2014.1.13 介護の行方は・・・・・
寒中お見舞い申し上げます。
新しい年を迎えて、あっという間に2週間近くが過ぎています。
皆様は、どんなお正月を過ごされましたか?
我が家は、昨年、義父を亡くしているので、華やかにお正月を祝えませんでした。「うさぎとかめ」に入所している母を年末に迎えに行き、お正月は親孝行しな
がら過ごしました。今年は、業者のおせちも買わず、自分で作りました。お料理をしすぎて、今は、「食事作りはもう結構です!」と言いたい気分です。
おとといの朝、「うさぎとかめ」の施設長さんから携帯に電話が入りました。「何かあったのかもしれない・・・」と不安になりました。
話の内容は、「朝、4時半ごろ、トイレに行こうとした際、手押し車を使わず自分で歩いていて、転びました。職員が急いで駆け付けたのですが、間に合わず申
し訳ありませんでした。」ということでした。骨折はなく、コブができたようですが、安心しました。大腿骨を骨折すると寝たきりになってしまうので、このこ
とが回避できたことは、何よりでした。
施設長さんは、何度も謝りの言葉を言われましたが、こんな状態の母を預けてお
世話していただいている私のほうが謝りたい気分でした。その時の会話を思い出すたび、「何だか幼稚園か保育園の出来事のよう・・・」と感じますが、高齢者
を抱えるということは、こういうことなのだと思い知らされています。
すぐに施設に伺うと、施設の方が心配するかもしれないと思い、出かけずにいましたが、妹は「顔を見てくる。」と出かけて行きました。
彼女からのメールには「今、会ってきました!元気です。こぶも分かりません。入浴日だったので、体も看護師が診て、大丈夫だったと。施設では、たまにあることですが・・・・とりあえず職員さんたちには、迷惑かけてすみませんと言ってきました。これからもあると思います。
お母さんは、私が死んでも、兄弟仲良くしてな・・・・そう話してはテレビを見ていました。」と書かれていました。
我が家に起こった些細なことですが、介護をしているとこんなことの連続です。わたしのように介護の課題を抱えている方は、大勢いらして、もっと深刻な問題をお持ちの方も多いと思います。
今、介護保険の第6期事業計画の変更を政府は行っています。きっと政府の思うとおりに変更は行われると思うのですが、私はその変更内容に納得できません。
主な変更の2点ですが、@要支援の人を介護保険給付対象からはずし、市町村事業に委ねること。A一定収入(280万円以上)のある人の利用料を2割に引き
上げる。ということです。何故そうするかというと介護保険を支えている現役世代が少なくなり、高齢者が増えているからです。財源が問題となって変更が行わ
れようとしています。けれども、そうすることによって「公助」は後退し、「自助」への転嫁が強くなっていきます。
こ
れが実施されれば、市町村の財政状況によって受けるサービスが異なる状況が生じてきます。利用料2割負担は、現在、介護施設を利用している当事者の利用を
抑制してしまいます。すなわち、早期発見・早期治療の認知症ケアの原則に反することになりますし、利用を抑制することによって、重度化が速まり、将来的に
は、保険財政の負担増にもつながっていきます。
利用抑制は、現在細やかなサービスを展開している、母が利用しているような小規模の施設がたちいかなくなる状況を生むかもしれません。
4月には、消費税が8パーセントに引き上げられます。消費税増税と負担増・給付抑制の二重負担は、道理に合わないものです。
2000年に介護保険が導入されました。長い間、嫁や娘や家族が犠牲になっていた介護を社会全体でみていこうと「介護の社会化」が謳われ、誕生したのが介護保険制度です。2年ごとの見直しや変更は、少しずつ「介護の社会化」から遠ざかっています。
母は、自分の年金と父の遺族年金で、自分の生活を支えることができる状態にいます。しかし、母のように恵まれた環境にいない人が、日本には大勢います。
介護も教育もお金のある人だけが、利用できる、優遇される制度にしてはならないと思います。
今よりもっと貧しかった戦後まもなく、先人たちは、知恵を絞り、大変な努力をして、国民皆保険・皆年金制度を実現しました。その困難さの大きさを考えれば、今の困難を乗り越える知恵もきっとあるはずです。
―――認知症の人と家族の会「ぽーれぽーれ」から―――
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