2010 7.13 吉田忠智さんと言う人
6月からときどき日記が更新できていません。
議会の後、疲れが出てしまい、気力が萎えていました。病院に通いながら参議院選挙の運動をしていて、あっという間に時が過ぎていました。
先輩の吉田忠智さんが、昨日の午前3時10分、見事に比例で当選されました。
近頃、こんなに嬉しいことはあったかしら・・・と考えています。ですから今日は、吉田さんのことを綴ろうと思います。ご本人に許可を得ていませんのでもしかしたら「削除しなさい」とどこからか命じられるかもしれませんが。
吉田さんを初めて見たのは、10年前のことです。その時、吉田さんは、21年勤めた県庁を退職し、県議選の補欠選挙に出馬していました。今まさに選挙車両が出発する、その直前の出陣式が吉田さんの住む団地の下の空き地で行われていました。「選挙に出る人はこんなにも悲壮感漂うものなのか」と思いました。吉田さんは、口を真一文字に結んでいました。傍らには、おつれあいの節子さんが、涙を流しながら立っていました。節子さんは、お母さんの形見の洋服を着ていました。私は、その時初めて「吉田忠智」と投票用紙に書きました。
吉田さんは見事に当選され、県議会議員になりました。
人生とは、不思議なものです。わたしもその2年後に、県議選に出馬することになり、皆さんのお力で県議になることができました。
私は、吉田さんと同じ会派に所属しました。教員であった私は、教育のことなら人よりはわかるつもりでしたが、その他のことはズブの素人でした。行政のことも農業のことも商業のことも福祉のことも何もわかりません。しかし、世間の人は私を一人前の議員として扱ってくれます。私のところにも、少しずつ依頼や相談が持ち込まれました。私は、パニックに陥りました。その時助けてくれたのが吉田さんです。「そのことは、○○部の○○課がいいでしょう。」「それは、○○課の○○さんがエキスパートです。アポをとってあげましょう。」
仕事の手順を一から教えていただきました。うまくいった時は、自分のことのように喜んでくれました。愚痴もいっぱい聞いてもらいました。私には、なくてはならない人。それが吉田忠智さんでした。
「来年の参議院選挙に出馬しようと思っています。」と打ち明けられたのは
昨年のことです。私は心の中で「ダメ!絶対ダメ!」「いや!」と叫んでいました。私には、絶対必要な人なのです。加えて、吉田さんは、バランス感覚があり、行政手腕に富み、何よりも優しい人柄は県議会の中にはなくてはならない人でした。どんなに汚い言葉を、どんなに意地悪な言葉を言われても、優しい正論で返すことができる人でした。
しかし、吉田さんがこれまで議会の中で訴えてきたことを思い起こしてみました。行財政改革が進む中での官と民の役割。憲法教育。非正規労働者の問題。過疎化が進む中での公共交通の役割。中小企業の金融対策。農業の振興。福祉介護者の待遇改善。地球温暖化。若者が希望の持てるための施策。・・・・男女共同参画についても早くから訴えていました。
県議の仕事をしながら執行部に懸命に訴えても、国の段階で取組んでいただかなければどうしょうもないという壁を感じていらっしゃることもわかりました。
私は、こう考えました。県にとって大事な人だからこそ国にとっても大切な人になるのだろう。そして、私もそろそろ自立しなさいと言われているのだと。
昨年の9月から、吉田さんは、全国のあいさつ回りに出発しました。1日のどこかでときどき吉田さんのことを思っていました。(今日は、どこを歩いているのだろうか。)木枯らしが吹きつける日は、(厚手のコートを着ているかしら。)と心配になりました。
見ず知らずの人の前で、1日に何度も同じような挨拶をしなければならないことは、大変なことです。
大分に帰ってくると、私たちのところに顔を出してくれました。「岩手に行ってきました。」「新潟に行ってきました。」「昨日は、佐賀でした。」「明日から沖縄に出かけます。」絶対に大丈夫だなんて保障はどこにもないのです。ただひたすら明日を信じて歩むだけの生活。そんな過酷な日々を送りながらも、吉田さんは、以前の温厚な吉田さんそのままでした。横から見る頬は、少しこけていました。
お話しが上手になっていました。吉田さんの訴える国づくりは、順序を踏んで、説得力があり、とてもわかりやすい内容でした。自然と涙が出ました。ひとまわりもふたまわりも立派になった吉田さんがとても輝いて見えました。
当選が決まった時のテレビに映った吉田さんのことば。「嬉しいです。嬉しいですね。」それがすべてを物語っていました。
参議院の任期は、6年間です。私たちのためにきっといい仕事をしてくださることでしょう。7月30日が臨時国会と報じられています。当選できたという安堵感はあるものの、またこれから慌ただしい日々が続くことでしょうが、2月から歩き続けてきたおつれあいの節子さんとせめて1日ゆっくりされてほしいと願っています。吉田忠智さん、おめでとうございます。長い間、本当にお世話になりました。ありがとうございました。
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