鉄のくじら見学ツーリング

                                                

今回のツーリング計画は先々週の段階で決まっていた。「イルカを見に行こうーえ」。5月の14日から参加者をつのるが話し急なため集まらず結局私と江上さんと私の同僚の松本君となる、松本君はキャンプのみの参加である。参加予定者の関さんは豊予海峡横断トレーニングのほうへ参加、後藤さんは別府の学会にカヌーを積んで出席したそうである。井上さんは会社で山に登るとのこと、大西さんは修学旅行から帰ったばかりで参加は無理となった、それぞれ遊びで忙しそうである。江上さんとの集合場所は、エコマリン大分の浜(大平海岸)とする。大平海岸よりイルカを見て佐賀関半島を一周のツーリング予定である。私は前回の反省から会社で凍らせたペットボトルを持って帰る。初めての松本君は仕事で遅くなる可能性があるのでキャンプ地のみ連絡する。「あのー何持って行けばいいんでしょうか?」とゆっくりしたイントネーションの宮崎弁でたずねてきた。「そやなー、着替えと毛布か寝袋、それに自分の飲み分と食べ物だけでいいでー、調理道具全てあるけんな」とつたえる。

 私はカヌーを積みスーパーに買出しに出る、5月だから鮭の一匹物はなかったので新鮮な切り身とアラを買い求める。鮭の良いのがなければトマトシチューにする予定でだが、今回はなぜチャンチャ焼きか?北海道料理で簡単で早くできる、そしてなによりうまい、腹にたまり酒のつまみにもなりキャンプに最適な料理である。前日に再度調理方法を調べる。

 7:30 大平海岸着、すでに江上さんはテントとテーブルを用意して焚き火の準備をしていた、でもカヌーはまだ車の上だ。「どーも遅くなりまして、今日は同僚がもう一人来ますのでよろしくお願いします」浜の上のエコマリン大分にカヌーを積んだまま学会に参加した後藤さん、それに武石さん、中津から垂水さんも来ていた。彼らは豊予海峡横断トレーニングのためにここに集合して来たのだった。明日には関さんも来るそうである。私と江上さんはいつもながらおいしく酒をのむためのカヌーである、もっとも江上さんは昨年豊予海峡横断に成功している。私は土曜日が仕事のため今年も参加できない。

 昨年使用した5人用のテントを江上さんに手伝ってもらい組み立てる。大きいので面倒くさい早く一人用を買い揃えたいものだ。「今日はイイ鮭がありましたよ」自慢の鮭を見せる、「んー刺身でもイイなー」と言いつつまずは明日の成功を祈って乾杯!!「明日のイルカ見に行くより鯨が入港しちょるけん鯨みにゆこーえ」大在公共埠頭に鉄のくじら潜水艦が入港しているそうである。簡単に変更第一目標は大在公共埠頭の潜水艦見学、時間があればそれから転進してイルカ見学に変更する。

 8:00 同僚の松本君と到着。「お疲れ様デース、遅くなってすみません」ゆっくりとした宮崎弁のイントネーションだ、しかし彼の手には焼酎“白波”とつまみがしっかりにぎられていた。江上さんにかれを紹介、江上さんがエコマリンより生ビールを3人分とりよせ再度明日の楽しみに乾杯する。つまみは鯵の刺身を酢味噌でいただく。私は夕食の準備にとりかかった、キャベツ、人参。椎茸等を切れば準備OK、ここでだれでも簡単に作れる“チャンチャ焼き”を紹介する。材料は新鮮な鮭、切り身でも可、野菜はキャベツ、人参、もやし、ピーマン、椎茸etc、調味料は酒もしくはみりん、味噌(かすのでないもの)、バター、好みで塩、胡椒、 以上。

手順

1、熱したフライパン又はプレートにバターを溶かす。

2、鮭のうろこを下にして焼く、同時に全ての野菜を入れる。(鮭のまわり、上)

3、3~5分で野菜から水分がでてきて柔らかくなったら酒(みりん)と味噌をかけ混ぜる.

あとは好みで塩、胡椒で味を調整。おそくても時間は10分以内。

 ・野菜は多めがよい

 ・味噌は甘口が便利

 ・油よりバターがよい

最初の第一声は江上さんが「うーこりゃーうめーなー」つづいて松本君が「おいしいですねー」最後に私が「んんデリーシャツ、こりゃーうめーのー」と一同笑顔。おかわりのときに松本君フライパン(中華鍋)をかやしてしまった。Ah、すみません、」悲壮な表情だ、江上さんが軽く「まあしゃーないわ」私が「鮭が落ちんでよかったわ」「気になるんやったら砂でもかけちきよ」と松本君を慰める。少なくなった野菜、味噌を追加して入れコンロを別の安定のよいものに交換する。味見してみると前よりも味が良くなった、こぼした時に水分が少なくなったのだろう。 いつものように私も江上さんもビールから焼酎にかわっていて、鮭を追加して鍋がいっぱいになつたので松本君差し入れの“こてっちゃん“は明日にのばした。「独身者はふだん食べんのじゃけんよけー食べよえ」とアドバイス。「ハイ、おにぎりもう一ついいですか」あっというまに3個のおにぎりをたいらげた松本君だ。夜がふけ寒くなったのでテーブルを焚き火の近くに移動する。椅子で飲むよりカーペットを敷いてその上で飲むことにした。

 9:00 すぎに後藤、垂水、武石、真吾さんが来たのでまた飲みなおした。彼らはエコマリンの店舗で寝るそうだ、寝袋を忘れた私はエコマリンより借りた寝袋で10時には寝た。翌朝5時からいに“ho―hokekiyo― ―ちょっと舌足らずの鳴き声で目が覚める。本来はho―hokekyo kekyo kekyo“のはずだがここのうぐいすは舌足らずなのか・目が覚めると寒くなってきた、焚き火が煙のみになっていたので薪を集め暖をとりながら朝の紅茶を楽しむ。東の水平線がピンク色から赤く変わってきた、少し曇っている感じだ、夕べは星が出ていたが月に輪がかかっていたのが気になった。 

 朝食はホットサンドにする、ゆで卵を調理して二人の起きるのを待つ、松本君は昨夜寒くあまり眠れなかったらしい、彼はグランドコートを着て寝たらしい、私が起きて使用しなくなった寝袋にくるまってまだ寝ている。6時に江上さんが起きてきたので朝食をつくりはじめる、コッペパンを焼きバターをぬる、あとはスクランブルエッグにウインナー、それに新玉ねぎのスライスサラダを作る、「なんかほしなー、」江上さんが湯を沸かし昨日の残りの味噌と玉ねぎでおいしい味噌汁を作ってくれた。松本君はふだん食べない朝食で満腹になったようだ。私はキャンプの時しか楽しめない朝の冷たいビールを飲む、7時すぎまで各自まったりした時間を過ごす、「こん時間がいいなー、カヌーを車から降ろすのがうっとしゅーなったなー」「これで漕がんやったらただのバカやしなー」と自分を奮い立たせ二人でカヌーを浜まで移動する。松本君は9時までに別府に戻らないといけないので彼には8時までカヌーを体験してもらうことにする。これで彼もOITA SEAKAYAKERS CLUB の会員となる。パドルのにぎりから漕ぎ方までひととおり教え海にだす、「これでいいですかなねー」5分もたたないうちに自分で漕ぎ出して行った。江上さんがフォローしながら約1時間パドリングを楽しみ、最後にカヌーから降りる時にバランスをくずして沈してしまった。やはり着替えが必要だった、彼にはカヌーの乗り方は教えたが降り方は教えていなかった。

 6時 にエコマリン大分の豊予海峡横断トレーニング参加者が浜に集まってきた、エコマリン大分の慎吾さんをリーダーに関、後藤、垂水、武石、足立、はじめてお会いする森竹さんの7人がこれから佐賀関半島経由黒嶋までの往復40kmのコースに漕ぎ出す準備を終わろうとしていた。

 8:20 彼らに10分遅れて私も松本君にかわりカヌーに乗船、江上さんは海に出ているが見つからない、トレーニングに一緒について行ったのか?「あっちに見えますよ」松本君が北西の方向を指差してくれた、水平線に白いパドルが上下するのが見える。松本君が帰るので彼の持ってきた焼酎とつまみは彼のこれから行くボード乗りに持ってゆくように伝えて私も漕ぎ出した。海はベタ凪だが海上でなかなか江上さんを見つけられなかったが5分ほどしてやっと約2km先に江上さんのパドルが見えた。漕いでも漕いでもなかなか追いつけない、途中何度もパドルを休める江上さんに30分後やっと追いついた。シーバース前はプレージャーボートがたくさん出ていた、みんなゼンゴ(小鰺)釣りだがどの船も釣れていない、「どちらのコースで行きますか」一文字防波堤の内側を通ってゆくことにする。防波堤の出入口でプレージャーボートの引き波がカヌーをゆらす。防波堤の釣り人も釣れていないのか防波堤で寝転がっている、海の水は汚く透明感がない、単調なパドリングでボートの引き波だけがおもしろい。大在公共埠頭のどこに潜水艦が停泊しているのか捜す、大分県で一番深い埠頭なので大型船はいつもこの埠頭に停泊する。前方のクレーンとクレーンの間に黒い影を発見「あれ、潜水艦の艦橋つがいますか?」「海から回っち見よーえ」埠頭の周りもゼンゴ釣りの人でいっぱいだ。みんなはじめて見るカヌーに興味しんしんの様子がわかる。埠頭の先端をまわりきったところに目指す鉄のくじら潜水艦を発見する。

 

呉港が母港の潜水艦“たけしお”全長76m、乗務員約80人だそうだ、そっと潜水艦に近づくと艦上で見学者を案内していた士官が「そこあぶないですよ」うるさいので前にまわるとすると今度は「艦首の水面下しこから2mは前に出てますから危険ですよ」ていねいな口調だが命令調な言葉が飛んできた。カヌーの水深は20cmしかないので接触するはずもないのに。潜水艦とカヌーが並んで記念撮影をする。よほどうっとうしいのか艦上の士官は北朝鮮工作員とでも思っているのか私たちから目をはなさない。私はパドルで潜水艦をカンカンたたきただけである。ここが公共の港だし彼等もほかの見物人がいるため怒れず、私たちが沈しただけでニュースにされるかもしれないのでとてもナーバスになっているようだ。艦橋の士官に潜望鏡の大きを聞いたらパドルの同じくらいの太さ約4cm弱だそうだ、それに船の塗装は牡蠣が付着しないように特別に毒性の強い塗料を塗っているそうである。あきたので彼らを安心させるために帰ることにする。

  

10:00埠頭の湾内を通りポンツーンの水路から海にでるコースをとる。途中でトイレをもよおし水出し用のボトルで用を足す。ここのポンツーンには数百隻のボートが規則正しく並んでいる。海上からの風も波もないので海面は鏡面のように静かである。漕ぐたびにカヌーがザーッ、ザーッと気持ちよく水をきる、海鳥が水中にもぐる、白サギが海面をじっとにらんでいる。東の艀はヨット専用になっている。今日は風がないので船上でくつろいでいるここは“細ヨットクラブ”のエリアである。岸とヨットの狭い間をすすむ、ここはフィールドとしては最高のところだがまだまだヨットの停泊数は少ない。最後のポンツーンをぬけて海上に出る。海上に出て近くの浜に休憩のためむかう、ここの海はとてもきれいだ1~2m下の岩もはっきりと識別できる。一文字の出入口の汚れと全然ちがう、そんなに離れていないのでこの汚れの差に驚く。

 浜到着、家族連れが石ころだらけの浜でアサリを掘っている。後で父に聞いたらこの浜はアサリがよく採れ、味もよいそうである。となりでボールを海に投げ犬にとりに行かしていた、投げたボールを私も同じように海上から近づくと犬はUターンして陸に上がっていった、その後いくら主人が命令してもカヌーのいる海には入ってこない、かわいそうになりカヌーを移動したらまた海に入りボールを追い始めた、やはり犬もカヌーが気になるらしい。 

 11:30 馬場の浜を出発して30分で大平海岸に着く予定で快調にすすむ、馬場の沖は長い海草(10M)が群生している、それは海面にも多く顔を出している、もしかすると小魚の棲み処になっているかも?当然この海面は漁船の通過できないはずだ、次回の釣りの楽しみにしておく。途中神崎の海水浴場が見える、海から見たら大変きれいだ、まだあまり知られていないので大分の穴場の海水浴場だろう。

 12:00 昨日の焚き火の煙がまだ細い筋となってたちのぼっている大平海岸に到着。「あービール、ビール」二人とも走り出す。前回のツーリングの反省からクーラーのビールはまだ冷えている。凍らしてクーラーに入れていたペットボトルはまだ3分の1凍っていた。「冷てービールで乾杯」昼食は昨日食べなかった“こてっちゃん(ホルモン)に焼肉、それにキムチを焼いて食べる、晴天の下での冷たいビールに最高の組み合わせである。次に同じく残りの鮭とおにぎりを焼く、ビールは一人3本がすぐになくなってしまった。鮭を食べる時は焼酎にかわっいていた、これもまたおいしい、鮭から落ちる油がプチプチと煙をだしながら香ばしいにおいがする。二人ともおおいに飲み食いいい気持ちななり2時前まで休憩とする。「あーボツボツかたずようかなー」「もうちょい休みましょう」なかなかあとかたずけがすすまない。しかたなくテントから撤収にはいる。最後に二人のカヌーを積み込むがその重いことこのうえない、やっとのことで全てを車に移動、30分の撤収予定時間が1時間かかってしまった。結局イルカ見学は中止となった。エコマリン大分の冷たいカルピスを飲みしばし休息、トレーニングで出かけた7人は5時すぎに戻る予定だが今日はベタナギなのでもう少し早いかもしれない。トレーニングに参加できなかった井上さんが前回の佐田岬半島ツーリングの記念写真を持ってきたので見せてもらう。

 15:00 エコマリンをあとにしてこんどは大在公共埠頭に潜水艦見学に行く、艦内見学はすでに終了していた残念。

今回の参加者 江上氏、松本、

※このツーリング記録は1997年5月17日分を2009年に再度公開しています。参加者の江上さんは数年前にお亡くなりになりました、ここに謹んでご冥福をお祈りします。合掌