詩38
  窓の景
             2006.4.23
窓の外
丘が見え
一本の高い樹が見え
その上に白い雲が浮いている
ただそれだけの風景

丘と樹と
  白い雲と
     青い空
窓の外の
どこにでもあるような平凡な風景

だが、ぼくは
この風景を愛する
この風景の平凡を愛する
何故なら
このぼくも平凡なのだからーーー
         コーヒーを飲みながら
   椅子
               2006.5.21
夜、疲れて
自分の部屋に戻ると
そこには
椅子が
やさしく私を待っている

私はその椅子に腰掛け
静かに 
   目を閉じ
      全てを忘れ
いつものように
空想に耽る
年がいもなくーーー

もう一つの宇宙に
タイムスリップするために
   石
                      2006.6.3
石は黙っている
黙ってじっと耐えている

本当は
石はいろいろ喋りたくて
たまらないのかも知れない

しかし
じっと沈黙を守っている
もう
何億年も黙ったままでいる

実は石は
あまりに多くのことを
見すぎたので
言葉では表せないのだ

結局 石は
世界が亡くなるまで
黙り続けるつもりである

   
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