方法は一つではない

●大分合同新聞9月8日朝刊の「読者の声」欄に掲載されました●

 小学生の娘が「九九」を覚えた。娘と同じ年齢の頃、私は父の仕事の都合で佐伯市から大分市に転校した。転向した学校では既に九九の授業は終わっていて、私は劣等生になった。
 私だけのために九九を教えてくれることはなかったので、必要に応じて記憶した。全てを覚えているわけではなく、小さい数字が先にくる掛け算しかできない。つまり「にくじゅうはち」は言えるのだが、「くにじゅうはち」は言えない。その都度、置き換えて計算している。
 娘は父親が答えられないのが面白いらしく、九九をつぶやきながら私が答えられない掛け算を探して聞いてくる。
 学校の先生には叱られるかもしれないが、半分できれば全て答えることができる。数字を入れ替えても同じ結果であることを娘に話すと面白そうに数字で遊んでいる。算数は嫌いになると、それ以降は苦手な教科になると聞く。子どもには、答えを得る方法は一つではないことを知ってほしい。