犬の僧帽弁閉鎖不全症について
猫の心筋症と同じく、犬でよく見られる心臓の病気が僧帽弁閉鎖不全症です。
心臓の中についている、血液の逆流をふせぐための弁・僧帽弁がうまく閉じなくなって心臓の中を血液が逆流してしまうのです。そのため
全身へは血液を十分に送ることができなくなり、また、弁の手前(左心房)と肺静脈では逆流する血液のために血液が渋滞してしまう(うっ
血)ことになります。
主に後天性の病気ですが、好発犬種(よくこの病気が発生する犬種)としてはマルチーズ、キャバリア・キング・チャールズスパニエルなど
が有名です。その他、ヨークシャ・テリア、チワワ、ミニチュア・ダックスフントなどの小型犬によく見られます。
この病気もやはり初期は無症状ですが、病状が進んでくると、軽い咳・散歩時に疲れやすくなる・すぐに呼吸が速くなる・・などの症状から
失神・呼吸困難・喀血・突然死などまで起きてきます。
治療は猫の心筋症と同じで、根治は難しく、対症療法(血管拡張剤、強心剤、利尿剤など)で心臓の負担を軽くしてあげることが中心とな
ります。診断時の進行度によりますが余命は数年から数ヶ月、急性の場合数日から数時間となることもあります。
この病気も早期発見、早期治療開始により病状の進行を遅らせることが長寿のためには必要と思われます。5歳以上になったら心臓の
定期健診がすすめられます。また、好発犬種の飼主さまはこの病気の予備知識を持ち、初期症状で早期に受診できるようにこころがけ
ていただければ幸いです。