医学は暗記の学問だ


テレビで東大医学部の学生が医学は暗記の学問だと言い切った。医学生は医療の経験が医師とは異なるので、医師の強い違和感を説明しておきたい。

全ての科学が実験と再現性の学問である。医学は経験と知識の蓄積である。医学は人が対象なので実験することが難しい。それ故に、経験から正しいと思える答えを作り上げるしかない部分がある。

 ところが、経験からの正答が間違いであることは、ガリレオの地動説を待つまでもない。現代医学でも間違いが正しいとされることは珍しくない。暗記されている知識を鵜呑みにして患者さんを治療してしまうと間違いを起こす。

 科学は常に疑いを持つ事から始まる。疑いに耐えられない真実は無い。医師は知識と現実に違和感を持つときにはこれに疑いを持つ。勿論、経験だけから医療を行う事は更に危険な事であるが、入学試験ばかり目的にして勉強すると、人の話を鵜呑みにする事が起きる。