津久見島宴会ツーリング「護衛艦襲撃の巻」

                                                                                  

 今回のツーリングは仙台に転勤した大分シーカヤッククラブ会員の関さんが大分の奥さんの実家に帰省したので企画した。本来は深島を予定していたが時間的な問題で初心者コースの津久見島となった。私は出張のため他のメンバーに連絡が取れなかったのが残念である。後藤さんも今回の参加メンバーであったが連絡不足のため参加できなかった。彼はエコマリンのツアーに参加予定であったがツアー中止のため有志とキャンプに行ったとのことである。出張から帰ったらその後藤さんからアンケートの往復はがきが着いていた。内容はエコマリンが9月いっぱいで閉鎖するためその後の活動方法についてのアンケートだった。閉鎖については日本全体が不景気である、まして単体でしかもマイナーなシーカヤックは営業と考えた場合無理であった。とりあえず人に迷惑をかけずにクローズできたことをよしとすべきかもしれない。今後の大分エコマリンオーナー大橋さんの成功を祈るのみである。そんな土曜日の夜に江上さんからアルコール変調の電話がはいった。

「もしもしアッさん、あん〜明日は津久見島にしたでー、9:30に大在ポプラに集合しようえー」晩酌の気持ちよい声が聞こえてきた。

 9:00に実家でカヌーを積み込み9:20に大在ポプラに到着、今日の昼食メニューは何も決まっていない、いつもなら全て決まって出発するのだが時間がなく買出しにも行けなかった。江上さんを待つあいだコンビニの中を見て回っていたら突然「こんにちは」青年に声をかけられ一瞬とまどった、顔を見てどこかで見た顔だが思い出せないでいると後ろに江上さんの娘さんがいたので思い出した。前回のツーリングの時に途中まで並んでドライブした江上さんの息子さんであった。つづいて江上さんと関さんが入って来た。「お久しぶりです」いつもの笑顔の関さんが立っていた、彼は奥さんのご両親に江上さん宅まで送ってもらってから江上さんの車でに乗ってきたのだった。

「ところで今日の昼食は何にしますか」「そやなー、おにぎりとビールはよけーあるけん何か適当に酒のつまみ買おうえー」

「関さんからの土産“仙台の牛タン”もあるしなー」「でもなにかほしいですねー、大入島で失敗した塩魚汁鍋をしませんか?あれから少し研究しましたから」ということになり今回のメニューは鶏肉の塩魚汁鍋に決定した。材料は途中で調達した。

 10:20 臼杵漁港到着、今日はここからの出艇である。藤田の浜からの出廷ではない。

 10:40 江上さんの息子、娘さんに見送られ静かな臼杵湾に漕ぎ出した、残された二人は私達が帰ってくるまで港の防波堤で今日の夕食のおかずを釣るそうである。黒島を北から回り三ツ子島をめざす、凪いだ海にパドルを漕ぐ音のみが響く。「あー気持ちイイですねー、」関さんは久しぶりのパドリングが気持ちよさそうである。彼は仙台に転勤になって二度しか濃いでないそうで数ヶ月ぶりのパドリングということでしみじみ楽しんでいる様子だ。今日は日曜日だけれどもプレージャーボートの数の少ない。三ツ子島をすぎておにぎり型の津久見島がはっきり見えてきた、予定では12:00到着予定である。「軍艦がみえますよ、自衛隊では護衛艦と呼ぶらしい」「新聞にはなにも載ってなかったですよねー」

海上自衛隊の艦艇が2隻停泊しているのが見えた、今日のツーリングは平凡な初心者用の宴会コースなのでちょうどよい刺激である。

「よし、あの船を(海上自衛隊護衛艦)を襲撃することに決定、取り舵!左舷に接近し強襲作戦開始!」

       左 関艇 右麻生艇

 遠方でかすんで見えていた護衛艦もだんだん近くに寄って見ると「220」の艦艇番号が読み取れる、船首と船尾に大砲も見える、また艦の中央に対艦ミサイル?のランチャーらしきものも見る。だんだん接近すると甲板に人の動くのが見えてきた、艦上から私たちを監視しているように見える、あまり接近しすぎると何か文句を言われるかもしれないがここは臼杵港、軍港ではないので文句を言われる筋合いではない、いばって接近しる。

 しかし良く見ると自衛官が釣りをしていた、しかしまだ私達を見続けている、ここで手をふれば答えてくれるのだが、なんだか手を振る気がなくなった。船首に回りこんでパドルで艦をたたくとゴンゴンと重い音が響いた、船首の下から見る船は切り立った崖のように見える。こんなことができるのもカヌーならでなければ無理だろう、漁船やプレージャーボートは万が一接触すると大変な問題になってしまう。国民の税金で買った船なのである。

     護衛艦「ちとせ」をバックに江上、関艇、後方に別の護衛艦

 記念撮影のために艦の南側にまわる、護衛艦をバックにポーズを決め記念撮影。艦上では民間のおじさんやおばさん達も当直仕官に写真を撮ってもらっていた。今日は日曜日、たぶん自衛隊関係の人達を招待したのだろう。私達が近づくとうっとうしい顔になったが民間人がいるので注意しにくそうである。以前潜水艦に接近した時と同じである。彼等にしてみれば自分たちに関係なくても万が一私達が何か事故があると新聞記事になる可能性があるのでしかたないかもしれない、自衛官のみなさん国防を頑張って下さい。

 艦の中央に送迎用のタグボートが係留されていた、その中にやはり当直士官だろう腕に赤白の腕章をつけた自衛官が数人いた。

「こんにちは、、、」声をかけると以外にも若い士官が笑顔を手を振って答えてくれた。

「この船は何メートルあるんですか?」一蹴ためらって「約93mあります」と答えてrくれた。

以前の潜水艦とちがいこの士官は笑顔でていねいに答えてくれた、実に気持ちがよい。

 
  

・ 基準排水量 1,480頓

・ 主要寸法(長さ×幅×深さ)m
    93×10.8×7.0
・ 船形   平甲板型
・ 主機械 ディーゼル4基
    
2軸
・馬力 16,000PS
・ 艦速   25kt
・ 定員   165名
・ 主要兵装
  銃砲:50口径3吋連装
    
速射砲、40o連装
    
機関砲
  水雷:アスロック、3連装短
    
魚雷発射管×2
  電波:対空、対水レーダー
  水測:ソーナー

 船尾に艦名“ちとせ”となっていた、船尾には潜水艦対策用のものか黄色の潜水ブイのようなものがあった、ロープで引いて使用するだろう、船尾での記念撮影をおこなう。護衛官ちとせと同じ型の艦がもう一隻見えるがこちらには接近せずに津久見島にむけ漕ぎだす。

    左 江上艇、右 麻生艇 

 13:00 津久見島到着、この島は過去にも何度も来ている島で別名“月見島”ともいい民宿の“月見荘”がある。ここから見る月はさぞかしきれいに見えることだろう。島の前の筏に今日も三人チヌ釣りの人が上がっている。海水浴シーズンも終わり浜は私達三人である、さっそく関さんとの再会と航海の無事を祈って乾杯、ツーリング中の給水を我慢していたので冷たいビールが実においしい。

関さんが仙台から牛タンの土産を持ってきてくれた、しかし残念なことに今回に限り鍋を忘れ中止となった。ただ一つの中華鍋でメインの塩魚汁鍋を作る、今回は前回の反省で中に鶏肉、ネギ、もやし、豆腐、こんにゃく、ニンジンとしめじにした。前回の大入島ツアーの時は分量のちがいからとても辛く食べられなかったので今回は家で一度作って試食しているので手順どうり簡単、短時間でおいしく仕上がった。塩魚汁のダシに鶏肉がとてもよくマッチして旨い。9月だがもう日差しがよわいので鍋物でも気にならない、もちろん江上さんの高級梅干入りのおにぎりも定番である。焚き火をして鍋をつつきビールを飲み続ける。食事の途中に2艇のカヌーが上陸してきた、彼等も食事をはじめた。

「いっしょにいかがですか」さそってみた。日田から来たそうで西澤さんともう一人ははずかしがりやで話ができなかった。西澤さんもエコマリンの会員で後藤さんをよく知っていた。話はやはり今後のエコマリンについてである、何とかシーカヤックのネットワークを作り続けたいとの共通の願いであった。西澤さんたちは帰りが遠方なので早めに漕ぎ出していった。

   左 関艇、右 江上艇、後方に無垢島が見える  

 15:00 津久見島をでて直線コースで臼杵漁港にむかう、ビールの飲みすぎか食べ過ぎか帰りを漕ぐのがきつい、漁港の防波堤を見ると江上さんの息子さん娘さんが手を振って迎えてくれた、なんと親子なかのよいことか羨ましい。二人は私達が津久見島にいる間防波堤で釣りをしていた、16:00 に着岸して釣果を見るとスズメダイ、ベラ、サンバソウ(石鯛の子)、ハゲ他であった、夕食のおかずにしては身が少ないためこれらの魚は全てリリースする。

 16:30 大分にむけて帰る、江上さん親子は魚をリリースしたため夕食として神崎でネタの大きいので有名なすし屋を食べて帰ったそうだ、私と関さんは同じ海岸線を帰り、途中で奥さんの実家につどける、奥さんのお父さんは私の中学の同級生の兄さんと言っていた。私もカヌーを実家に下ろし本日のツーリングは終了した。

このツーリングは1998913日に行われた、2009.11.2 改正

参加者、(故)江上氏、関晃、

ここに謹んで江上さんのご冥福をお祈りいたします。 合掌