これが日常


 数ヶ月も目を覚まさない眠りの中、はまさしく混沌と言う言葉に相応しく、年齢や立場をくるくると変えて続く世界に没頭していた。
 社会人のに小学生である弟の政宗と言う人間関係かと思えば、は十六歳で政宗は十五歳と言う年子になっていたり、世話役の小十郎が居たり居なかったり許婚になっていたり、弟は政宗一人かと思えばその下に次男の小次郎が生まれていたりと、くるくる世界は変わっていった。
 お隣の佐助は同い年だったり年下だったり、存在すら居なかったり。
 年齢も居たり居なかったりもくるくる変わる中、けれど必ず変わらないものもあったりするが、それは全ての意識に大前提としてあるような「夢だからの」理不尽な一言でを納得させる。
 本当の本当、として生まれて育った世界では、家族に政宗と言う弟、小次郎と言う弟などいないのに、父親の名前も母親の名前も違うのに、佐助と言うお隣さんも幼馴染も居ないのに、けれど眠っている世界では当たり前のようにはその全てを受け入れていた。
 それが自分の遊んだゲームの登場人物と瓜二つ、同姓同名の人物たちだとどこかで分かっていながら、自覚して、けれど自覚せず、世界の中で産まれて生きて育って暮らして。
 でありながら、その世界で生まれ育った伊達家の長女、伊達でもあった。


 高校生のが小学生の弟である政宗の世話を焼きながら朝食を済ませ、先に仕事に出ると慌てる父親に押されるように家を飛び出し、政宗と母親も自分の鞄やランドセルを持って追いかけてくる。隣家の幼馴染佐助と目が合って、笑いながら手を振って走り出すに日直がんばれの一言。

 高校生のに同じく高校生の政宗が喧嘩をしながら交友範囲についての討論。誰と付き合ってるそうだな、誰と付き合うな。自分の勝手だ口を出すな生意気な弟の癖に女の癖になどなど口論は激しいが、政宗の更に下の弟である小次郎が欠伸をしながら通り過ぎ、寝ぼけている母親に風呂に入って寝なよと声を掛ける父親。

 小学生のと指切りをする小学生の佐助が背の高い草むらの秘密基地中で笑いあい、探していた世話役の小十郎に見つかって三人仲良く帰っていく夕暮れ時。

 ぼろぼろ泣きながら喧嘩をしたと言う政宗と幸村に、小学生の殴り合いは大変ねとため息をつきながら頭を撫でる社会人の。救急箱を持ってくると、お互いごめんなさいを言い合っている二人に、そっと安堵のため息を吐くのは一緒に遊んでいた元親と元就の同じく小学生組。

 今度結納をするんだがと真っ赤な顔で報告に来たかすがに、高校卒業したら結婚かぁと感慨深く思いながらも、おめでとうと笑いかけるは、二人で一緒にウエディングドレス雑誌に没頭。

 まつ姉ちゃんと利に赤ちゃん出来た! めでたいねぇ! と浮かれ騒ぐ高校生の慶次に、良かったねと呆れながらもお祝いの品を考え、結局近所の豊臣さん家のねねちゃんに聞きに行き、仕事から帰ってきた秀吉と三人で頭を悩ます中学生の

 レポート写させろと鬼気迫る形相の元親に、阿呆めと元就と揃って冷たい言葉を投げつけ、けれど一緒にやろうと三人揃って大学の食堂であれこれ話すに、研究室に顔を出すように電話をしてくる先輩光秀。

 女は分からんと言いながらも懸命に指輪だとかネックレスを物色する家康に、お前付き合ってすぐにそれはまだ早いだろうと突っ込みながらも、も一緒になって女の子が好きそうな小物を物色し、二人で結局分からなかったと落ち込む昼下がり。

 お嫁さんにもらってねと照れながら告白する小学一年生のと、困ったように笑いながらも相手が居なければなとを抱き上げ頭を撫でる高校生の信長。それを見守りながらも複雑な心境の父である輝宗と母である義姫は、二人とも「お前許婚いるじゃねぇか」と信長に突っ込む無粋はしない。

 おじいちゃん、長生きしてねとが小学校で作った画用紙の首飾りを贈り、嬉し涙を流しながら受け取るのは北条と島津の二人。近所のおじいさんおばあさんと交流しましょうと言う学校行事を、二人とも喜んで受け入れた。

 忠勝さん、マジちょ、ストップと吐き気を抑えながら呻くに、辺りを見回しながらようやく抱き上げていたを地面に下ろす忠勝。同僚で会社帰りの二人のはるか後方には、うっかりをカツアゲしようとした男達の成れの果てが転がっていた。

 妹同然の市と弟同然の長政に、絶対幸せになるんだよと泣きながらは抱きつき、嬉しそうに笑う市と真っ赤になって当然だと叫ぶ長政の二人。白いウエディングドレスを着た花嫁と黒い燕尾服を着た花婿の二人に、が感動の涙を堪え切れなかった春の一日。

 これはどうよ、それはまだまだよと二人で写真を物色し、楽しかったねぇと数週間前の遠足の思い出に浸る帰蝶と。盛り上がるにつれて誰が誰に告白しただとか、そう言えば許婚とはその後どうなったんだとか、誰々と一緒に遊んだら誤解された子供だよねーだとかなどなど、掃除の時間になっていたことにも気づかず、クラスメイトに怒られる中学生の掃除時間。

 嘆息しながらも酒の肴を切らさずに追加して、夜明けまで自棄酒に付き合う腐れ縁の松永と、失恋したー! と号泣仕切りの。ついでにあれこれ仕事を手伝わされている松永は、暴れるだけ暴れて眠り込んだを、慣れた動作で自室のベッドに放り投げ一人ソファーにて就寝。

 俺だって辛いんだよと、半泣きで塾の答案採点をしている大学生蘭丸に冷たい視線を向けつつも、時間を計画的に使わないからだべと叱り飛ばす同じく大学生いつきに、は適温のお茶を差し入れる。の子供くらいの年齢である塾の新米講師二人は、とうとう持っていたペンを放り出し、はため息を吐きつつもなだめるために、気に入りのお茶菓子を用意する。自分の仕事時間は終わったのになぁと、旦那の迎えを待つ午後十一時。

 欠伸をして居眠りを始めたに、仕方ないなぁとため息を吐きながら上着をかけるのはもうすぐ中学生の半兵衛。このままじゃ風邪を引きますよと言われても、夢現で聞いていないは恋人のための贈り物案を相談中だったはずなのだが、紙に書かれているのはすでに宇宙語。これが自分より十歳は年上なのかとため息を吐く半兵衛の冬のひと時。

 ふわふわと舞い散る雪を一通り眺めた後、さてもとりあえず初心者なんですがとスキー準備万端の格好で、けれどもゲレンデから一歩も動けなくなったに、無言で教えようかと首をかしげて伺ってくる小太郎。ふたりとも、へいきですかと遠くから気遣う謙信を気にしながらも、じゃあお願いしますと頭を下げあうと小太郎は、その後一時間ほどで謙信たちと合流することに成功したりする職場恒例冬合宿。



 ぐるりぐるりとなんの違和感も覚えず生活をしていき、場面が変わり立場が変わり年齢が変わり、けれども当たり前のように呼吸をして生きていくその世界で、は自分が衝撃的な出来事を体験したなど、すっかり忘れきっていた。交差点からいきなり森の中に飛んで、忍びとか言う集団と関わりあって、することもなく養われるいわゆる居候といえば聞こえが良く、ニートといえば辛らつな状況になってしまった自分のことなど、もう本当にすっかり脳みそのどこにもなかった。
 今いるこの世界が感じる全てが自分の生まれ育った世界ではないことを、時折ふとよぎる思い出たちが見えても、ゲーム画面も絵も小説も声も、味も匂いも感触もなにもかも、が認識する前に何かに押し流されていた。

 眠った先の世界だと認識せず、けれども今現在が生きている世界というのはある種間違いではなく、ごちゃごちゃと変わる世界のめまぐるしさになんの疑問も問題も浮かび上がらず、は流されるまま世界を生きた。

 の実の父親と姿形、声や仕種もまったく違う輝宗へと屈託無く笑いかけ、玄関でその帰りを出迎える。にとって、なんの違和感も抱かない日常のひとつ。
 の声が自問自答を繰り返す「夢だ」「いいや、現実だ」「夢の中で見る夢だ」「いいや、夢みたいな現実だ」の浮かびぶつかり合っている声は途絶えないというのに、結局はその疑問ごと存在を心の中から抹消し、は出張からようやく帰ってきた父親に、満面の笑みで駆け寄った。
「おとーうさん、おかえりなさいませ!」
「……、今度は何をやらかしたんだ?」
「政宗や成実じゃないから! 今日はなんか話があるんだって。私は洗濯とかやってるから、リビングへどうぞー」
 父親の手から奪うようにボストンバッグを持ち、さっさと洗濯物を出しに脱衣所へと向かう。それを輝宗は喜んでよいのか呆れたらよいのか迷うように笑い、顔を出してきた妻に視線を向ける。
「ただいま、私の義姫」
「おかえり、輝宗さん。……いい加減、そのくさい呼び方止めてくれない?」
 いい歳して、などと輝宗に文句をつけながらも、その笑顔は優しい。軽い足取りで歩み寄ると、子供がいくつになっても変わらない習慣を交わす。
 伊達家夫婦の互いの頬に口づけ合うという習慣は、娘が生まれても息子が生まれても結婚二十周年が近くなっても、変わらずに続けられる伊達家夫婦円満の秘訣だった。
「親父おふくろ、じゃれてねぇでこっち」
 政宗が呆れた声を出しながらもリビングより顔を出し、早く来い来いと手招きをする。
 親に向かってと今更二人とも叱らずに、はいはいと受け流しながら揃ってリビングへと足を踏み入れる。
 はまだ戻ってこない。父さんが帰ってきたら、ついでに手洗いするもの片付けておいてと、あらかじめ義姫がお願いをしておいたので、しばらくはリビングに戻ってこない。
 小次郎もリビングから顔を出して廊下を確認し、兄である政宗に無言で頷く。
 ソファに腰掛けた輝宗は首を傾げるが、政宗も小次郎もどことなく真顔で真剣みを帯びた表情を浮かべており、輝宗の隣に座った義姫の顔も幾分か強張っている事に気づくと、静かに目線を政宗に固定した。
 父親の視線を受け、向かいのソファに腰を下ろした政宗は目をそらさずに視線を合わす。小次郎も政宗の隣に座り、背筋を伸ばして父と母を見た。

 はもうそろそろ高校を卒業、無事に大学にも合格して気楽な高校三年生。政宗は高校一年でより二歳年下。小次郎は更に下で、現在中学一年生。二人とも姉であるに可愛がられる元気な弟達だが、今の表情は違った。
 どこか決意を秘めたような、知りたくも無い事実に胸をえぐられた悲壮な表情だった。
 静かな空間に、政宗の口が開く。
「姉さんの、姿が透けてきてる」
 それは本来ならばありえない話。人間の姿が透けるだなんて現象はありえない。
 けれどそれを聞いた輝宗は、動揺した素振りもなく瞬きをする。重々しく口を開き、静かに息を吐き出した。
「……とうとう、か」
 それは知っていたと言う響きを持って、よりいっそう四人の表情を曇らせる。誰もがわかっていた時間が、もうすぐそこまで迫ってきていた。
 伊達家の長女、長子として産まれ愛し慈しまれた
 けれど、彼女が時折違うものを見て感じて喜び悲しんでいることを、誰もが感覚で察知していた。
 は間違いなく輝宗の子であり、義姫が産んだ娘である。けれど、どうしてもひっくり返せない事実もそこにあった。
 義姫が疲れたようにため息をこぼす。
「私が産んだからといっても、魂は前の世界に引っ張られてしまうのね」
 は間違いなく義姫がお腹を痛めて産んだ子供。体も心も伊達の子供として育っていた。その体には、母親である義姫が知らない傷など無いほど。
 幼い頃夢中になって遊び、小さいが消えない傷を残した左肘。
 木に登ったは良いが降りることに失敗し、膝をぶつけ顔から盛大に素っ転んだ傷。
 止めなさいといっても止めず、土遊びで女性らしい綺麗な形に育たなかった指先。
 他にも無数に増えて癒えて消えていった傷や痛みもたくさんあった。泣いて帰ってきた娘を治療するのは、父親ではなく母親である義姫の領分だった。
 人より幾分か衝撃に弱い鼓膜は、小さい頃から耳鼻科通いを余儀なくされた。
 政宗が大病で苦しんでいるときは、大人たちに自分の体調不良を悟られないよう押し込めていた。
 弟達を誰よりも可愛がり、時折邪険にしてしまった後は、ひたすら自己嫌悪でこっそり泣いていたのも知っている。
 恋に憧れを持った時期も見ていた。弟達が成就させてなるものかと邪魔をしたり、それに怒り心頭になったりと騒がしい日々も全部見ていた。
 何でも相談してくる娘が可愛くて、息子達と違った意味で可愛くて仕方がない子供であることを、義姫は否定しない。
「義姫」
 輝宗が優しく妻の肩を抱く。何の因果かと泣きそうに体を振るわせる義姫に、政宗も小次郎も唇を噛む。
 ゆっくりと義姫を抱き寄せ背中を撫で、輝宗は静かに息子達へと視線を向けた。
「いつ頃からか、覚えているか」
「三日前。昔からちょっと透けるくらいはあったんだから、何分も何十分も透けるとか、最初は気のせいかと思った、んだ。……思い、たかったんだけどな」
 即座に答えを返したのは政宗。けれど、歯切れ悪く語尾を掠れさせると、行儀悪く舌打ちをして視線をそらした。小次郎はそんな政宗の横顔を見ていたが、泣きそうに目を揺らめかせて縋るように輝宗を見た。
「父さん、姉さんはいなくなるの?」
 否定して欲しいとはっきりと伝わるその言葉に、けれど輝宗は笑顔を返すことが出来なかった。笑顔で、大丈夫と言うことが出来なかった。
 乾いた空気に輝宗の唇がかさりと音を立てる。輝宗の腕の中で、義姫が身じろぎをした。
は、いなくなる。元々、私たちの家族になるはずのなかった子だからな」
 輝宗の言葉に、義姫と政宗が弾かれたように立ち上がり、射殺さんばかりに輝宗を睨みつけ、咆哮を上げる。
 怒気が見えるほどの咆哮は、家中に鳴り響いた。
は私の産んだ子です!」
「姉さんは俺の姉さんだ!」
 けれど次の瞬間、輝宗や小次郎が何か言う前に聞こえてきたのは小さな音。家の奥から、何かが落ちる小さな音がした。
 そのとき叫び声を上げた二人は、いっせいに状況を思い出す。話題の人物であるが、同じ家の中に居る。そして間違いなく、今の言葉が聞こえているだろうと言うことまで思考は進み、身動きがとれずに立ちすくむ。
 何事だと、慌てて駆けてくるだろうを想像していたが、四人の予想は外れてしばし待ってもなんの変化も訪れなかった。
 家中に響くほどの大声ならば、が聞き逃すなどありえない。
 輝宗は小次郎に二人を任せると、一人静かに脱衣所へと足を向ける。予想通りならば、が驚いた表情で立っているだろうと。
? ……、ッ」
 けれど予想に反して目の前にいたのは、意識なく瞼を閉じて倒れている愛娘の姿。その体はうっすらと透け始め、倒れこんでいるはずの足元すら透かし見せていた。
 素早くかがみこんでの様子を窺った輝宗は、のどこにも外傷が無いことを確認し、さらには顔色が悪いわけでもなく表情が穏やかなのもしっかりと目視する。呼気も穏やか、まるで転寝をしているようなその呼吸の確かさに、本当にすぐそこまで時間が迫っていることを痛感した。
「……親父、姉さんは」
「眠っている。……時間がないせいだろう」
「……そっか」
 輝宗が振り返らずに告げると、政宗は無理矢理笑みを浮かべようとして失敗し、どこか泣きそうな表情で顔を俯かせた。
 政宗の目にも、透けてしまっているの姿ははっきりと見えていた。

 別の世界に飛ばされて、山の中の屋敷に軟禁。のち、深い深い眠りの縁に落ちただけに見えたは、なんの因果か因縁か、時代は違うが同姓同名たちの居る別世界へと意識を飛ばしていた。
 その後も、平行世界へと多重に肉体と意識を飛ばされて往復させられて、本人は分からなくなっていても、年齢や立場を越えても傍に居る家族はそれを肌で感じていた。本能のように認識していた。

 には戻るべき場所がある。いつかその世界に還ってしまう。

 恐ろしいほどの確率の中、確かに知っていた。別の似た世界から、が来たことを知っていた。自分達ではない自分達を知り、そして本人が知らずともいつか別の世界に帰ってしまうことを知っていた。
 特に両親となった輝宗と義姫は知っていた。御伽噺と周りに笑われるような出来事だったが、が別の世界で生まれ育ち生活をしていき、そしてまた別の世界に飛ばされる夢。そしてその夢を何度も何度も見ているうちに、義姫の妊娠が分かった。数ヵ月後、お腹の赤ん坊は女の子だと告げられた。
 何か特別な子供になるのだろうかと、初めての子育てと言うこともあり戦々恐々としながらの子育てで、けれどは全くもってなんの特別もない子供だった。ただ、可愛い可愛いわが子という当たり前で平凡な女の子。
 
が自覚してたら、引き止められてたかもな」
「おれの右目みたいに、どうしようもなかったかもしれねぇぜ」
 時折思い出したように寝ぼけたように語られる、の「元の世界の」家族の話。「元の世界で楽しんだ」ゲームの話。「元の世界の」偉人の話。
 他にもが意識していないだけで、本当にたくさんたくさん話を聞いているはずなのに、家族の中に強く印象付けられているのは、やはり自分たちに関連するかのような話題ばかり。
 が別の世界の人間で、そして家族としてではなく別の視点からも自分達を見ていると認識させられる瞬間。
 政宗や小次郎にとって、は血筋から言っても本当の姉。日頃からそうとしか認識していない、間違いなく姉弟。
 なのに、ふと意識する瞬間があるのは、本当の姉弟でない意識が根底にあるからか。
「近親相姦なんざ冗談じゃねぇのにな」
「こら、なに想像してる」
 不自由もしてないだろうにと、いい加減を抱き上げた輝宗が政宗をたしなめるが、口から出てしまった言葉は戻らない。政宗は悪びれずに、けれど苦笑して抱き上げられたを見つめる。
 意識が無いその姿は平和そのもので、思わず表情が緩んでしまう。
「だらしねぇ寝顔」
「こればっかりは、昔から変わらないな」
 自身が無意識に思っているのか、何かの力が強制的にそうさせているのか。分からないまま、けれど確かにと言う存在は消えてしまおうとしている。
 こんなに幸せな世界から居なくなろうとするだなんて、なんて罰当たりなんだと政宗はもう笑うしかなかった。
 穏やかなの寝息が何度涙腺を緩ませようとも、政宗たちは笑うしかなかった。
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