桑原山黒内谷遡行
           2017.7.2 メンバー:坂本、衛藤、松井、三代、水原、挾間
     
       赤線は今回遡行のGPS軌跡、青線は予定の遡行コースと下山予定コース
       ダイジェスト動画(約13分)は → こちら

黒内谷について
 黒内谷は大分・宮崎県境の桑原山(1408.0m)の東面に深く刻み込まれた谷で、北川の源流域に当たる。入渓ポイントとなる黒内地区の神社が標高265m。予定ではしばらく河原を遡行したのち標高580m地点から核心部となる右俣に入り、標高差400mの本格的沢登りののち山頂の北東側の尾根(標高約1260m)に達することになっていた。

心構えが・・・
 私の沢登りは2年前、福智山七重の滝以来だ。この時は全体をリードする立場だったが、今回のメンバー・・・若手2名とミドル還暦4名・・・の中では、若手も居ることだし、過去の入渓記録を見てみるとこのメンバーの力量相応の沢と感じられたこともあり、大分の出発時間の午前7時(少々遅め)なども含め、あまり予習もせずその程度の初心者向けの沢登りを想定していた。

 それにしても、低山ながらも、出発点の標高からみて稜線まで約1000mの高低差が軽視しがたく、一抹の不安材料がなくはなかった。

本番を前にして導入部分が長すぎた
 さて、神社を出発してすぐに大きな砂防堰堤を高捲きしたところから入渓した。前述の核心部となる右俣への分岐が標高約580mだから約300mの高低差は決して生易しくはなく、平凡な河原歩きを予想していたのがそもそも大間違いであった。谷の下部は、沢登りとしての難易度は低いものの、一昨日までの降雨で水量が多く、下部とはいえ大小さまざまなボルダチックな滝、淵の連続であり、直登、へつり、高捲き、時にロープも使う箇所もあり、単調子の河原歩きではなく、変化の連続であった。

    
           7月とは言えまだまだ水は冷たく、ちょっと勇気が・・・
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 途中、数か所で休憩をとりGPSで現在地と標高を確かめながら、午後1時を大きく回っても出発点から2.5kmの歩行距離で標高差300mほどしか稼いでおらず、右俣への分岐からは核心部となる標高差400m、さらにそののちに稜線まで標高差300m近い藪漕ぎのことなど考えると、このメンバーでは賢明な判断・・・林道へのエスケープを取らざるを得なかった。

    
               登攀意欲をそそる滝が現れるが・・・躊躇

 これには、女性のサポートやロープによる登攀箇所なども含め6名全員が同時歩行することが少なく、必要以上に時間を要したということが大きかった。それにしても参考にした過去の遡行記録と差がありすぎた。メンバーの力量不足ということだろう。

              
                    下部核心部のへつり

リベンジを期して
 沢登り・・・特に初めての谷への入渓は心躍るものがある。滝、淵、トロ・・・変化の連続と次なる変化への好奇心、そして“水”・・・本能的なものなのか、原風景なのか、これを陰湿と感じるか、心の原風景と感じるかは個々人の生い立ちとも関係があるだろう。今回参加の6名は、沢好きだからこそ集った6名だから、皆の表情は嬉々として世代を超えて童心に帰った表情がそこにあった。

 このところの山行では「ひやり、はっと」することが多くなった。今回も一瞬の油断で足を滑らせ尻もちをついた。衛藤君がすぐさま駆け寄り腕をとって懸命に引き上げようとする。苦笑しながら「おいおい年寄り扱いせんでくれよ」と心の中で叫びながらも、照れくささは隠しようがない。この遡行を終始リードした坂本君にしてもそうだが、私の息子ほどの年齢の二人が、還暦世代を気遣いつつもさりげなく振る舞う姿に、「老いては子に従え」という言葉を素直に受け容れんといかんかな、と感じた。

              
              童心に帰って水と戯れ、どの顔も嬉々とした表情

 今回は結局時間切れで、下部のみで終わった。次回は大分をもう少し早発ちして、入渓箇所をもう少し上部(右俣との分岐辺り)からとし、何とか完登したいものだ。

 梅雨の中休みの好天の中、沢登りらしい適度の水量に恵まれ、まとわりつく虫もおらず、寒からず暑からずで、清涼感いっぱいの沢登りを満喫できた。次回こそ完登を!!
(コースタイム)黒内集落の神社8:24→砂防堰堤上部8:40→入渓ポイント8:45-9:01→大滝10:40→林道橋の下11:29→エスケープした林道13:51-14:11→神社15:33(途中デジカメを落としたことによる15分のロスタイムあり)