緊急提案 「阿蘇・九重国立公園」と呼ぼう                                           山のいで湯愛好会
 11月28日付の大分合同新聞によると、県知事、観光協会長及び関係7ケ市町村の代表は環境庁に対して阿蘇国立公園の名称を「阿蘇くじゅう国立公園」と変更するよう陳情した。これに対して環境庁側は「地元の熱意は十分理解している。前向きに受けとめたい」と回答し、約25年に及ぶ名称変更問題はようやく実現の可能性が強まったと報じている。そしてこの問題に関しての今までの経緯を簡単に紹介している。

 ということは「阿蘇くじゅう国立公園」と呼ぶことが認められ、実現の可能性が十分強まってきたことになるということだが、このことはまったく我々は理解しがたい。そもそもこの名称変更についてはいろいろと議論がなされてきた。それはそもそも「九重」、「久住」という山名の問題からスタートしている。そのことについては古くは昭和12年発行の「九州山岳」の誌上にはじめて時の九州山岳会長の加藤数功氏が論文を発表して以来、九重に関するあらゆる文献の中で論議されてきたところである。そして皆の認めるところ、「久住山」を最高峰にし、「九重山」を山群の総称とするということはいわば認知されてきている周知の事実である。それゆえここにことさらこの問題についての論議の余地はないのであるが、それが国立公薗の名称となれば何故に「くじゅう」と平仮名名にならなければならないのか理解に苦しむのである。

 この名称変更の問題を含めて1975年1月発行の「くじゅうの自然」創刊号(九重の自然を守る会)のトップに九重山と久住山の問題という題で時の会長赤峰武氏の論文に詳しくその経過が記されている。その他あらゆる文献を通してみても「九重山」という山名が認められている以上、我々が「くじゅう」と呼ぶ時は、それは「九重」をさしているのである。それが何故に国立公園の名称を呼ぶさいに「くじゅう」となるのか?何度も言うようだが理解しがたいのである。

 国土地理院から出版されている5万分1集成図の表紙にもNATIONAL PARK ASOとしてその下に大きく赤字で阿蘇・九重と記してある。考えてみれば阿蘇についても同じ事が言えるのではないか。阿蘇山というのはその全体の総称であり、独立峰としては高岳とか中岳・根子岳とかであり決して「あそ」とは書かれていないのである。

 我々はただ平仮名がきらいだから「くじゅう」ではおかしいぞと言っているのではない。今までのすべての考え方を通してやはり「くじゅう」は「九重」でなくてはならないと主張するのである。一つの固有名詞を簡単に変えるなどということは決して生半加なことで行ってはならないと思うし、この「九重」「久住」問題は過去の苦汁に満ちた歴史にうらうらされた出来事である。我々はそれほどに九重を愛し、九重がこの上なく好きだからこのことには黙っておくわけにはいかないのである。 

 今すぐにでも県知事以下関係者各位が再考をし、ただちに環境庁に対しても「阿蘇九重国立公園」と呼ぶこととするようあえて声を大にして主張したいのである。(文責:会長 加藤英彦)

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