懐かしく「807PP・AB1級アンプ」製作記


そういやハンダごても久しぶり・・・・1998年5月

久しぶり・・たぶん3年ぶりに「真空管アンプ」を作りました。
使用したタマは「807」という、古い送信管。インターネット上で807のことで盛り上がったのがきっかけで、作ってみる気になりました。

突然思い立ったので、予算ゼロ。
基本的に手持ちの部品をとにかく活用し、お金をかけずに作ることにしました。

昔作ったアンプのシャーシーや部品を活用し、電源部なんかほとんどそのまま流用します。

807


さて、「UY−807」というタマは本来発振・増幅・変調用の空冷ビーム管で、ひところプロ用の送信機の逓倍・励振・電力増幅などに広く使われました。
もちろん、アマチュア無線の10ワットクラスの送信機にもよく使われる、定番のタマでした。送信管らしく、頭にプレート端子が出ています。

もともと「6L6」系統のビーム管内部構造を持ち、オーディオ出力管としてもかなり使われたことがありました。特に、昭和20年代から30年代には、軍用品が大量に放出されたこともあって、学校放送用のアンプなどに広く使われていたという記憶があります。

本来「送信管」ですからそうとう丈夫なタマで、プレート電圧は最高600V、これでAB2クラスで使えば低周波出力80ワットが可能なんですが、今回は大出力は必要ないので、プレート電圧は低めの360Vとし、固定バイアスで動作としてはAB1クラスで働かせることにしました。807にとっては、かなり軽い動作ということになりますが、それでも出力は規格表から25Wぐらいはとれそうです。もちろん、家庭用としては十分すぎる出力です。

高圧が低めなので、パーツの耐圧などもあまり気にせずに済みます。そこで手持ちの使用済みのジャンク部品を徹底的に再利用したんですが、配線材なんかとにかくケチったけど、見た目はそうみっともないこともなく、一応なかなかのできと思います。

なお、使用した807は手持ちの11本の807の中から選んだ物ですが、4本とも外観はよく揃っていましたがペアチューブではありません。一応うっすらとMADE IN ENGLANDとありましたが、ブランド名不明、しかし全体の造りはなかなかよく、おそらく1970年代以降の東欧製ではないかと思いました。

さすが送信管で、任意の4本を使っただけなのに、バランスはほとんど問題ない程度にそろっています。

写真はほぼ配線が終わった段階で、電解コンデンサーも古いのがありますが、耐圧には十分余裕があるので問題ないと判断し、一応チェックした上での再利用です。
ものによっては20年ぶりの再登板というものもあります。

シャーシはもともと大出力実験用のものだったのでかなり大きめ。だから配線も込み合うことなくゆっくりしたもの。
初段は東芝製「6201」という、12AT7の高信頼管で、中増幅率の
双3極管ですが、これを片チャンづつ左右にふりわけて使用。

位相反転は東芝製「12BH7A」で、予定では「6FQ7」を使うつもりだったけど、既設のヒーター配線が12ボルト用だったのでそちらに合わせたというわけです。

電源関係は20年近く前の配線をそのまま。ダイオードもそのまま転用したので、ほとんど手間いらず。

できた!

「807」AB1級PPアンプ

 出力25ワット×2(たぶん) 


  終段プレート電圧 365ボルト(実績) 
  終段スクリーン電圧 275ボルト(実績)
  バイアス電圧 マイナス22.5ボルト(実績)
シャーシーを引っぱり出して部品を確保したり、回路図を書いて検討したりの下準備に3日ほど。
実際の製作はまる1日という超スピードでした。

こうして、むかし懐かしの「807PP」が完成しました。

ほんとはダイオードでなく、整流管を使いたかったけど、
流用シャーシにはその穴がなかったもので・・・
バイアス電圧以外ほとんど無調整ですが、とりあえず問題なく鳴って
くれています。
いま自宅には測定器が無いので定量的な分析はしていませんが、
特にハム音もなく、SN比は十分に高いようです。

NFBは少し強めに効いている気もしますが、今のところ特に高域発振もないようです。

ところが・・・
ありゃ? 入らんぞ???

ところで、まったく予期していなかったけど、完成したアンプがオーディオ棚に入らないのです。
シャーシの幅は450ミリ強、棚の幅は450ミリ弱。たった1ミリ足らずなのに。

うーむ、このごに及んで・・・・・ここで初めて、なぜこのこのシャーシを
使っていなかったのか思い出しました。
「棚に入らない」からだったんです!

仕方なく、横向きで使用中です。ええ残念。

次は「6GA4」PPを使ってみようか・・・・という予定が、もう何年もプランのまま。











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