・。

くじゅうはそういう山だと思う・・。



 大船山頂のピンクの龍宮城(その2)
 何も見えなかった厳しいガス嵐が過ぎ去ったあと、夢の様な世界が広がった。
 もうこれは龍宮城に咲いている珊瑚の花と言っても良いくらいだ・・
 ただただ見とれるばかりだ・・。


 とにかく猛烈な烈風で立っていられない・・
 寒さで涙は出るし、手は震えるし・・でカメラの液晶が良く見えない・・
 この写真は失敗作・・。右側の三俣が欠けてしまった・・。


 本日の坊ガツル上空の雲海・・
 少し雲は薄いが強風に押され、凄いスピードで久住町方面に流れて行く・・
 澄みきった九重連山と手前の霧氷が眩しい・・。


 今日の段原は大暴れ・・
 何がどうなっているのか分からない・・・
 坊がつるから駆け上がる雲、米窪の雪崩落ちる雲、北大船付近で渦を巻く雲・・
 どれもこれも大暴れだ・・。


 久しぶりのブロッケン・・かなり大きい
 ブランド三俣も入った・・
 ガス嵐の中を頑張ったので、大船の女神の御褒美かも・・。


 帰路はいつもの様に東尾根コース・・
 途中、後ろを振り返り、女神に御礼を言った・・。
 右奥が山頂だ・・。


     ご訪問いただきありがとうございました・・
     

   プレミアム山行記・心旅編
     
     大船山  H22.1.26 
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