わたげ
平岩純子県民クラブ大分市版会報


「わたげ」は、2003年4月、県議会議員に当選以来、議会ごとに出している会報です。このページでは、一部を公開します。この他に、平岩純子の行動日誌、応援して下さっている方の寄稿などがあります。「わたげ」を読んでみたいと思われる方は、ご連絡下さい。

46号 2017年4月15日発行








「誰にも平等に春は来たかしら?」

 今年の春は、例年になく寒さが続き、桜の開花も遅れました。
 私は、幼稚園、中学校、高等学校の卒園式や卒業式に参加させてもらい感慨深いものを感じていました。現在の教育では、「学力」が大きなウェートを占めて います。どこでも「学力向上」「偏差値」ということに追いかけられています。もちろん学校教育で最も身につけさせてあげたいのは、豊かな学びの中で育まれ る学力であり体力であり心育てです。それでも私の眼には、毎日追い立てられるようにして生活している子どもたちの姿が痛々しく映っていました。
 卒業式に参加して、送辞や答辞を聴きながら、別れの時が近づいて感極まって涙を流す子どもたちや先生との姿に厳しすぎる環境の中でもその底に流れている信頼という大切なものがきちんと存在していることに気づき、安堵と同時に頭が下がる思いでした。
 幼稚園の卒園式で保護者の方の謝辞の中で「先生方が子どもたちを比べずに育ててくださった・・・。」と言う言葉が胸に残っています。大切なことをお伝えしていただきました。

 3月にずっと伺いたかった移転したA保育園を訪問しました。園長先生が、保育園を見る時の視点を教えてくれました。一番小さい子どもたちが快適な環境で 育てられる間取りになっているか。陽当たりはどうか。風はどこから吹いてくるか。騒音はないか。緑はあるか。遊ぶスペースや場所は。給食の食材は等々その 考えに脱帽ですが、子どもたちの元気な姿に圧倒されました。ほとんどの子どもが裸足です。4時近くなると、自然に自分の雑巾をもって広いホールのふき掃除 が始まりました。一列になって端っこから始まります。私なら途中でギブアップですが、子どもたちは毎日続けているので、へたりません。ここに通う中でどれ だけ足腰が鍛えられているかがわかります。マイ雑巾は使い続けてボロボロです。それを自分で針と糸を使って補修していました。
 年長さんは、4月には小学校に入学します。学ぶことが楽しい教育であってほしいと願わずにはいられませんでした。
 保育士の先生方は、子どもたちをしっかり見つめ、愛し、その仕事に誇りをもっているようでした。保育士不足は職場改善と賃金の問題が大きなカギですが、志を持った若い人たちが思う存分仕事に取り組める環境を作っていかなければなりません。


2017年度 第1回 定例県議会報告
2月27日〜3月29日


第1回定例県議会は、2月27日に開会し、3月29日に閉会しました。

新年度一般会計当初予算6098億600万円など57議案を原案通り可決しました。

人事案件
 3月末で任期満了を迎えた二日市具正副知事が再任されました。田中議長、末宗副議長から辞表が出され、
新議長に井上伸史県議、副議長に御手洗吉生県議を選出しました。

知事の執行方針と予算編成
 県内は、熊本地震の影響から着実に復興が進んでいます、経済も緩やかな持ち直しの動きが続き、プラス成長が
見込まれるまでになりました。しかし、弱さが見られる分野も見られることから機動的な対策を講じて行きます。
一般会計当初予算は、前年度比0.1%増、4年連続のプラス予算を組みました。

総事業は、245事業ですが、その中のいくつかをお知らせします。
 安心の分野

◎おおいた子育てほっとクーポン活用事業
・子育て家庭の負担軽減や支援サービスの周知や利用促進を図るため「おおいた子育てほっとクーポン」(1万円)を出生時に配布する。

◎病児保育充実支援事業
・病児保育施設の新設、増設に係る経費を助成する。(6施設)

◎放課後児童クラブ施設整備事業
・放課後児童クラブを整備する市町村(12クラブ)に助成する。

◎スクールヘルスアップ事業
・児童生徒の肥満の改善・予防を図るためモデル校に栄養教諭を配置。
(中津市・津久見市・竹田市)

◎保育所運営費
・世帯所得に応じた保護者負担の軽減。 職員給与の2%(月額6000円程度)加算及び経験年数に応じた処遇改善(7年以上月額4万円、3年以上月額5千円程度)を実施する。

◎介護サービス基盤整備事業
・多様な介護ニーズに対応するため、基金を活用し施設整備等を行う市町村に助成する。

◎障がい児者歯科診療体制強化事業
・障がい児者等に対する高度な歯科診療体制を構築するため、高次歯科医療機関を設置する県歯科医師会に助成する。歯科医療のスキル向上の研修会を開催する。

 活力の分野

◎米政策転換対応型水田畑地強化推進事
・来年産米からのコメ政策見直しに対応するため、県独自の主食用米の生産目標を市町村に示すとともに、水田の畑地化による園芸品目の導入を推進。

◎有機農産物生産流通拡大推進事業
・新たな担い手の育成と周年出荷体制の構築を図る。
・先進的有機農業者のグループ化(5か所)
・有機農業用地の団地化に向けた調査(5市町)
・有機農産物マーケットの開催(月1回)

◎おおいた豊後牛流通拡大支援事業
・県産和牛のブランド力向上のため、フェアの開催、県内外の飲食店・旅館などへの販売促進活動を支援する。大都市圏での「おおいた豊後牛」認知向上に向け、外食事業者の店舗をサポーターショップ認定(東京3・大阪2)

◎離島等サテライトオフィス整備推進事業
・条件不利地域を中心にIT関連企業などの誘致を推進する。

◎ドローン産業振興事業
・市場の成長が期待されるドローン分野の産業集積を推進するため、大分県ドローン産業協議会を設立し、用途拡大対策の検討や研究開発などを支援する。

 発展の分野

◎いじめ・不登校等未然防止対策事業
・不登校対策プランを策定した拠点校に地域不登校防止推進教員を配置する。
・中学校19人 小学校3人(別府市・日田市・佐伯市)

◎スクールソーシャルワーカー活用不登校等対策事業
・貧困など家庭環境に起因する不登校未然防止、解決に向けて、早期に福祉事務所などの関係機関へつなぐ体制充実・強化を図るため、社会福祉士などの資格を持つSSWを配置する。
・県5人 市町村17人→29人 ・時給改定 1500円→2500円

◎鉄道駅バリアフリー化推進事業
・高齢者や障がい者などの利便性を向上させるため、駅のバリアフリー化を行うJR九州に助成する。
・実施駅 鶴崎駅、大在駅、(乗降客3000人/日以上)
・エレベーター、多目的トイレ設置

◎小中学校特別支援教育充実事業
・特別支援学校への通学が困難な地域の小中学校の特別支援学級に在籍する児童生徒に特別支援学校と同等の教育を教授するため、佐伯、日出、日田の支援学校に教員を配置し、サテライトコーディネーターとして派遣する。
・派遣先 佐伯市(5校)国東市(3校)九重町(1校)玖珠町(4校)

  居住地が支援学校から遠く、希望しても通えない子どもがいることや、担当教員の想いは、以前から聞いていましたし要望も出してきました。ですから、子ども たちが今以上に充実した勉強ができるようになることは、ありがたいことです。ただ、支援学校の教員は、遠距離勤務をしている人が大勢います。時間をかけて まず、自分の勤務校に行き、それから遠く離れた学校に通うとなるとその負担は大きくなります。制度としてどう運用していくのかをしっかり見守っていかなけ ればならないと考えています。



地方創生について・・・・。

 少子高齢化が進み、本格的な人口減少社会に入ったことで、地方創生は国や各自治体でも重大な課題として扱われています。
 大分県でも地方創生法の制定を受け、2年前に「まち・ひと・しごと創生本部」が設置されています。議会はそれを受けて「地方創生特別委員会」を設置し、 私も委員になっていました。その中では、「ひと」が中心となり、地方で「ひと」をつくり、その「ひと」が「しごと」をつくり、「まち」をつくるという流れ を確かなものにしていく必要があると定義づけられました。
 そのために、子どもを産み育てやすい環境づくり、仕事づくりや快適な環境づくり、UIJターンを通じた社会的な人口増についても話し合ってきました。市 町村の移住者居住支援や農林水産業の後継者対策(高校改革で単独の農業高校がなくなってしまったこと)などを指摘してきました。
 でも、心のどこかで、人口が少なくなってもやっていけるような仕組みを作っていかなければならないのでは。よその県に比べて生まれる赤ちゃんの数が多いとか移住者が600人だとか比較することの意味を見いだせずにいます。
 それ以上に深刻な問題は、高齢化とともにある貧困です。
 高齢者の中に働き続ける人が増えています。清掃、警備員、コンビニなど昔なら若い人のアルバイト先だったところで、高齢者の方が働いている姿をたくさん 見かけます。もちろん元気で働き続けられることは素晴らしいことです。でも、自己実現のためでも、社会参加でもなく、働かなければ生きていけない高齢者の 方々が増えているのが現実のようです。国民年金は、老後の生活を安心して過ごせるだけの金額ではありません。
 余生を孫に囲まれた穏やかな老後を送れる人は少なくなり、これから私たちは「死ぬまで働き続けなければ生きられない社会」を迎えているのではと思います。
 貯蓄はあるのか。支えてくれる人はいるのか。介護や医療が必要になった時どうするのか。それも大きなポイントになっています。
 下流老人を生み出すのは、自己責任ではなく、国の社会システムが整っていないからです。地方創生を論じる前に目の前に繰り広げられている高齢者や若者や女性の置かれている現状を直視し、少しでも安心して住みやすい大分県をつくることも地方創生ではないかと考えています。


純子日誌

1月7日  知事公舎見学


1月22日米海兵隊日出生台訓練反対集会

1月29日 大分県母と女性教職員の会


2月16日出前講座(野津原東部小)

  2月23〜26日… 台湾



災害の大きな爪痕
−豊肥本線調査― 2月7日


 昨年4月の地震で、現在豊肥線は、大分〜阿蘇、熊本〜大津間で運行されています。熊本県の大津〜立野間約40qがつながっていません。高校生を中心にバ ス輸送が行われていますが、近隣の住民や観光客には大変不便な状況です。並行して走っていた国道57号も不通部分があります。
 不通の原因は、土砂崩れです。
 山の斜面が高さ700m、幅200mに渡って崩れ、その土砂は下を流れる黒川に埋まりました。その量が50万リューベと言われますが、ピンときません。でも、現場を見てその悲惨さに言葉を失いました。
 昨年の5月1日から国土交通省・九州整備局が復旧作業の指揮を執っています。余震が続く中での調査は、危険と隣り合わせだったそうです。
 まず、土留めの盛り土を造り、法面の土砂を落とします。その作業は無人化された機械で行います。それをコントロールするのは、1台に一人のオペレーターでした。機械室で操作をし、14台をフル活動したそうです。
 今は、土砂崩れの恐れがない状態にして、有人の機械を使って作業をしています。ただ、阿蘇は雨の多い地域です。加えて土砂は火山灰です。その作業も気の遠くなるような時間との連続だったことがわかります。
 梅雨明けからは、土・日なしで、朝7時から日没までの作業が続いていました。
 昨年12月にやっと施工できるエリアが完了し、今年になって今後の作業のための調査が行われています。膨大な面積なのでこれからどのくらいの時間がかかるかわからないそうです。
 道路は人が入れる状態になったので、国道57号の復旧作業にかかれる日が近いようです。
 阿蘇大橋で、大学生が車に乗ったまま流され、お亡くなりになったことを皆さん覚えていらっしゃるでしょう。
 4月の地震では、1回目の時、阿蘇大橋は無事でした。安全も確認されていました。しかし、2回目の地震で斜面が崩れ落ちてしまいました。阿蘇地方に住む 方々も遠回りをする生活を強いられています。橋は、600m下流に架け替えることが、昨年7月に決まりました。九州整備局から30人の人が集められ、つ きっきりで仕事をされています。無人のユンボは、雲仙普賢岳の火砕流の惨事から導入されています。今は、ドローンを使っての撮影や計測も行っています。
 翌日JRの本社に伺って、「豊肥線は従来通り元の形に戻します。」と答弁を頂いたので期待をしています。
 4月27日に国土交通省に伺い早期復旧をお願いします。



 願いを伝えることの
 大切さ


 医大バイパスの道路が近頃きれいに補修されました。
 道路の近くに住んでいる人達が、道路に入った亀裂やでこぼこで大型車が通るたびに大きな音がして不安だったそうです。いつも車で通る私は気づかないことでした。土木事務所にお願いすると、以前からその計画があったのか、早速補修をしていただきました。
 国分新町の法面は竹やぶでした。大風や大雨の時には、木が揺れ、土砂が流れたりで、法面の上に住んでいる方々は、とても恐ろしかったそうです。私も何度か見に行きましたが、素人目にも危険だと感じていました。
 法面はそれぞれの住宅の方々の持ち物です。皆さんが「土地を手放しても良いですから、法面の吹き付けをしてください」と自筆の署名と印鑑をついた文書を提出されたのは3年程前のことです。
 土木事務所では、調査を行い、雑木林の伐採がかなり広範囲で行われてきました。今年も急傾斜地崩壊対策事業費が付き、4期工事に入っています。
 住民の方々が、自分たちの思いや願いを伝えていただいてできた仕事です。
 きれいになった法面や道路を見ながら願いを伝えることの大切さを思っています。


■ 編集後記 ■
 今年度から政務活動費の収支報告が全国に先駆けてインタ ーネットでも閲覧できるようになります。誤解を受けないようにとの気遣いでかなりの時間を割い て報告書を準備しています。私たちは全く不正をしていないのに一部の不正を行う議員に怒りさえ覚えます。その作業をしながら「学力調査の結果を良くするた めに、学力向上対策をしなければならない状況に似ているな」と感じたりしています。
 塚本幼稚園の異様な教育、政府の教育勅語容認答弁、共謀罪審議と目に見える形で右傾化が進んでいます。一人ひとりが声を出すことが今こそ大切な時だと考えています。



45号 2017年1月20日発行







11月23日  県政報告会(お手伝いして下さった皆さんと)


『伝え続けよう平和を』


 新しい年が明けました!
 皆様、ご家族お揃いで素晴らしい年を迎えられたことと思います。
 今年のお正月は、とても暖かでした。私も、地元の賀来神社にお参りに出かけました。いつも通り土手まで長い列が続いていましたが、「風もなく寒くもなく並んでいられますよね。嬉しいですね。」と見ず知らずの方と笑顔で語り合っていました。

 今年頂いた年賀状には、日本だけでなく世界中が右に偏っていく様子を心配されている方々がたくさんいらっしゃいました。
 昨年のイギリスのEU離脱、アメリカの第45代大統領にトランプ氏が選ばれたこと、そして今年行われるヨーロッパ各国に極右勢力のリーダーが選ばれる可 能性も予想されています。ポピュリズムを煽りながら民主主義が暴走しているような、民主主義が試されているような恐ろしさをここ数年感じています。

 一昨年に強行採決された「戦争法案」がじわりじわりと私たちの身近に迫ってきています。南スーダンに派遣された自衛隊員に「駆け付け警護」という新たな任務がついに付与されました。南スーダンに向かう飛行機の中には、棺が納められていたそうです。
 日本人は、戦後ずっと平和と民主主義を求め、守られてきました。しかし、世界中では紛争やテロが絶えることはありませんでした。その理不尽な状況に私た ちは胸を痛め、憤りを感じながら生きてきました。力で対峙しても解決できないことを私たちは知っています。しかし、その声はいつもかき消されてしまいま す。

 「卒業していく大学生がこんなに多額の奨学金と言うローンを抱えている国に未来があるのだろうか。」「貧困家庭の子どもたちに寄付を募る国に未来があるのだろうか。」と昨年ずっと考え、訴えてきました。
 新しい年が、本当に希望に満ちた年となるように。
2017年が「戦後」の終わりにならないようにできるのは、私たちの意識であり、民主主義の力だと強く思っています。

2016年度  第4回 定例県議会報告
(11月25日〜12月4日)

 第4回定例県議会は11月25日に開会し、12月14日に閉会しました。
本年度一般会計補正予算71億2982万1千円(累計6396億5893万4千円)県立埋蔵文化財センター設置管理条例、県職員給与条例の一部改正、議員提出意見書など26議案が可決されました。

 マリンカルチャーセンター
 次の指定管理は1年間


 マリンカルチャーセンターは、佐伯市蒲江にある社会教育施設
です。毎年春にマンボウがやって来ることでも有名です。
 10年ほど前、湯布院青年の家が廃止になる時、「夏に行っている、不登校の子どもたちのキャンプができなくなります!」と私は、随分反対しました。
 その時に県は、「九重少年の家があります。香々地少年の家があります。佐伯にはマリンカルチャーセンターもあります。その3か所で活動を保障します。」 と答えていました。九重と香々地は青少年の家として県直轄で、マリンカルチャーは、指定管理制度を導入し運営されてきました。
 マリンカルチャーは、施設の完全譲渡を視野に民間事業者からの活用を公募し、次の1年間だけを残して指定管理から外れそうです。過去には宿泊客の転落事故があり、収益も上がっていない施設ですが、社会教育施設が少なくなっていくのではと不安を覚えます。


質問しました!

 学校教育を巡る諸課題について
質問
1.教育感について

 子どもたちは学校で基礎的知識を蓄えていき、いろいろなことに挑戦していく。友達との関りの中で喜びを見出し、人として成長していく。そんな当たり前の 教育の営みが、追い立てられ、結果を求められ、教育実践の課題の共有化や達成感について十分語られることなく繰り返されていくことに不安を覚えます。 最 も気をつけなければならないことに評価の問題があります。短い期間に結果を求められ、評価され、時にはランキングされています。そのことが豊かな学びを阻 害していると考えますが。

知事答弁
 学力、体力、不登校などの調査は、実態を把握・分析することにより、教育施策の成果と課題を検証し、改善を図るうえで必要なものです。
 調査結果の公表については、過度な競争や序列化を招かぬよう配慮すべきですが、成果を挙げた自治体や学校の好事例に学ぶ機会を提供し、また、県民への説明責任を果たす上で必要と考えています。
 競争にさらされないように豊かな学びを守ってほしいと願います。県教委は地教委と学校と対等の関係にあると言われますが、現場では上意下達を感じています。その原因を考えて欲しいです。

質問

2.給食時の安全確保について
 支援学校の給食指導における食の安全は、教員や看護師が全員そろって成り立つという状況です。しかし、そんな状況は日常的にはありえません。今回の事故の教訓を踏まえ、今後の給食指導の安全にどう取り組んでいくのでしょうか。
 普通学校でもアレルギー食品の問題を抱えています。学校統廃合が進み、給食の民間委託も進んでいます。栄養士がいない学校も増えています。給食時の安全にどう取り組んで行くのでしょうか。

教育長答弁
 特別支援学校の安全確保は、一人ひとりの実態に応じたきめ細かい指導が行えるよう教職員を配置しています。しかし今回給食中に事故が起こったことから、第三者調査委員会で原因究明し、再発防止の提言を受け、指導方法を改善していきます。
 アレルギーを持つ児童生徒への対応は、毎年、市町村教育委員会を通じて給食調理上の調査を行い、衛生管理マニュアルの整備や食材混入の危険性の除去などについて指導しています。

質問
3.定時制・通信制教育について

 定時制・通信制には様々な状況の生徒が学んでいます。働きながら学ぶ生徒のためには、通信制教育奨励補助金制度の充実や全国大会への旅費補助など、安心して就学できる支援が求められています。
 また、スクーリング会場の拡大、学校設備の充実も取り組まなければならないと考えますが。

教育長答弁
 県では、全日制と同様、授業料負担軽減や、奨学給付金による授業料以外の支援、返還免除の修学奨励金の貸与、全国規模の体育大会参加費補助を行うとともにスクールソーシャルワーカーを配置して、生徒の抱える様々な課題解決に取り組んでいます。
 公立定時制・通信制の予算は、管理運営費を除くと1578万7000円しかありません、全国大会に生徒がチームで参加すると旅費が高額になり、過去には参加をあきらめた事実もあります。まずは、教育長が定時制の実態をしっかり見ていただきたいと願います。

質問
4.スクール・ソーシャルワーカーについて

 近年、置かれた劣悪な環境から生じてくる自分ではどうすることもできない生きづらさを抱えながら学校に通う子どもたちが大勢います。担任だけでは解決することが厳しい状況です。
 子どもを取り巻く環境の改善を図るために配置されているスクールソーシャルワーカーが効果的に活躍するためには学校との連携は欠かせません。
 スクールソーシャルワーカーの身分保障や賃金保障も十分ではありません。今後拡大が求められている中、教育委員会の見解は。

教育長答弁
 県では、14市町村に19名、4県立高等学校に7名配置しているほか、大分市は国から直接補助を受けて15名配置しています。
 SSWが学校との連携を深めるために@SCやSSWの役割を全教員が理解し組織的な教育相談体制を整備するA専門スタッフとの窓口担当者を決め、役割を明確にするB福祉や警察、医療関係機関との連携協力で「チーム学校」組織として問題解決が求められています。
 待遇については、九州各県と協議を始めたところです。キャリアや経験を踏まえた待遇の在り方を検討していきます。

 有機農業について

質問
1.有機農業による産地ブランド化について

 消費者の農産物に対する安全志向は高まっています。有機農業は化学肥料をたくさん使う農業と異なり、有機物などを分解し続ける好機性微生物が繁殖し、土 壌の窒素量が調整され、水持ちや通気性が良くなり自然の循環、浄化、治水機能が働きます。連作障害が起こりにくく、保水力があり、糖度、ミネラル、ビタミ ン分が豊富で味の濃い野菜が収穫できます。信頼性と安全性とおいしさを消費者に提供できます。有機栽培作物の産地ブランド化に取り組むことで、地域産業の 活性化が図られるのではないでしょうか。

農林水産部長答弁
 有機農産物は、消費の現場で認知され、差別化されるマーケットインの発想が必要です。ロットの確保や周年出荷体制を確立し、有機農業者のグループによる 共同出荷体制の整備や、新規就農者の育成、圃場の団地化などを進め生産体制を強化します。流通体制で大手量販店の需要にこたえるためネットワークも構築し ていきます。儲かる農業実現のため、ブランド化も念頭に置いて有機農業推進に努めていきます。

 私は、農産者ではありませんが、10年間有機の野菜を食しながらそのおいしさに魅了されてきました。現在、県下では8名の研修生が有機栽培を学んでいます。彼らが土地を守り、農業後継者となり、収益を上げて有機農業が拡がっていくことを願っています。
 農業や園芸をやりたい熟年層が増えています。有機を中心にした施設や観光農園の周りにそういう人たちの輪が広がることが理想です。

 女性や子どもへの暴力について
質問
1.性暴力救援センターすみれについて
 アメリカのサンディエゴから元検事のケイシー・グゥインさ んを招き、「全国シェルターシンポジウム」を開きました。アメリカでも性暴力やDVから逃げてきた女性が保護されますが、ファミリージャスティスセンター には、警察・検察・医療・教育・福祉・就労・子育ての機能が備えられています。日本では、なかなかそこまでいきませんが、できることもあります。性暴力救 援センター「すみれ」は今年4月1日に開設しました。当事者に精神的苦痛をかけることなく、機能を充実させていくことが重要だと思いますが。

生活環境部長答弁
 専任の相談員が被害者の気持ちに寄り添って一緒に考え、臨床心理士のカウンセリングや弁護士による法律相談、警察、医療機関などにつないでいます。関係者による事例検討会を開催し、支援の充実に努め、相談員の援助スキルの向上を図る研修も継続していきます。
 ワンストップでの支援が確実に行えるよう、警察、産婦人科医会、弁護士会、臨床心理士会、婦人相談所や児童相談所などの専門機関、教育委員会との連絡会議を開催し、顔の見える関係づくりを進めます。

質問
2.前面DVを受けた子どもの支援について
 母親のDVを見て育った子ども、自身が暴力を受けた子どもはさまざまな苦しみや困難を抱えて生活してきました。いわゆる「前面DV」を受けた子どもの存在をどのように捉え、支援していくのでしょうか。

福祉保健部長答弁
 一方的な暴力や暴言が繰り返される状況の中に置かれた子どもは、自尊感情の低下や他者への信頼感の欠如など発達への影響が大きいと考えられます。また「虐待の連鎖」に陥ることも考えられます。
 通告は、ほとんどが警察から心理的虐待としてなされます。通告があった場合、子どもの安全を直ちに確認し、カウンセリングや家庭再教育などの支援を行っています。
 「すみれ」には、4月開設から9月までに130件の相談が寄せられています。是非とも、性暴力被害に詳しいエキスパートを置いてほしいです。
 「全面DV」の子どもは、救済されても母親の支援が主になります。子どもたちは友だちにもさよならを言えずに逃げてきています。そして見つからないよう にひっそりと息をひそめて生活しています。地域社会からの理解も得にくい状況です。成長するなかで不適応な行動が出てくることもあります。子どもたちが自 尊心を取り戻せるように多くの支援を願っています。

 心配です!ワンマン特急導入
 大分駅がリニューアルされ、駅周辺は活気にあふれています。JR九州は、株式上 場し、アミュプラザや不動産事業も収益を挙げているそうですが、熊本地震により豊肥本線の復活や自然災害による土砂流入などで課題もたくさん抱えていま す。鉄道利用者数も減少傾向で運輸サービスは赤字だそうです。

 そんな状況の中で、3月のダイヤ改正に合わせ、日豊線の大分駅から宮崎空港駅までの路線を走る特急電車の一部に「ワンマン運転」が導入されようとしてい ます。4両編成の特急電車に車掌を乗せないで運行するということです。人件費削減が主な目的のようですが、運転手だけが乗車するということに今、関係者か ら不安の声が上がっています。JR九州は、非常ボタンを増やすことや防犯カメラを新設することで安全性を確保するとしています。

 私は、昨年2回、大分駅から宮崎駅まで乗車しました。大分以南の日豊線は単線ですから、列車離合の為下り線では、待ち時間が重なりました。そのたびに車 掌さんが「ただ今、○分遅れで運行しています。本日は列車が遅れて大変申し訳ありません。」と何度もアナウンスしていたのが印象的でした。この列車がワン マン化してしまうと、運転手の負担はかなりのものになります。日豊線は大雨などの自然災害で常に鉄道の被害が報告されていますし、鹿が線路の鉄分を舐めに 出てきて、衝突事故も多くあるそうです。
 株式上場し、黒字化をめざす会社側の願いは理解できますが、乗務員のこれ以上の負担や乗客の安全が守られるのかを考える時、大きな不安があります。


純子日誌

10月9日 竹彩夜

10月20日 宮崎県立病院

10月25日 予算要求提出

10月30日 全国シェルターシンポジウム


11月6日 防災訓練

11月13日 442号清掃Z

11月14日 女性に対する暴力根絶活動

11月22日 県政共闘会議

11月23日 県政報告会



12月18日 街頭宣伝

■ 編集後記 ■
 今年の元旦も我が家の前にある医大のドクターヘリは、活動していました。
 恥ずかしいことに、私は、お正月に体調を壊し、救急車のお世話になってしまいました。多くの人々が休んでいる時に、お仕事をされている方々がいることに改めて感謝と敬意の気持ちでいっぱいになります。




44号 2016年10月15日発行





『ゆらいでいる 気候も人の心も』

 秋になったとたんに台風が次々にやってきて、日本列島に大きな爪痕を残しました。

 台風10号が襲った北海道では川の氾濫や浸水が相次ぎ、岩手県では土砂が流入した高齢者施設で、9名の方がお亡くなりになりました。あまりに悲惨な状況に言葉がありません。

 台風16号は、県下に大雨警報、暴風警報、洪水警報、土砂災害警報が出され、佐伯市蒲江地区に被害が集中しました。蒲江翔南中学校のグランドは冠水し、 深いところで50pもあったそうです。竹野浦地区、西野浦地区でも山から出てきて行き場を失った水や土砂が細い路地や畑や庭をどろで埋め尽くしました。家 の中まで土砂が入ってきた方は、「冷蔵庫が浮いていた」「こんなことは初めてだった」と疲れ果てた表情で伝えてくれました。

 被災地域はユンボやトラックが入れない細い生活道路が多く、市役所の職員や消防団の方が人海作戦で土砂を取り除く作業を続けていました。

 毎日、東京の豊洲新市場予定地の問題が報じられています。築地市場移転のために埋め立てられた豊洲では、盛り土がなされず、地下水からヒ素やベンゼンが 検出され驚かされます。新都知事の元、調査が進められていますが、過去の関係者はみな自分の責任を語りません。日本中で唯一地方交付税の不交付団体である 東京。予算をふんだんに組むことができる都庁では、チエック機能は働いていなかったのでしょうか。日本の食の台所であり、生鮮食品を扱う場所です。抜本的 な解決が求められています。


 富山県議会、市議会の政務活動費不正使用では、議員辞職がドミノ倒しのように起こっていて、呆れかえります。領収書の不正など考えられないことですが、議員には、大切な税金を使っているという認識は皆無のように見えます。

 政治や行政に携わる人々に対する厳しい目、憤り、批判は免れません。

 こんな大人の状況は、子どもたちにはどんなふうに映っているのかしらと考えています。

 地方政治の末端にいる私たちですが、気を引き締めて、県民の皆さんの負託に応えなければとあらためて自分に言い聞かせています。


2016年度  第3回 定例県議会報告
(9月7日〜9月27日)
定例県議会は、9月7日に開会し、本年度一般会計補正予算案、
県国民健康保険運営協議会条例の
制定案など25議案を可決して、9月27日に閉会しました。

補正予算は   120億8237万6千円
既決予算と合わせると   6325億2911万3千円

熊本地震災害からの復旧・復興に要する経費や防災対策費が主なものです。

 屋内スポーツ施設の建設

 2019年には、ラグビーワールドカップが、その翌年には東京オリンピック、パラリンピックが開催されます。大会開催までに会場整備や輸送対策、事前キャンプの誘致などおもてなしの充実に取り組みます。ラグビーワールドカップのホスピタリティ施設としても活用します。

・鉄筋コンクリート造、屋根部分は県産スギ製材。
・最大5000人が収容できる。
・多目的競技場と武道場を兼ね備える。
・完成予定は、2019年4月。
・工事総額は約73億4千万円。

多目的競技場の屋根構造を鉄骨造から
県産スギ製材品による木造化(一部鉄骨造)へ変更




 県立精神医療センター(仮称)の整備
 精神障がいを持つ、急性期の患者を夜間・休日に緊急で入院措置することができるように。重篤な身体合併症患者に専門的医療を提供することができるように取り組みます。

・2020年度中に開設できるように。
・県立病院内に36床の予定。
・今年は、基本設計と地質調査に着手します。

 精神障がいを持つご家族の方には、長い間の悲願でした。
 県立の精神医療センターは、ほとんどの都道府県でつくられています。
 どちらかというと、赤字部門の科だとも言われていますが、都道府県には、なくてはならないものだと考えます。


 おおいた動物愛護センター(仮称)
 毎年、県内で処分される犬は減少してきましたが、猫は未だに2000匹以上います。長年の懸案だった人と動物が安心して暮らせる社会を実現していくために、動物ボランティアと協働して、人と動物が利用できる施設を大分市と共同で造ります。

・犬・猫を適正に収容する。
・しつけ飼い方教室、動物の譲渡会、適正な管理など、
  いのちの大切さや動物との共生を学ぶ場として活用。
・動物管理棟と保護棟、付帯施設としてドッグランを設ける。
・場所は、大分市廻栖野(めぐすの)みどりマザーランドの一部。
・現在の動物管理所(大分市小野鶴)は、そのまま残します。
 
 台湾からの観光客と定期チャーター便について

 台湾から日本への旅行者は年々増えています。誘客のために@若い家族層やカップルなど個人旅行客をターゲットにする。A大分県での大会やイベントを通じてB大分の特産品をPRすることに力を入れています。

 定期便化に向け、昨年はプログラムチャーター便、今年は定期チャーター便とプロセスが進んでいます。@大分空港の利便性向上(免税店のリニューアル、足 湯、国際線カウンター増設)A大分の魅力を発信(テレビ番組作成、情報誌やポスター)Bスポーツでの交流や台湾への修学旅行を進めていきます。

 機材の大型化は、必要に応じ、個別に航空会社に相談していきます。

 別府警察署の隠しカメラ設置事件について

 大分県警別府警察署が、労働団体の活動拠点の敷地内に無許可で隠しカメラを設置していたことは、全国ニュースでも取り上げられ、多くの県民が知るところとなりました。設置されたのは、参議院議員選挙公示直前の6月18日深夜のことです。

 設置されたカメラは2台。1台は木の幹に、もう1台は別の木の根元にあり、それぞれ結束バンドで固定され、草で覆うようにして隠されていました。建物玄 関や駐車場周辺を個人の顔が識別できるレベルで映し出されていました。多くの市民を不安に陥れ、全国的にも「プライバシーの侵害等の観点からも極めて大き な問題だ。」との声が上がりました。

 県警は、「他人の管理する敷地内に無断で立ち入ったことは建造物侵入罪にあたる違法行為であり、同所を撮影するだけの必要性及び正当性も認められない不 適切な捜査であった。」と発表しました。同時にカメラ設置理由については、「個別捜査の一環で、特定の対象者の動向を把握するため」とし、その違法性を認 めようとはしませんでした。
 私たちは、代表質問や一般質問、警察委員会で、今回の件の事実関係を明らかにし、誰の命令で、何の目的で行われたのか。捜査の在り方や違法性をどう捉え ているのかなどを追及してきました。しかし、時間が経つにつれ、その答弁のあいまいさ(過去の捜査でのカメラ使用も含め)が明らかになり、県警への不信感 は増すばかりでした。

 ご存じの通り、前回の参院選挙は、投票率は低かったものの与野党が激しい闘いを繰り広げ、大物政治家も多く来県しました。そんな背景も影響したのではないかと考えてしまいます。

 いうまでもなく、労働組合は、憲法に保障された団結権に基づいて結成されています。

 今回の隠しカメラの設置は、憲法に保障された選挙活動に対する妨害、労働団体に対する干渉、そして、肖像権・プライバシーの侵害として看過することができない事件だと考えます。

 私は、議員になってたくさんの警察職員の方々と一緒に仕事をしてきました。教えられることもたくさんありました。そして、どちらかと言えば、敬遠してい た警察に対するイメージは、変化し、信頼できる大分県警察と共に活動することを有意義に感じていました。しかし、今回の事件でその信頼が壊れてしまったこ とが残念です。権力構造の持つ恐ろしさをも感じています。

 ご存知ですか? 用地補償に関する税金などについて

 公共事業に協力して、土地などを国や県などに譲渡した場合は、5000万円の特別控除があります。5000万円までは、所得と見なされず、所得税はかかりません。
 しかし、この特別控除は所得税だけに限っての話ですから国民健康保険料や介護保険料については、翌年度分が最高額になってしまう場合があります。
 理不尽な思いもしますが、法律で決められています。実は相談を受け調査することになり、初めてこのしくみを知りました。
 1年間だけのことですが、「新しくできる道路に自分の土地を提供する。」「区画整理にかかる。」など都市計画の変更に伴い、今後関係する方もいるかもしれません。知っておいていただきたいと思います。

 詳しいことをお知りになりたかったら、市町村の保険料担当部署にお問い合わせください。


純子日誌

7/4 442号理事会
7/7 
定時制・通信制激励壮行会
   シェルターシンポジウム実行委員会
7/11
原水禁申し入れ
7/15〜17 
政務調査活動(福島)


7/13 豊後大野で民泊


7/23 ボーリング大会


7/25・26 
自治体議員団会議(鹿児島)

7/30 東野台団地祭り

7/28 
レジリエンス講演会

8/2 学校生協50周年記念式典



8/1 軍艦島
8/4・5 定時制・通信制全国大会(千葉)


8/8 立憲ネット学習会
8/16 自治体議員団課題検討会議
8/19 大分県生活学校研究大会
8/21 大分県事務職員研究大会
8/30 議員政策能力向上研修会



9/1 シェルターシンポジウム実行委員会
9/2 大分県戦没者追悼式
9/3 東野台・防災講話
9/4  奨学金学習会
9/5  裁判傍聴(福岡)
9/6  賀来神社例大祭
9/15 生協連との学習会
9/21 別府署カメラ事件集会
9/25 爽風館高校秋季卒業式
9/29 TPP学習会
9/30 都市計画審議会



9/2 スペシャルオリンピクス名誉会長・細川さんと

9/17 二豊学園ふれあいスポーツ大会



9/23佐伯災害被害調査




 福島原発事故から5年と6か月

 
 分断されていく
 人々のこころと暮らし



 毎年、夏に行っていた福島の子どもたちの保養プログラムを今 年の夏は行いませんでした。私たちの願いは、放射能の影響のないところで短期間でも子どもたちを思いっきり活動させたい。と言うことですが、今年は大分に 大きな地震がありました。余震が続いているところに、地震で怖い経験をした子どもたちを呼ぶことができなかったからです。そこで、実行委員会のメンバーで 福島の現状を調査してこようと決めました。

 ■富岡町で吉田住職の話を伺う

 吉田さんは、真宗大谷派の住職です。富岡町は、もうしばらくしたら帰還困難区域の一部は解除される見通しです。9時から午後4時まで立ち入ることができます。でも放射線量の高い吉田さんのお寺は立ち入り禁止で、施錠されています。
 特別に境内に入れてもらいました。本堂も新しい住居も誰も住んでいません。階段には、獣の糞がこびりついていました。雨どいの所の放射線量は高く、ガイ ガーカウンターは、あっという間に9.99μシーベルトを示しました。(大分では0.02μシーベルト)「行政は、除染はやるけれど、帰還困難区域には何 もしてくれない」と言われます。午後4時になると帰宅を促す放送が流れました。



 広野町に双葉町の子どもたちのための中・高一貫校「双葉学園」が昨年開校しました。昨年は、入学する子どもが大勢いたのですが、今年は定員割れを起こしています。
 楢葉町は、帰還が許されましたが7500人の住民のうち700人しか帰っていません。インフラ整備が整わないことや泥棒が多いことも理由のようです。どの地域も除染作業をする作業員と除染した土を入れた黒い袋がおびただしい数で置かれています。
 保養プログラムに毎年子どもたちが順番にやってくる児童クラブに伺い、ちょっぴり大きくなった子どもたちと再会しました。顔を見るなり「あっ!九州の!」とびっくりした声と顔。

■福島市の仮設住宅

 浪江町の人が暮らしています。仮設には、1部屋、2部屋、3部屋のパターンがあります。以前は185世帯でしたが、自立したり、復興住宅に移ったりして、今は100世帯をきっています。会長さんにお話を伺いました。
・ 以前は、皆協力的だったけれど、今は自己中心的な人が増えた。
・ 一人暮らしの高齢者が増え、家族と暮らせずつらい思いの人が多い。孤独死もある。
・ 原発を毎日見て生活していたが、「あれが爆発したらどうしよう。」などと考えたことは一度もなかった。
・ 以前住んでいた浜通りは、雪が降らない。福島市に来て雪かきや寒さに苦労している。夏の暑さもひどい。
・ 仮設の子どもは10名ほど。地域の学校に入れなかったので、ばらばらの学校に通い子ども同士のつながりはない。

■郡山市・あいコープ福島で

 体内の放射線量を測定するホールボディーカウンターを2013年5月から使っています。行政からの支援はなく、生協独自で購入。1億7千万円。食品を測定する機器も2千万円で購入しています。

 福島の水を飲まない、福島産のものを食べさせない親が大勢いる中で、未知への不安、無知への不安、避難したくてもできない人をどう守るかを考え、科学的 に測定して対処することの重要性を考慮して事業を展開しています。専務さんはこう言われました。「私たちは、放射能の知識はなかったが、食品に対する知識 は役立った。」と。

 生協に食品を納入している生産者への対策(土を削って有機を入れる)を重視しています。

ホールボディーカウンター体験
■旅を終えて

 今回は、浜通りの大熊町、双葉町を通りました。完全に立ち入り禁止で車を止めることもできません。建物は朽ち、田畑が草ぼうぼうの様子に言葉を失いました。そこでは、放射線量がどんどん高くなり頭が痛くなりました。

 福島から避難するかしないか。福島に戻るか戻らないか。福島の物を食べるか食べないか。福島出身だと言うか言わないか。5年経ってさらに問題が複雑化し ていることに気づきます。「僅かな期間でも体にたまったセシウムを抜くことが大切。」「私たちを気にかけている人がいることはありがたい。」と言われ、保 養プログラムの意義を再確認しました

 時間の経過の中で、福島で生活している人々の気持ちや心の変化を十分に考えずに思いを発信してきたのではと振り返ります。
 福島の子どもたちの甲状腺がんの問題を私も重く受け止め、重大なこととして口にしてきましたが、そのことがインターネットで拡散されていくことに怒りを覚えている現地の人がいることに気づきませんでした。

 私は、「震災がれき」受け入れ問題の時に反対と綴り、「非国民」だとお叱りを受けました。

 今回の旅をFBに綴った文を読んだ福島の方から「迷惑なんです。」とメールが届きました。

 高速増殖炉「もんじゅ」は20年以上ほとんど動かないまま廃炉の方向性が出されました。「核と人類は共存できない」と考え続けていますが、福島に寄り添 うとはどういうことなのか。福島を忘れないとはどうすることなのか。放射能問題でいかに何の罪もない人たちの心が苛まれていくのかを思い知らされていま す。

■ 編集後記 ■

 県庁にはたくさんの人が働いています。職員以外にも障がいを持つ人がつくる「県庁のパン屋さん」郵便局や銀行もあります。 
 毎日、顔を合わせているのは、地下駐車場で庁内で出たものを処分する仕事をしている方や受付の守衛さん、夕方掃除機をかけてくれるお掃除の方たちです。 夏の暑い日に絨毯に掃除機をかける仕事がどんなに過酷なものかつぶさに見てきました。お話もよくしました。その業務には、指定管理者制度が導入されていま す。競争入札で落札した会社が入り、厳しい仕事をやっていただいています。今回の入札で指定管理の業者が変更になりました。長いこと、親しく話してきた方 々とお別れするのはとても寂しいことです。





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