子どもの純真な目線

●大分合同新聞7月4日朝刊の「読者の声」欄に掲載されました●

最近は通学中の事故や事件のニュースが多いので、自分自身の健康づくりも兼ねて娘の登校に付き合っている。
ある朝、子どもが集まっていた。顔見知りの子が「こっちに来て。血が出て倒れている」と言う。
 見ると口の周囲と左手が血まみれ。唇が切れているようで、「大丈夫だよ」と言って、その子を座らせた。変な男性が声を掛けたと思われてはいけないので「おじちゃんは医者だよ」と説明すると、緊張していた子どもたちの表情が和らいだ。
 「こけたのは不幸だったけど、お医者さんがいてラッキー」と友達が励ました。その友達から「おじちゃん、なぜ笑うの」と不思議そうに尋ねられた。私が痛がっている子を見て、ほほ笑んだかららしい。とっさの質問に戸惑いながら「我慢しているのをかわいいと思ったんだよ」と答えた。
 そういえば、私は診察中に微笑みながら話す。純真な目で大人を見る子どもの一言で自分の姿に気付いた。