論語教育

 国は道徳教育の強化を試みている。新聞記事に「こども論語素読塾」という本が紹介されていた。この本は私の保育園の教材である。

 道徳教育が思想統制に利用され、太平洋戦争への道を歩んだという否定的な考え方も理解できる。しかし、教育と言うのはいずれにせよ思想統制という側面を持つ。仁義礼智忠信孝悌の、忠を国家に対する忠誠心として強制するのでは偏ってしまう。

 論語教育や儒教思想は道徳ではなく哲学である。私達が人生で道に迷った時に道標(みちしるべ)となる。道標と言うのは必ずしもそのように進まなければならない訳ではない。道を踏み外し、辛い思いをした時に道標を思い出して正しい人生の道への修正をする。最近は自分がどの生き方を歩んでいくのか道標を持たない行き惑っている日本人を多く見かける。

 君子は義にさとり、小人は利にさとる。己の欲せざる所は人に施すなかれ。素晴らしい道標ではないか。