俳句5
あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る 額田王  

妻が振るハンカチの旗大花野  茂幸

万緑や瀧引き寄する双眼鏡  星吾
 
  山を見ることは仏を見ること  
  滝を見ることは仏を見ること
  「而今の山水は朕兆未萌の自己なるがゆゑに 
  現成の透脱なり」(山水経)

   短歌
雨上がり草の葉っぱに置く露のどの一粒も宿す太陽
春浅く時間をかけて飲む珈琲常の喫茶の片隅の席
太刀佩きて眺めし人の心かな朝日に匂ふ山桜花
由布の峰雲の帽子を被りをり五月の朝の窓を開けば
わが庭の山茶花の花咲きにけりこの頃妻の少し明るき
岡城址物見櫓のありし所缶コーヒーを持ちて人立つ                 06.4.6
満開の桜の花を愛づるかな停年終へし心安けし
散る花の下で繙く文庫本吾が青春を読み返えさんと
春がすみ沖航く白き連絡船汽笛鳴らして今日も過ぎ行く              06.4.7
山並みや春来と告ぐる薄霞見慣れし山も阿蘇の五岳も
来てみれば蒲公英の花咲きゐたりしあわせの丘と呼ばるるところ         06.4.22
チューリップの花咲くところベンチあり座れば時間ゆるやかに流る
向日葵の花を飾れる店に入りアルル想へり造花なれども              06.4.23
ゆく春を惜しまんとして来し岬吾より先に来れる人あり                06.4.30
リピートにてエーデルワイス返し聴く春の終わりを惜しみ惜しみて
世界地図とりて看てゐる人のありゴールデンウイーク前の図書館
見るよりもむしろ見らるるごときなりモナ.リザの絵を眺めてをれば
窓若葉臨時雇ひの事務の娘の手を措くときの遠き眼差し              06.5.4
初夏の風を入れんと開けし窓連絡船の近づくが見ゆ                 06.5.5
ビ−トルズカーステレオにかけ走る湾岸道路いつも青春
水尾(みお)白く引いて出で行く連絡船見えなくなりて汽笛を鳴らす
鳥一羽雲なき空をよぎりたるただそれだけの窓の出来事
病室の窓より見ゆる遠き山その名も知らぬ遠山恋し
今日よりは夏の流れとなりにけり一夜で遂げし川の変身
名月を眺めてをれば傍にきて声も出さずに妻もまた観る
薔薇の花静かに妻の飾りをり結婚記念日忙じてをれば               00.3.31
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