1988年は俺にとって大事な年だ。
ロックに目覚めた年だから。
テレビを見ていた。
「はいすくーる落書」……落ちこぼれたちが通う高校でのドラマである。
根がどうしても真面目なので、不良というのは俺の憧れだった。
髪を染めたい、剃り込みを入れたい、校則違反の制服を着て学校に行きたい、
授業をボイコットしたい………
そしてドラマの中にはそれがあった。
そして主題歌が流れた。
ピアノの伴奏に乗せて、かすれぎみのヴォーカル。
ピアノは徐々に盛り上がり、
ドラムが静寂を突き刺す様に入る。
ジャージャージャ………
ノイジーなギターが聞こえた。
ピアノも優しい音は消え、マシンガンのように「ダダダダダ…」
と、音を立てていた。
ヴォーカルはがなる。Bメロでは更にしゃがれた声のコーラスも入る。
THE BLUE HEARTSの「TRAIN-TRAIN」
初期の名曲の一つである。
初めて聴いて一気にノックアウトされた訳ではないが、
気が付けば頭に鳴り響いていた。
ドラマ自体は1989年だった気もするが、シングルのリリースは1988年なので、
88年に聴いていた気もするので、こっちをロックに目覚めた年としている。
それに、89年には既にロックにハマッていた記憶もあるし。
当時ブルーハーツはテレビには出なかった。
ヴォーカルの甲本ヒロトさんはジャンプしながら歌うらしい、
とかいう噂を聞いた。
しかし、ブルーハーツのCDを買う事はなかった。
何故だかはわからない。
この年のクリスマス、俺はCDラジカセを買ってもらった。
そしてエアチェックをするようになった。
まだこの頃は大分には民放FM局はなく、AMでモノラルの音が悪い奴をとっていた。
確かその前からラジオは一応聞いていたような気がする。
アンジーの名前も知っていたし。
そして89年、バンドブームがやって来た………